
シンガーソングライターのあいみょんが8月8日発売の女性ファッション誌『GINZA』表紙で見せた左腕のタトゥーが、SNS上で賛否を呼んでいる。NHK『ブラタモリ』の現ナレーターでもある彼女に対し、過去の事例から出演への影響を懸念する声も。YOASOBIのAyase、優里ら他アーティストとの共通点、日本独特のタトゥー観とは。
あいみょん左腕タトゥーがSNSで物議
8月8日発売の『GINZA』9月号表紙に登場したあいみょんは、眉上までカットした前髪とツインテールという新しいスタイルで撮影に臨んだ。しかし注目を集めたのはファッションではなく、左腕内側に入った人型のワンポイントタトゥーだった。
SNSでは「可愛い」「自由でいい」という肯定的な声の一方、「してほしくなかった」「イメージと違う」という否定的な意見も噴出。特に、彼女の楽曲がフォークソングや恋愛ソングを基調としており、中高年層にも支持されてきたことがギャップ反応を生んだとみられる。
NHK『ブラタモリ』ナレーションへの影響は?
あいみょんは2023年11月の特番からNHK『ブラタモリ』のナレーターを務めている。前任の草なぎ剛からの突然のバトンタッチは当初賛否を呼んだが、今回のタトゥー報道で再び議論が再燃した。
NHKは過去にもタトゥーに敏感な対応を見せている。俳優ディーン・フジオカは2016年放送の『あさイチ』で、ボクシング練習VTR中に腕のタトゥーをテープで覆っていた。また、YOASOBIのAyase、右腕にタトゥーを持つ優里が『紅白歌合戦』に落選した背景に「タトゥー問題」があったのではとの憶測も広がった。
ネット上では「声だけだから問題ないのでは」という意見もあれば、「NHKはタトゥーNGだから草なぎに戻してほしい」という声もあり、今後の起用方針に注目が集まっている。
他アーティストとの共通点
今回のあいみょんと似た反応は、過去にも複数のアーティストで見られている。
- YOASOBI Ayase:首や腕に多数のタトゥーを入れており、地上波露出が減ったと指摘される。
- 優里:右腕いっぱいに虎や花などのタトゥー。ファンから「歌の世界観と合わない」との声。
- 長濱ねる:写真集で脇腹にハート型タトゥーが判明。元欅坂46・清純派イメージとのギャップに驚きが広がった。
- 大野智(嵐):活動休止中に宮古島で左腕タトゥーが報じられ、「復帰意欲がないのでは」との憶測も。
共通するのは、「タトゥーのイメージがなかった人物」が、幅広い層から支持されていた点だ。このギャップが、否定的反応を強める要因になっている。
なぜタトゥーで炎上するのか? 日本独特の価値観
海外ではタトゥーは自己表現やファッションの一部として広く受け入れられている。一方、日本では長らく「入れ墨=反社会的・怖い人」という固定観念が残っており、温泉やプールでの入場制限など制度的な制約も存在する。
芸能人はスポンサーや出演先への配慮から、タトゥーを隠すことが事実上のルールとなる場合が多い。公共放送であるNHKでは特にその傾向が強く、番組制作時に肌を隠す演出や映像編集が行われることもある。
表現の自由とイメージ戦略のバランス
あいみょんのケースでは、コアファンは「自由でいい」と支持する一方、ライト層や中高年層は拒否感を示す二極化が見られる。タトゥーは個人の自由である一方、芸能活動においてはイメージ戦略との兼ね合いが避けられない。
ロックやヒップホップ系アーティストでは当たり前のように受け入れられるタトゥーも、恋愛ソングや清純派アイドル、国民的アイドルでは「イメージとの距離感」が強く意識される。このギャップをどう乗り越えるかが、今後の活動領域やファン層維持に直結する。
芸能人タトゥー騒動が示す“日本の壁”と今後の行方
あいみょんの左腕タトゥー報道は、単なるファッションの話題にとどまらず、NHK出演への影響、他アーティストとの共通点、日本独特のタトゥー観といった複数の論点を浮き彫りにした。
芸能人にとってタトゥーは表現の自由と同時に、イメージ戦略上のリスクでもある。この議論は今後も繰り返し起こり、社会の価値観の変化とともに答えが変わっていくテーマといえるだろう。