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福島県名門企業・有名企業 一覧 売上ランキング〈2025年版解説〉

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目次

~地元経済を支える老舗から新興企業まで~

福島県有名企業一覧ランキング

福島県と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。豊饒なコメと果樹園、会津の歴史、猪苗代湖の四季—。そして2011年の震災からの長い道のり。だが今、県内には復興の経験を糧に急成長する企業がひしめく。

流通・スポーツビジネス・エネルギー・高度素材・医薬—売上千億円超の雄が並ぶ一方、テレビ局や新聞社、ICTベンチャーが地域の血流を担い、農業資材や葬祭サービスが暮らしの末端を支える。共通点はただ一つ。“危機を跳ね返すしなやかなオペレーション”だ。非常用電源を備えたスーパーもいれば、木質バイオマス混焼で脱炭素へ舵を切る火力発電所もいる。

本稿は、そんな福島の多層な産業を「売上」という尺度で一望するランキングである。最新決算短信や有価証券報告書、官報公告、信用調査レポートを突合し、銀行は経常収益に準じる数値で再編した。後ろから 1 位へと駆け上がる構成で、各社 の“名門ポイント”を添えている。

震災を経た企業たちの実像と、次の十年を占う成長の芽を感じ取ってほしい。

 

第21位:株式会社ピーエイ(福島市) 売上高 17億8,600万円〈2023年12月期〉

名門ポイント
求人情報誌「CHANGE」と求人Webを柱に、地方中小企業向けに“月額定額サブスク求人”をいち早く導入。県内25拠点の営業網が企業の採用課題を吸い上げ、生成AIを活用した求人原稿自動作成ツールで制作コストを5割削減した。さらに小中学校向けプログラミング教育アプリ「PA×Code」を54校へ提供し、教育SaaS売上が全体の3割へ成長。求人DXと教育ICTの両輪で地方人材循環を後押しする“地域雇用インフラ企業”として評価が高い。

第20位:テレビユー福島株式会社(福島市) 売上高 37億円〈2024年3月期〉

名門ポイント
TBS系列局として1983年開局。震災以降、災害報道と生活情報のローカル連携を強化し、ドローン映像とSNS速報を融合したハイパー・ローカルニュースが県民の信頼を集める。農産物PR番組「みんなのふくしま食堂」や移住促進ドキュメントが総務省ふるさと映像大賞を受賞。大学との共同制作講座で学生を“若手特派員”に育て、番組とネット両面で新しいローカルメディアモデルを構築している。

第19位:福島テレビ株式会社(福島市) 売上高 54億円〈2023年度〉

名門ポイント
フジテレビ系列で1962年開局。若年層取り込みを狙い、自社制作の高校生eスポーツ選手権を大会化し、全国同系列局へフォーマット販売するなど番組IPビジネスを多角化。震災復興支援の「FTVチャリティ音楽祭」は10年連続開催し、延べ寄付額は5億円を突破。局舎屋上に設置した太陽光発電で“自給自足スタジオ”を実現し、放送業界の脱炭素モデルとして注目される。

第18位:アサカ理研株式会社(郡山市) 売上高 82億8,500万円〈2023年9月期〉

名門ポイント
半導体・電子部品の製造廃液から金・パラジウムを高収率で回収するリサイクル技術が強み。2024年に郡山東工業団地で次世代リサイクルプラントを稼働し、二酸化炭素排出を45%削減した。国際RBA認証やアップルのサプライチェーン監査をクリアし、グローバル半導体メーカーから受託案件が急増。超高純度硫酸銅の量産化は国内初で、福島発の“都市鉱山”ビジネスとして脚光を浴びる。

 

第17位:株式会社福島民報社(福島市) 売上高 86億円〈2023年度〉

名門ポイント
1892年創刊の県紙。「紙面+速報アプリ+動画スタジオ」の三位一体編集で災害時の情報ライフラインを担い、震災10年特集は日本新聞協会賞を受賞。高校野球実況や文化イベントを通じ地域の絆を育む一方、大学と共同運営する「未来創造ラボ」で学生記者が調査報道を担う仕組みを構築。電子版会員は3年連続二桁成長し、紙とデジタルのハイブリッド経営で地方紙モデルの再定義に挑む。

第16位:こころネット株式会社(郡山市) 売上高 100億3,500万円〈2024年3月期〉

名門ポイント
東北トップクラスの葬祭会館70拠点を展開。コロナ禍で業界初のオンライン葬儀配信プラットフォームを自社開発し、取扱件数は累計6,000件超。互助会会員30万人を基盤に終活相談・遺品整理・海洋散骨までワンストップで提供し、顧客生涯価値を最大化。僧侶・NPOと連携したグリーフケア講座を年100回開催し、地域コミュニティの“心のインフラ”を担っている。

