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「ラブブ」旋風で王寧氏がジャック・マー超え 中国発ポップマートの急成長

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ラブブ
POPMART JAPAN Instagramより

中国発の玩具メーカー、Pop Mart International Group(ポップマート)の創業者で会長兼CEOを務める王寧(ワン・ニン、38)が、人気キャラクター「ラブブ」シリーズの成功を背景に急成長を遂げている。米誌フォーブスによれば、その資産は約275億ドル(約4兆円)に達し、中国富豪ランキングで8位。アリババ共同創業者ジャック・マーを超え、新世代ビリオネアとして世界から注目を集めている。

 

株価急騰と世界市場の拡大

ポップマート株は年初から250%以上値を上げ、時価総額は4357億香港ドル(約8兆2300億円)に到達した。これは米マテルとハズブロを合算した時価総額の3倍以上であり、中国発の新興企業が世界の玩具業界の構図を揺るがしている。

主力の「ラブブ」は発売のたびに即完売を繰り返し、8月28日に登場した新作「ラブブ4.0シリーズ」(全28種・1体約1630円)も、わずか数分で完売。中国の中古市場では定価の2倍以上で転売されている。

 

売上高は6000億円規模に拡大

ポップマートの成長スピードは、中国国内企業の中でも際立っている。2024年通期の売上高は300億元(約6170億円)に達する見通しで、前年から一気に倍増規模の伸びを遂げるとみられる。

とりわけ注目されるのは上半期の数字だ。売上高は前年同期比204.4%増の139億元(約2860億円)、純利益は同397%増の46億元(約946億円)と、通常の消費財メーカーでは考えられない急拡大を示した。

この背景にはいくつかの要因がある。まず、コレクターズ市場の爆発的拡大が挙げられる。「ラブブ」をはじめとするキャラクター商品は、“開封の楽しみ”を伴うランダム販売方式により、リピーターを生みやすい構造となっている。

加えて、限定版やコラボ商品を短いサイクルで投入し、消費者心理を刺激するマーケティングが功を奏した。

さらに海外市場での存在感が一気に増したことも大きい。特にアメリカ大陸地域では、上半期の売上が前年同期比で1000%以上の増加を記録し、23億元(約473億円)に到達。

わずか数年で同社の第二の市場に成長した。背景には、K-POPやアジアカルチャーの人気と連動した「キャラクターグッズ需要」の高まりがあり、ポップマートは現地の大型小売チェーンやオンラインモールへの積極的な出店でその需要を取り込んでいる。

国内市場も堅調だ。中国では若年層を中心に「ブラインドボックス(中身が分からないランダム商品)」の文化が定着し、都市部の大型ショッピングモールに設置された自動販売機やポップアップストアが購買を後押ししている。こうした販売網の拡大が、短期間で売上を押し上げる原動力となった。

急成長する売上に対して利益率も高水準を維持している点は特筆に値する。一般的にキャラクタービジネスは初期投資やライセンス費用が重荷となるが、ポップマートの場合は自社IPの開発比率が高いため利益率が改善しやすい構造を持つ。

結果として、純利益は売上の約3分の1を占める水準にまで達しており、グローバル展開を進めながらも収益性を維持する強さを示した。

こうした数値は、同社が単なる玩具メーカーではなく、IP(知的財産)を中心に据えた「コンテンツ企業」として成長していることを物語っている。

 

日本市場での人気と広がり

日本でもラブブ人気は拡大中だ。渋谷パルコや大阪・心斎橋の直営店には発売初日から行列ができ、渋谷店のオープン時には約3000人が来店。限定商品は数時間で売り切れた。

2023年の日本市場での売上は約30億円規模とされ、前年の倍増ペースで拡大。ガチャ文化と親和性の高い「ランダムボックス」方式が支持を集め、SNSでも「#ラブブ開封」「#ポップマート購入」といった投稿が日常的に拡散している。

急成長の一方で、偽物の「ラブブ」がアジア各地で流通していることも課題となっている。中国国内のネット通販サイトや東南アジアの露店では、正規品に似せた低品質なコピー商品が確認されており、価格は正規品の数分の一から販売されている。

日本国内でもフリマアプリや一部のオンラインショップで「偽物疑惑」の出品が指摘され、購入者から「縫製が粗い」「タグがない」といった声が上がっている。

ポップマートは偽物対策として、商品のタグにQRコード認証を導入し、正規品かどうかをアプリで確認できる仕組みを整備。公式SNSでも注意喚起を行っている。ただ、偽物の拡散はブランド価値を損なうだけでなく、正規の販売機会を奪うリスクも大きい。

 

成長の影に潜むリスク

供給不足や転売市場での高騰に加え、偽物商品の流通は消費者の信頼低下を招きかねない。さらに「ラブブ」への依存度が高い事業構造は、トレンドの変化次第で業績の急変につながる可能性がある。中国国内の景気減速や規制強化といった外部要因も、成長の持続性を揺るがす不安要素となっている。

 

世界を揺さぶるキャラクタービジネス

それでも、「ラブブ」はセレブリティや若者文化に支えられ、世界的なカルチャーアイコンとしての地位を確立しつつある。リアーナやキム・カーダシアン、BLACKPINKのリサらがコレクターに名を連ね、日本でも“推し活”文化と結びつき、熱狂的なファン層を形成している。

王寧氏の成功は、中国企業がIPビジネスを武器に世界市場で存在感を高める象徴的な事例であり、偽物問題を含めたリスク管理が今後の成長の試金石となるだろう。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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