
フジテレビにおけるハラスメント問題について、第三者委員会がまとめた報告書が公表された。その内容から、週刊文春などで「三大悪人」として名指しされていたF氏(フジテレビのアナウンス室部長、佐々木恭子アナと見られる)が、実際には困難な立場に置かれていたことが明らかになった。
板挟みの状況に置かれたF氏
報告書によると、F氏はアナウンス室の部長という立場にありながら、専門的なメンタルケアの知識を持たないまま、「同じ女性だから」という理由で、被害者である女性アナウンサーAの対応を任されたという。フジテレビの組織内での対応が適切に機能しないなか、F氏はAのケアと会社の意向の間で大きなプレッシャーを受けていた。
また、F氏は報告書内で、経営陣からの明確な指示がないままAへの対応を迫られ、結果的に「伝言役」に徹せざるを得なかったと記されている。F氏は独自の判断でAをサポートしようとしたが、社内の連携不足により、適切な対応ができなかったと指摘されている。
「三大悪人」との評価は適切か
一方、週刊文春などの報道では、F氏を含む3人の幹部が「三大悪人」として名指しされ、ハラスメント対応の不手際を厳しく批判されていた。しかし、今回の報告書では、F氏の立場が極めて困難だったことが浮かび上がる。アナウンス室はハラスメント問題の専門部署ではなく、人事局やコンプライアンス部門との連携が不十分だったことが問題の一因であると指摘されている。
また、経営幹部であるG氏やE氏が、適切な指示を出さなかったことも報告書では批判されており、F氏個人に責任を負わせるのは不適切だという見方もできる。
清水社長がF氏の名誉回復を言及
3月31日の記者会見で、フジテレビの清水賢治社長は、第三者委員会の報告書の内容について「事実を明らかにするうえで意義のあるものだった」と評価。その中でも特に「F氏の名誉回復につながる内容が含まれていたことは、報告書の良かった点の一つだ」と言及した。
清水社長は、「これまでの報道ではF氏を過度に批判する声が多かったが、今回の調査結果によって、その評価が見直されるべき部分があることが分かった」と述べ、フジテレビとしてF氏への対応を再考する方針を示した。
フジテレビの今後の対応
今回の報告書を受けて、フジテレビは組織内のハラスメント対策の見直しを進める方針を示している。報道の影響を受けて批判されたF氏に対して、再評価の声も出る可能性がある。一連の問題を受けて、フジテレビは社内のハラスメント対応体制の改善を求められており、特に経営陣の対応が問われることになりそうだ。
この問題は、単なる個人の責任追及ではなく、組織全体の構造的な課題として捉える必要がある。今後のフジテレビの改革がどのように進むかが注目される。