第15位:グラントマト株式会社(須賀川市) 売上高 128億2,423万円〈2023年8月期〉

名門ポイント
農家向け資材と直売スーパーを融合したビジネスモデルで、畑と食卓を直結。店内精米工場や加工室を常設し、朝採れ野菜や精米を即販売する超短サプライチェーンを構築。24年、郡山に物流DCを開業し、農産物集荷からEC発送まで24時間稼働の体制を確立。海外グロサリー向け有機米PBを開発し、輸出比率が売上の5%に到達するなど“地方発アグリテック流通”として注目される。

 

第14位:株式会社福島銀行(福島市) 経常収益 131億円〈2024年3月期〉

名門ポイント
米投資ファンド出資を機にDXを急加速。スマホ完結の住宅ローンとAI与信で若年層顧客を獲得し、アプリ会員は3年で2倍に増えた。地域商社「福島銀行商事」が農産品EC輸出を担い、手数料ビジネスが経常収益の15%を占める。地方銀行としていち早く生成AIを事務集中部門へ実装し、定型業務時間を30%短縮。ROAは業界平均を上回り“次世代地銀モデル”と呼ばれる。

第13位:株式会社大東銀行(福島市) 経常収益 136億7,900万円〈2024年3月期〉

名門ポイント
創業130年超の老舗地銀。「DAITOラピッドローン」で個人向けフリーローン即日審査を実現し、若年層口座開設が前年比120%。移動店舗車が災害時の金融インフラを担い、地方公共団体と防災協定を締結。再エネ案件へのプロジェクトファイナンス参入で利鞘を確保しつつ、職員のSDGs研修を必修化するなど“地域金融×脱炭素”の両立を目指す。

第12位:常磐興産株式会社(いわき市) 売上高 145億円〈2024年3月期〉

名門ポイント
スパリゾートハワイアンズを核に観光と温泉熱発電のハイブリッド事業を展開。フラガール文化を国内外へ発信し、年間来場者はコロナ前を回復。温泉排熱をホテル空調に再利用する省エネ循環は経産省先導モデルに採択。25年春にはグランピングゾーンを開業し、体験型リゾートへ進化。地方観光再生の成功例として各地から視察が絶えない。

第11位:日本全薬工業株式会社〈ZENOAQ〉(郡山市) 売上高 436億円〈2023年度〉

名門ポイント
動物用ワクチン国内最大手。郡山と田村の2工場でGMP基準をクリアし、海外規制当局査察にも合格。独自の細胞培養技術と凍結乾燥技術で低温流通の課題を克服し、北米・アジアへOEM供給を拡大。農畜産系スタートアップに製剤試作を無償開放する「Open Lab」でイノベーションを創出。被災ペット無料ワクチン接種を1万頭超継続する社会貢献企業でもある。

 

第10位:ハニーズホールディングス株式会社(いわき市) 売上高 565億7,100万円〈2024年5月期〉

名門ポイント
レディスファッションSPAを全国885店舗で展開。海外協力工場と郡山自動仕分けDCを結ぶ高速サプライチェーンにより在庫回転32日を達成。環境配慮素材PB「HANECO」や店頭リサイクルボックスで循環型衣料ビジネスを推進。風評払拭を目的に著名モデルを起用した県内観光誘致キャンペーンを継続し、地域ブランド発信にも貢献している。

第9位:株式会社東邦銀行(福島市) 経常収益 589億8,400万円〈2024年3月期〉

名門ポイント
県内預金シェア4割。累計1,000件超の「ふくしま復興私募債」で企業発行額の一部を学校・病院へ寄付し、地域共助を可視化。メガバンクと共同開発したクラウド勘定系を本稼働し、月次アップデートでサービス改修を迅速化。生成AIによる事務自動化で経費率を3年で5pt改善。女性管理職比率30%と多様性も牽引。

 

第8位:日東紡績株式会社(郡山市) 売上高 932億5,300万円〈2024年3月期〉

名門ポイント
創業100年超の繊維メーカーが電子基板用ガラスクロスで世界シェア3割を誇る。低誘電素材が5G・EV需要を取り込み、24年に郡山で新炉稼働。医療フィルター事業も拡大し、売上2000年比2倍。バイオマスボイラー導入でCO₂削減2万トン/年を達成し、働きがいランキング東北製造業1位と人材面でも評価が高い。

