
静岡県伊東市の田久保眞紀市長は9月10日、市議会の不信任決議を受けて「議会を解散する」と表明した。市長自身の学歴詐称疑惑を発端とした前代未聞の決断に、市民や議会関係者からは「大義なき解散」と強い反発が広がっている。今後40日以内に市議会議員選挙が実施され、市政の行方は一層混迷を深めることになる。
学歴詐称問題から不信任決議へ
田久保市長は市の広報誌などで「東洋大学法学部卒業」と記していたが、大学側の資料により「除籍扱い」で卒業していないことが判明。百条委員会は「卒業の認識は誤り」と断定し、6月時点で本人が除籍を把握していたと結論づけた。
これを受け、市議会は9月1日に不信任決議を全会一致で可決。地方自治法に基づき、市長は10日以内に辞職か議会解散を選ぶ立場に追い込まれていた。
解散の選択、市民に波紋
田久保市長は9月10日午前10時、中島弘道議長に議会解散を通知。議会は即日解散され、40日以内に市議選が行われる。
ただ、今回の不信任は政策対立ではなく市長自身の疑惑に起因するため、「議員を巻き込んだ責任転嫁」「税金の無駄遣い」と批判が集中している。市民からは「潔白なら自費で選挙を行い証明すべきだ」との声も上がっている。
議会側の反応は厳しく
中島前議長は「大義なき解散に怒りしかない。多くの市民も納得していない」と強調。
青木前副議長も「6万4000人の市民生活より、自分の進退を優先した“自分ファースト”だ」と批判し、2026年度当初予算編成の遅れにも懸念を示した。市政停滞による市民生活への影響は避けられない見通しだ。
今後の展開
市議選後の議会で再び不信任決議が可決されれば、田久保市長は失職し、市長選挙が行われる。いずれにせよ、市民は再び投票を迫られることとなり、市政への信頼回復には長い道のりが予想される。