
日本テレビの刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で山さん役を14年間演じ、幅広い世代に親しまれた俳優の露口茂さんが、4月28日に老衰のため亡くなっていたことがわかった。93歳だった。映画やドラマ、声優として多彩な役柄を残した名優の生涯を振り返る。
露口茂さんのプロフィールと経歴
露口茂(つゆぐち・しげる)さんは1931年生まれ。俳優座養成所を経て、舞台や映画に出演しキャリアを重ねた。
今村昌平監督の「赤い殺意」「人間蒸発」「ええじゃないか」など社会派作品で存在感を示し、骨太な演技で注目を浴びた。
「太陽にほえろ!」の“山さん”で国民的人気に
1972年から放送が始まったドラマ「太陽にほえろ!」では、ベテラン刑事・山村精一(愛称“山さん”)を演じた。冷静沈着で頼りがいのある役柄は、多くの視聴者の心をつかみ、1986年まで14年間出演。共演者からも「精神的支柱」として慕われ、シリーズを代表する名キャラクターとなった。
渋い声で活躍した声優業
露口さんの低く渋い声は、声優としても高く評価された。
スタジオジブリのアニメ映画『耳をすませば』では、猫の紳士・バロンの声を担当。作品の象徴的な存在として、今も多くのファンに記憶されている。
さらにNHKで放送された海外ドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』では、ジェレミー・ブレット演じるホームズの日本語吹き替えを務め、その知的で鋭い声はシリーズの魅力を引き立てた。
晩年と引退後の生活
90年代以降はテレビ出演が減り、事実上の引退状態に。ファンからは「今どうしているのか」と気にかける声が絶えなかった。晩年は静かに暮らしていたとみられるが、今回の訃報に「ついにこの日が来てしまった」と惜しむ声が広がっている。
ファンから寄せられる追悼の声
ニュースを受け、SNSやコメント欄には追悼の声が相次いでいる。
「山さんの冷静なまなざしが忘れられない」
「耳をすませばのバロンの声は永遠に心に残る」
「ドラマや映画で人生を豊かにしてくれた名優」
世代を超えて愛され続けた露口茂さん。その存在感は、これからも映像作品の中で生き続ける。