
静岡県伊東市の田久保真紀市長をめぐる学歴詐称問題が重大局面を迎えている。市議会は9月1日、虚偽証言や出頭拒否などを理由に地方自治法違反の疑いで刑事告発を決議し、同時に不信任決議案も全会一致で可決した。警察は告発を即日受理しており、市長は十日以内に議会解散か辞職を選ばなければならない。
発端となった学歴詐称疑惑
静岡県伊東市の田久保真紀市長は、東洋大学法学部を「卒業」と公表し、市の広報誌にも経歴として掲載していた。しかし実際は「除籍」、すなわち在学中に学籍を失った状態であったことが判明した。この経歴詐称が市民や議会の批判を呼び、問題は表面化した。
議会による調査と虚偽証言認定
市議会は事実関係を明らかにするため、強い調査権限を持つ百条委員会を設置した。大学から取り寄せた在籍記録により、卒業と誤解する余地はないと判断。田久保市長が「除籍を知ったのは今年6月」と説明した証言についても、虚偽と認定した。
不信任決議と刑事告発
9月1日の市議会では、市長の百条委員会への出頭拒否、卒業証書などの記録提出拒否、証言拒否、虚偽証言の四つの行為について、地方自治法違反の疑いで刑事告発する議案が全会一致で可決された。提出された告発状は即日、伊東警察署に受理されている。同日の本会議では、市長に対する不信任決議案も全会一致で可決された。議会は「責任は重大で言語道断」と厳しい言葉で批判した。
今後の焦点
地方自治法では、不信任決議を受けた市長は十日以内に市議会を解散するか辞職するかを選択しなければならない。いずれも行わない場合は自動的に失職となる。田久保市長は「通知を受け取ったので精査したい」と述べるにとどまり、態度を明らかにしていない。刑事告発については警察が捜査に着手する見通しであり、市長の進退と並行して刑事責任の有無も焦点となる。市民の関心は、市政の停滞を回避できるかどうか、その判断の行方に集まっている。