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暴露系YouTuber「エンターテイナー折原」恐喝で逮捕へ 東優樹容疑者とは何者だったのか

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エンターテイナー折原

暴露系配信者として活動していた「エンターテイナー折原」こと東優樹(あずま・ゆうき)容疑者(29)が、会社役員の私的情報をSNSに投稿し、その削除と引き換えに現金300万円を脅し取ったとして、警視庁が恐喝の疑いで逮捕した。

捜査関係者によれば、東容疑者は2024年10月、自身のX(旧Twitter)アカウントにて、特定の会社役員に関する個人情報を公開し、投稿の削除を条件に300万円を要求。実際に金銭を得ていたとされる。

同容疑者は、芸能人や企業関係者のスキャンダルを暴露することでフォロワーを集め、Xを中心に活動を続けていた。インプレッション数は投稿によって5000万回を超えることもあり、その影響力は一部メディア並みであった。一方で、裏取りの不十分な情報や過激な誹謗中傷によって、たびたび炎上や法的トラブルを引き起こしていた。

 

暴露と対立を繰り返した“折原劇場” その経歴と社会的影響を辿る

そもそもこの折原氏なる人物は何者なのか。暴露系配信者「エンターテイナー折原」こと東優樹容疑者(29)は、中央大学法学部を卒業後、X(旧Twitter)やYouTubeを舞台に、いわゆる“暴露系”インフルエンサーとしてのキャリアを築いてきた。

当初は芸能界のゴシップや政治家の不正疑惑を発信するスタイルで注目を集めた。投稿のセンセーショナルな内容や、煽情的な文体、鋭く断定的な語り口によって、短期間で数十万人規模のフォロワーを獲得。1本の投稿で5000万インプレッションを記録するなど、炎上を武器に拡散力を高める「情報拡散型エンタメ」の中心人物となっていった。

 

炎上の歴史と対立の数々

しかし、その“暴露”は往々にして裏付けに乏しく、プライバシーの侵害や名誉毀損のリスクと紙一重だった。伊東純也選手の性加害疑惑では、被害者女性の実名や顔写真を晒し、「セカンドレイプ」と厳しい非難を浴びた。松本人志氏の性加害報道に際しても、裏付けの取れない投稿が波紋を呼び、大野智氏に対する薬物疑惑の流布では、旧ジャニーズ事務所(STARTO ENTERTAINMENT)が発信者情報開示請求を行うに至った。

折原容疑者はまた、他のインフルエンサーとの抗争でも知られた存在である。特に暴露系配信者・ガーシーこと東谷義和氏との間では激しい敵意を剥き出しにし、最終的にはガーシー氏の自宅に不法侵入したとして逮捕された過去もある。

“正義”を掲げながらも、自らの発信が新たな被害者を生む構図──それを最も象徴したのが、2025年2月に発表された「活動終了」宣言だった。

 

一度は謝罪と引退を宣言

格闘技イベント「BreakingDown」の運営者・溝口勇児氏への中傷投稿を契機に、反論動画が公開され、折原氏は直接対面で謝罪。当時の謝罪文では「活動によって心を痛める人がいたこと」「警察官の業務を増やしてしまったこと」などに触れ、深い反省の姿勢を示していた。さらに「この機会を通じて改心する」とも語っていた。その声明では、「我々が発信したことがきっかけで日々の業務が多忙な警察官の皆様にも本来必要のなかった業務を増やしてしまいました」と述べるなど、一見して改悛の情がにじむ文言が並んでいた。しかしその後、約半年も経たないうちにアカウントを復活させ、再び暴露投稿を繰り返していた実態が今回の逮捕で明らかになった。

溝口氏は、当時の対峙の様子を20分超の動画に収めて公開。「まるで反社との関係があるような投稿をされた」「本人から謝罪があったため刑事罰は求めない」と発信していたが、その約束が反故にされた形だ。

今回の恐喝容疑による逮捕は、引退宣言からわずか4か月後の出来事であり、誓約を破った形となった。

炎上を炊きつけ業火に焼かれ、残るものは……

 

