
TBSは29日、定例社長会見で「オールスター後夜祭’25秋」での不適切なクイズ出題をめぐり、女優・広末涼子の所属事務所に直接謝罪したと明らかにした。クイズで広末の交通事故を連想させる設問が出されたことに対し、広末側が抗議。TBSは「交通事故を題材にするのは不適切だった」として謝罪し、該当部分を削除した。
「不適切だった」 TBS専務が会見で謝罪
TBSは29日、東京・赤坂の本社で開かれた定例社長会見で、4日深夜放送のバラエティ番組「オールスター後夜祭’25秋」でのクイズ内容について言及した。
合田隆信専務は「交通事故を題材にしたことは不適切だった」と述べ、「制作担当が速やかに謝罪に伺い、広末さんや関係者の皆さまにご迷惑をおかけした」と謝罪した。
クイズ内容が波紋 「時速165キロ」問題に抗議
問題となったのは、同番組内で出題された「時速165キロを出したことがないのは?」というクイズ。選択肢には「①大谷翔平」「②佐々木朗希」「③伊良部秀輝」「④広末涼子」が並び、広末が今年4月に起こした交通事故を揶揄した形となった。
放送後、広末の所属事務所は「捜査中の事故を笑いの題材とするのは極めて不適切」と抗議。TBSは該当部分を配信から削除し、「迅速かつ誠実な対応に感謝申し上げます」との広末側のコメントを受けていた。
SNSでは「倫理の問題」か「過剰反応」かで賛否
SNS上では「笑いのために事故をネタにするのは感覚が鈍い」「誰かを傷つける笑いはもう時代遅れ」といった批判の声が多く上がる一方、「不謹慎だが番組らしい皮肉だった」「謝罪で番組が萎縮しないか」といった意見もあり、放送倫理の線引きをめぐる議論が広がっている。
メディア倫理が問われる時代へ
事故や事件を題材にした「時事ネタ笑い」は、かつては深夜バラエティの定番だった。しかし、SNS時代のいまは、笑いの裏にある「誰が傷つくか」を問う声が大きくなっている。
TBSの今回の謝罪は、制作現場の自由と社会的責任のバランスをどう取るか。テレビ業界全体への課題を浮き彫りにした。



