
人気YouTubeビジネス番組「令和の虎」が再び揺れている。運営を支えてきた“ズッキー”こと鈴木康一氏が突然退職し、運営会社モノリスジャパンに対して2億円を請求する訴訟を起こしたとされる。
火をつけたのは人材業界で知られる河原由次氏のXでの暴露だ。黒幕として谷本吉紹社長の名前が挙がり、SNSは瞬く間に炎上。番組ファンや関係者が入り乱れる「黒幕探し」が始まった。
河原由次社長の暴露、そして黒幕疑惑
河原氏はネクストレベルホールディングス代表で、起業支援や「社長ファイトクラブ」の運営を手掛ける人材業界の仕掛け人だ。業界の裏側をSNSで発信するスタイルが特徴で5月にもズッキー氏とモノリスの内紛について言及するなど事情通で知られる。
今回も9月7日から「ズッキーがモノリスを訴えた。請求額は2億円」とXに投稿。請求関連の内部文書の画像を添付し、黒幕は谷本吉紹社長ではないかと名指しした。さらに「大阪の弁護士を紹介する人物」や「資金を出すスポンサー」が背後にいると推測し、疑惑は一気に拡散した。
元刑事の存在と非弁疑惑
河原氏は続けて「元捜査一課」を名乗る元刑事がズッキー側に関与していると暴露した。顧問契約を結び、交通費名目で50万円以上を請求するなど、非弁行為にあたる事態に発展したとする内容だ。真偽は不明だが、この発言が「裏で糸を引く存在は誰か」という憶測をさらに強めた。
谷本吉紹の余裕ある反論
黒幕とされた谷本社長は即座に反応し、「元刑事を連れてきたのは自分ではない」と否定。「誤情報で黒幕扱いされる筋合いはない」としながらも、「俺の性格なら引用して言い返す…掌で転がされた」と自嘲気味に分析。
さらに「暴露の真の狙いはズッキーへの牽制や協力者のやる気を削ぐことだろう」と推測し、炎上の仕掛け人が誰なのか逆に問いかけた。その発言は怒りよりも軽妙さが際立ち、ファンからは「余裕の谷本」と評される反応もあった。
他の虎たちの声
騒動の渦中で他の虎たちも反応した。三浦哲郎氏は「谷本さんは平和主義なおじさんで黒幕などやらない」と擁護し、竹之内社長も「本人に確認せずSNSで騒いでもろくなことない」と警鐘を鳴らした。
さらに二代目主宰の林尚弘氏は9月9日、改めて番組の方針を示す声明を投稿。「志願者ファースト」「視聴者のためになる番組」「虎の魅力維持」などを掲げ、夢を応援する原点を再確認し、騒動の沈静化を図った。
ファン心理と炎上の広がり
今回の騒動を特徴づけているのは、単なる当事者同士の確執ではなく、SNS上でファンが「黒幕探し」に熱中している点だ。河原氏の投稿は多くのファンにシェアされ、谷本氏や他の虎の反応は逐一引用されて拡散された。また、河原氏がなぜどういった立ち位置でこういった暴露をするのかを訝しむ声も多い。
真相が不透明な中で、ファン心理が“推理合戦”を駆動し、炎上をさらに拡大させている。番組が築いてきたコミュニティが、今や対立を増幅する舞台になっていることは否めない。
果たして真相はどこにあるのか。当事者であるズッキーや詠子社長が語らない以上、相当なトラブルがあったことは想像がつく。だが彼らが開示しないのは、ズッキー氏のこれまでの貢献や今後の立場を思ってのことかもしれない。
しかし訴訟が進めば、互いに秘匿してきた謎は早晩、法廷の場で明らかにされざるを得ないだろう。いずれにしろ、このような展開は天国の岩井社長は望んでいなかっただろう。番組ファンとしても同様である。
金融機関からの投融資が難しいような挑戦者たちを応援するという社会包摂の側面も強い、社会性のある番組である。一日も早い健全化が望まれる。