第7位:佐藤株式会社(郡山市) 売上高 1,251億3,300万円〈2024年12期〉

名門ポイント
万延元年創業の食品・酒類総合卸。半径200km即日配送と小売専属MD部門により、店舗ごとの棚替えを先回り提案。震災直後に食品80万ケースを無償供給し信頼を獲得。現在は26蔵の輸出支援「ふくしま酒蔵コレクション」を主宰し、越境ECと観光を連動。物流DXと地域ブランド創出を両立する“地方卸の新モデル”と評される。

第6位:株式会社ニラク(郡山市) 売上高 1,318億3,500万円〈2024年3期〉

名門ポイント
東北・北関東80ホールを展開。震災時に無料休憩所と給電支援で地域から高い評価。ホール運営ノウハウを基に開発した店舗DXパッケージを外販し、BtoB売上が1割を突破。外食・ホテル事業のクラフトビール醸造が観光誘客を促し、遊技業の“地域エンタメ総合企業”として再構築を進める。

 

第5位:株式会社ダイユーエイト(福島市) 売上高 1,497億1,500万円〈2024年2期〉

名門ポイント
福島発ホームセンター129店を展開。DIY・農資材・リフォームを一体提案し、防災用品強化で粗利率改善。店内木工工房や工具レンタルで“体験型HC”を推進。県と物資緊急供給協定を締結し、災害時の生活インフラを担う。25年から屋上太陽光100%店舗を順次開業し、脱炭素モデルを構築。

第4位:アレンザホールディングス株式会社(福島市) 売上高 1,533億4,500万円〈2025年2期〉

名門ポイント
ダイユーエイトを中核にタイム・バロー・アミーゴを束ねる持株会社。共同購買とDC統合で荒利率向上、福島本社で開発したマイクロサービス基幹システムが全店在庫を可視化。ペット関連PB拡充やHC×ペット複合店で新規客層を獲得。地方発“広域HCプラットフォーム”としてM&A戦略を続行。

 

第3位:相馬共同火力発電株式会社(相馬市) 売上高 1,695億200万円〈2024年3期〉

名門ポイント
東北電力とJERAが折半出資。総出力2,000MWの超臨界石炭火力を運営しつつ、木質バイオマス混焼率30%へ移行するロードマップを策定。震災で被災した新地発電所を6年で完全復旧し、地域雇用を守った。余熱利用アクアポニックスや港湾蓄電池サービスを展開し、電源立地型地域循環モデルを構築。

 

第2位:ゼビオホールディングス株式会社(郡山市) 売上高 2,424億3,300万円〈2024年3期〉

名門ポイント
スポーツ専門店・EC・イベントの三位一体で全国300店超。郡山本社はIoT店舗ラボを併設し、3D足型計測やAI接客を実証。ジュニア競技大会やパラスポーツ大会を長年支援し、スポーツで得た利益をスポーツに還元する循環経営を実践。スポーツDXとESGを両立し、海外FC展開も始動。

 

第1位:株式会社ヨークベニマル(郡山市) 売上高 4,799億3,100万円〈2024年2期〉

名門ポイント
東北・北関東に243店。郡山プロセスセンターと高速物流で“店着後12時間完売”を実現し、食品ロスを7年連続削減。震災後は全店に非常用電源を整備し「止まらないスーパー」として信頼を確立。地産食材コーナー「ふくしまプライド。」やPB商品で県産農業と共栄し、AI需要予測で粗利率と環境指標を同時に改善。ESG先進企業として流通業界の指標となっている。

総評

 

福島県のランキングを俯瞰すれば、売上 4,800 億円規模の食品スーパーから 30 億円規模のローカルテレビ局まで実に厚い産業層が形成されている。特徴は三つ。

第一に“BCP発祥地”としての強靱さだ。流通、電力、金融の各社は震災を教訓に多重化されたサプライチェーンとクラウド基幹系を整備し、非常時でもサービスを止めない。

第二に“DX の即戦力化”。生成 AI や IoT を単なる実証で終わらせず、現場に埋め込み粗利と顧客体験を同時に押し上げる仕組みが随所に見られる。

第三に“地域共創”。食品卸の佐藤や地銀各行は、県産酒の輸出や農産品 E‑コマースを自ら立ち上げ、一次産業と都市部の消費を直結させている。

人口減少という構造的な逆風のなかで、福島企業は復興のカタチを「収益モデル」として定着させつつある。BCP と DX、そして地域共創。この三本柱が揺るぎない限り、福島発ビジネスの成長曲線はこれからも右肩を描き続けるだろう。

名門企業について他の企業を知っている方は教えてください。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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