
大学入学共通テスト(2026年度入試)に向けたWeb出願で、顔写真が「否認」されてしまった受験生の体験がSNSで話題となっている。必死に勉強を重ね、締切直前に写真をアップロードしたもののエラー表示。「このままでは受験資格が消えるのか」と一時は不安が広がったが、制度上は“救済の道”が残されていた。
すぐ承認されると思ったのに…出願の流れと締切の落とし穴
大学入試センターが定めた、共通テスト出願手順はこうだ。
- 共通テスト出願サイトでマイページを作成(2025年7月1日〜10月3日17時)
- 志願者情報入力・顔写真データ登録・受験科目登録(2025年9月16日〜10月3日17時)
- 検定料支払い(2025年9月16日〜10月3日23時59分)
ここで重要なのは、マイページ作成と出願内容登録の締切は10月3日17時ちょうど、一方で検定料支払いは23時59分まで可能という点だ。
今回話題となった受験生は、締切日である10月3日の17時直前に顔写真をアップロード。しかし、画面には「審査中」の赤文字が表示されたまま、締切日の夜中までその表示が変わらなかった。そして翌日には「否認」の表示に変わっていた。
検定料を支払っていれば、救済措置が存在
共通テスト出願で受付できる写真の条件は、上半身のみ写っている・無帽・無背景の3点である。受付できない写真の例は大学入試センターの公式資料に細かく記載されているので、「否認」となった場合はその例を確認して期限までに再アップロードが必要であった。
では、顔写真が「否認」となれば受験資格が無いのか?と同資料を読み進めると、出願期間内に検定料を支払っていれば出願自体は有効であることが分かった。写真が否認された場合でも、次の訂正期間に再登録すれば問題なく受験資格は維持される。
・出願内容の確認・訂正期間:10月10日10時~10月17日17時
・この期間中に再登録すれば、受験票に正しい顔写真が反映される
つまり、「否認=即受験資格喪失」ではなく、10月17日までに再登録すれば危機を回避できるということだ。
仮に出願失敗した場合、他のルートは?
大学入学共通テストの出願に失敗した受験生は、一時的に「受験資格なし」という大きな危機に直面する。共通テストを利用する国公立大学や多くの私立大学方式には挑めなくなるからだ。しかし未来が完全に閉ざされるわけではない。
まず、多くの私立大学には共通テストを利用しない“大学独自試験型”があり、出願は1月から2月、場合によっては3月まで受け付けている。追加募集や欠員補充を行う大学もあり、首都圏だけでも百校以上が「まだ間に合う」選択肢を残している。別の道として、浪人を選び翌年の共通テストに再挑戦する受験生も少なくない。あるいは大学進学自体を諦め、専門学校や就職という選択をする例もある。
いずれの進路も一長一短があり、志望校を失った失望感をどう乗り越えるかが試される。情報を冷静に集め、残された進路を見極めることこそが、その後の人生を左右する。
余裕を持って行動し、最後まで気を抜かずに準備を
今回の事例は、「受験勉強の努力も、事務的な準備を怠れば水泡に帰す」という危機感を感じさせた一件だった。
・写真は余裕を持って撮影・登録する
・公式の“受付できない例”を必ず確認する
・最終日に頼らず、早めに出願を完了させる
これは、大学受験に限ったことではない。
飛行機の出発時間、就職活動の面接開始時間、大事な取引先との商談開始時間など、人生の大事な局面で期限を守ることと余裕を持って行動することは非常に重要である。失敗すれば、それが悪い意味での人生の分岐点となってしまう場合も少なくない。
そして大事な受験本番はこれからだ。受験生の方々には受験当日の持ち物や会場までのルートや所要時間、開始時間などを確認して余裕を持って行動してほしい。諸君の未来に幸多からんことを祈る。