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24時間テレビ 横山裕105km激走に拍手喝采  一方「しゃべくり007」演出が突きつけた“日テレの矛盾”

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24時間テレビ
日本テレビ 公式サイトより

日本テレビ系で8月30日と31日に放送された「24時間テレビ48-愛は地球を救う-」は、平均世帯視聴率11.0%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した。前年から1.5ポイント低下し、下降傾向が続く中での二桁維持だったが、瞬間最高視聴率は「SUPER EIGHT」の横山裕が105kmのチャリティーマラソンを走破し、ゴールテープを切った午後8時45分に25.4%を叩き出した。感動的な瞬間が、多くの視聴者の心を揺さぶったことは間違いない。

 

横山裕が体現した「真のチャリティー」

横山が挑んだのは「子ども支援マラソン」と銘打たれた105km。児童養護施設や困窮家庭の子どもたちを支援するという明確な目的を掲げ、自らの過酷な生い立ちも重ね合わせながら完走を果たした。

両親の離婚、義父との不和、母の病気と離婚。父親の異なる弟たちが施設に預けられる中、自らは中学卒業後に建設会社へ就職し、ジャニーズJr.として活動を続けながら家計を支えた。

番組内で語られたこれらの背景は、走りそのものに強い説得力をもたらした。

SNSには「横山くんの走りに涙が止まらなかった」「ただの企画じゃない、本物のチャリティーだった」といった投稿が相次ぎ、感動の声が拡散した。寄付総額は7億40万8600円に達し、視聴者の共感と熱意が形となって示された。昨年の“やす子MVP”に続き、横山は今年の番組を象徴する存在となった。

 

「しゃべくり007」ギャラ発言に批判殺到

だが、この感動を打ち消すような場面が同じ番組内で生まれた。6年ぶりに生放送された「しゃべくり007」で、お笑いコンビ「ダイアン」の津田篤宏が「月収800万!」と絶叫。「今日いっぱいギャラ頂戴!」と冗談交じりに繰り返すやりとりが展開され、共演者が笑いに変えようとした。

だが視聴者の反応は冷ややかだった。

SNSには「チャリティー番組で金の話は論外」「正直笑えなかった」「日テレはわざと炎上させているのでは」といった投稿が殺到。「#しゃべくり007」がトレンド入りする一方で、批判的なコメントが大半を占めた。番組のムードは大きく分断され、感動の熱を冷ます形となった。

 

“炎上ありき”の制作姿勢への不信感

視聴者の怒りの背景には、これまで「24時間テレビ」を取り巻いてきた“お金の疑惑”がある。高額な出演者ギャラが支払われているのではないかという長年の疑念、さらに昨年の系列局幹部による寄付金着服事件の記憶は生々しい。そんな中でギャラや収入の話題を番組内で繰り返せば、不信感が再燃するのは必然だった。

ある放送作家は「津田さんの意図は場を盛り上げるためだったのだろうが、そもそも収入トークをテーマにする構成そのものが失策」と指摘する。

実際、SNSでも「出演者よりも制作側の責任」「感動を台無しにしたのは日テレの演出だ」と批判の矛先は局に向かった。ここに浮かび上がるのは、感動を利用しつつ炎上をも話題化に取り込もうとする制作の姿勢である。

 

SNSに映し出された“二つの番組像”

SNS上には「横山の走りで泣いた」「彼の人生ごと応援したい」と称賛する投稿と、「しゃべくりで一気に冷めた」「お金の話ばかりで不快」と落胆する声が同時に溢れた。まるで二つの異なる番組が同居していたかのような光景だ。

さらに「チャリティー番組で『ネットニュースに何本載るか』をテーマにするのは軽薄」「これだから感動ポルノと批判される」といった辛辣な意見も少なくなかった。

横山裕の挑戦が「真のチャリティー」の意味を示したことは疑いない。しかし同時に、「しゃべくり007」に象徴される“炎上コンテンツ”を平然と盛り込む日テレの姿勢は、視聴者の信頼を揺るがした。

感動を届ける裏で炎上を仕込み、話題化を狙う。その二枚舌はもはや隠しきれない。

番組が続く限り、日テレは「社会貢献」と「視聴率至上主義」のはざまで試され続けるだろう。今年の放送は、横山裕が示した誠実さと、局がさらけ出した軽薄さが鋭く対比された回として記憶されるに違いない。感動と炎上を同居させる手法は一時的な話題を生むかもしれない。しかし、その代償として積み上がるのは、番組そのものの信頼の失墜である。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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