折原容疑者の活動には、常に「善悪の相対化」と「承認欲求の暴走」という主題がつきまとっていた。炎上のたびに現れる“味方”と“敵”の群れ。フォロワー数が社会的な力を持ち、攻撃が正義として受け入れられるデジタル空間。その構造の中で、彼自身が“炎上という商品”の渦に飲み込まれていった様子が見て取れる。

今回の逮捕は、そうした“折原劇場”の最終章となるのか、それともまた別の舞台で幕を上げることになるのか。ネット社会とリアル社会の接点に立ち続けた一人の男の経歴は、現代の情報倫理と法制度の限界を映し出している。

「もう出てこないで」――SNSに広がる“被害者の声” 逮捕報道に寄せられた反応とは

 

「ようやく逮捕された」「被害届を出していた」――暴露系配信者・エンターテイナー折原こと東優樹容疑者の逮捕が報じられると、SNS上では過去に折原氏から被害を受けたと主張するユーザーたちからの投稿が相次いだ。

とりわけ注目されたのは、X(旧Twitter)ユーザー「うわさのうどん(@udon_is_here)」による投稿である。同氏は、折原容疑者から「事実無根の暴露を投稿された」うえ、投稿削除のために“コンサル費用”という名目で金銭の振込を強要されたと証言している。

「私も事実無根情報を削除してもらうのに、コンサル費用という謎の名目で振り込みをさせられています」

さらに投稿内では、折原氏がLINEグループ内で共に行動していた弁護士とされる人物の存在にも言及し、「共犯ではないかと思っている」と疑念を示した。

また同氏は、折原容疑者の特徴について次のように語っている。

「虚言癖が強く、タレコミを切り貼りして事実を捻じ曲げたり、ネットでストーカーして粘着して嫌がらせをする」「被害者に対しても“仲がいい”“良いやつだ”などと親密であるかのように周囲に語っていた。非常に気持ち悪かった」

この投稿は、単なる暴露の被害だけでなく、「周囲の関係者まで巻き込む人間関係操作のような行動」があったことを示唆している。とりわけ、“一方的に関係性を捏造される”と感じた被害者が複数いたとし、その不快感と心理的被害は根深いものとなっているようだ。

「もう出てこないでください」「私も被害者ですので事件のことについては今後はポストしません」

この言葉は、ようやく一区切りがついたという安堵と、それでもなお心に残る傷の深さの両方を物語っている。

他にもX上では、「何人もの人が泣き寝入りしてた」「警察に行ったが証拠が足りず、今回の逮捕をきっかけにまた動く」といった投稿が散見されており、今回の逮捕が他の潜在的被害者たちの声を顕在化させるきっかけとなる可能性もある。

SNS社会における“言葉の暴力”とその拡散の加速度は、時に実社会以上の深刻な被害を引き起こす。情報が“コンテンツ”として消費されるこの時代、被害者たちの声は、暴露の裏側にあった“個人の尊厳”を照射している。

 

ネット社会が突きつける「正義」と責任の境界線

東容疑者の一連の行動は、「暴露=正義」という歪んだ構図の危うさを浮かび上がらせた。誹謗中傷と情報拡散が「義憤」の名のもとに加速する現代において、SNSユーザー一人ひとりがリテラシーを持ち、発信の責任を自覚する必要がある。

また、プラットフォーム側の監視体制や法制度の再整備も急務であり、今回の逮捕は暴露系配信の終焉を告げる象徴的事件となる可能性がある。

人は3つの「トウ」を経験してこそ、人を知る。倒産、闘病、投獄

 

人は「投獄されてはじめて一人前になる」と言う者もいる。もちろん、それが倫理的に正しいわけではない。ただ、情報を武器に他人を傷つけ続けてきた者が、発信も拡散もできない留置場の中で、ようやく自分自身と静かに向き合う時間を持つ――そんな皮肉めいた機会もまた、人生の一部であることは確かだ。

中央大学法学部を出た、頭の切れるあんちゃんが、いまや“暴露”という名の私刑ビジネスに溺れ、自らの言葉で足元を掬われた。娑婆から距離を置いた今こそ、誰でもない「東優樹」としての人生を、やり直す起点にできるかどうか。それはもはや、暴露も再生も、誰の責任でもなく、彼自身の意志にかかっている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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