永野耕平容疑者を逮捕 最低制限価格を漏洩か

大阪地検特捜部は9月4日、前岸和田市長で現在会社役員の永野耕平容疑者(47)を官製談合防止法違反などの疑いで逮捕した。発表によると、永野容疑者は市長在任中の2021年5月、公共工事の入札に関して特定企業に最低制限価格を漏らし、公正な入札を妨害したとされる。漏洩先の企業が落札していたという。特捜部は容疑者の認否を明らかにしていない。
女性問題で失職、出直し市長選でも落選
永野容疑者は女性問題をめぐり、岸和田市議会から2度の不信任決議を受けて失職。今年4月に出直し市長選へ出馬したが落選していた。かつては改革派として期待を集めたが、議会との対立が続き、政治的基盤を失った末に談合疑惑で逮捕されるという転落劇となった。支持基盤の崩壊後も一部業者との関係は続いていたとみられ、事件の背景に「政治力を失った後も残った利害関係」があるとの指摘も出ている。
大阪で繰り返される入札不正の歴史
今回の事件は岸和田市にとどまらず、大阪府全体に広がる公共工事の不正体質を改めて浮き彫りにした。府内では過去にも、**枚方市清掃工場談合事件(2007年、元副市長らが逮捕)**や、**大阪市の電気工事談合事件(2018年、建設局職員らが逮捕)**などが摘発されている。永野容疑者の逮捕は、こうした「繰り返される入札不正」の延長線上にあると位置づけられる。
SNSや建設業界から相次ぐ批判と懸念
SNSでは「市長在職中の談合は悪質で公共事業の信頼を損なう」「市長だけでなく不正に関与した業者も厳罰に」との批判が相次ぐ。建設業界関係者からも「積算技術があれば正しく算出できるのに、役所に頼る業者はモラルを欠いている」「業界全体が悪と見られるのは心外」との声が出ている。災害時に真っ先に動く地元業者への信頼を損なうとの懸念もある。
信頼回復へ第三者監視の導入が課題に
公共工事は市民生活の基盤を支えるものであり、その入札の公正性は行政の根幹に関わる。専門家からは「電子入札システムを導入しても情報管理が徹底されなければ意味がない。市長や幹部の裁量を監視する第三者機関の設置が不可欠」との声もあがる。今回の逮捕を契機に、談合体質を断ち切り、制度改革によって信頼を回復できるかが問われている。