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結婚式場の倒産が続出!ブライダル業界の現実 3割赤字・倒産の背景とは?

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結婚式場 倒産
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結婚式場業界が厳しい局面を迎えている。国内の結婚式場運営企業のうち3割以上が赤字に転落し、業績悪化が止まらない。さらに、福岡県の大手式場「アルカディア」の破産をはじめ、全国各地で倒産が相次ぐ。なぜ、結婚式場の経営はここまで厳しくなったのか。その背景と今後の展望を探る。

 

結婚式場業界の現状 3割が赤字、回復しない市場

結婚式場業界は、新型コロナウイルスの影響を受けて以降、厳しい状況が続いている。

帝国データバンクの調査によると、2023年度における結婚式場運営企業のうち35.6%が赤字となり、「減益」を含めると業績悪化は全体の約6割に達した。さらに、2024年度の市場規模は4800億円前後と見込まれるものの、2018年度(6163億円)と比較すると約8割の水準にとどまり、コロナ前の水準には完全に戻っていない。

この背景には、結婚式の形式や規模の変化がある。コロナ禍を機に、「ナシ婚」(結婚式を挙げないカップル)や「ジミ婚」(小規模な結婚式)が増加し、従来の豪華な披露宴を伴う結婚式が敬遠される傾向が強まっている。

業績悪化の要因

1. 「ナシ婚」「ジミ婚」の拡大

近年、結婚式を挙げない「ナシ婚」を選択するカップルが増えている。厚生労働省の統計によると、2023年の婚姻数は50万組を下回り、少子化や晩婚化の影響も相まって、結婚式の需要は減少傾向にある。また、挙式を行う場合でも、家族や親族のみの少人数婚を選ぶケースが増え、大規模な披露宴を行うカップルは減少している。

2. 物価高騰による影響

人件費、食材費、光熱費などのコストが増加しているにもかかわらず、式場側は価格の大幅な引き上げが難しい状況にある。帝国データバンクの調査によると、コース料理の料金を引き上げた式場もあるが、利用者の負担を考慮し、十分な価格改定ができない企業が多いという。

3. 競争激化と経営難

さらに、競争の激化も業績悪化の要因の一つである。全国各地に結婚式場が乱立し、集客競争が激化。式場ごとの価格競争が進み、利益率が低下している。加えて、ブライダル関連業者の倒産も増えており、式場の経営はますます厳しくなっている。

4. 婚姻数の減少

日本の婚姻数は長期的に減少傾向にある。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2023年の婚姻件数は約49万組で、前年比で約5万組減少している。これは前年の約54万組から約9%の減少となり、過去最低水準を更新した。1990年代には年間80万組以上の婚姻があったが、近年は少子化や非婚化の影響により大幅に減少している。この傾向は今後も続くと見られ、結婚式場業界にとっては市場縮小の要因となっている。

相次ぐ結婚式場の倒産 「アルカディア」破産の衝撃

2024年2月、福岡県の大手結婚式場「アルカディア」が破産を申請し、業界に衝撃が走った。アルカディアは1973年創業の老舗で、福岡県や佐賀県を中心に複数の式場を運営していたが、コロナ禍による業績悪化に加え、雇用調整助成金の不正受給が発覚し、経営が行き詰まった。

負債総額は約40億円に上り、式場で挙式予定だった多くのカップルが影響を受けた。NHKの報道によると、直前に結婚式を予約していたカップルの一人は「頭の中が真っ白になった」と心境を語っていた。

また、広島の結婚式場「シャイン」も2023年8月に破産を申請しており、負債総額は20億円に達している。コロナ禍で急減した挙式数が回復せず、経営を維持することが困難になった。

今後の展望 生き残る式場と淘汰される式場

1. 差別化戦略の重要性

厳しい環境の中でも、一部の式場はユニークな演出や個性的なサービスを提供することで生き残りを図っている。例えば、フォトウェディングに特化したプランや、少人数婚向けの特別プランを用意するなど、新たなニーズに対応する試みが進んでいる。

2. サービスの多様化

結婚式場の一部は、ブライダル事業以外にも収益源を拡大する動きを見せている。例えば、レストラン経営やイベントスペースの貸し出しを行うことで、収益の柱を増やす戦略を取る企業も増えている。

3. 顧客満足度の向上

生き残るためには、顧客満足度の向上が不可欠である。価格競争に巻き込まれるのではなく、質の高いサービスを提供し、口コミやリピーターの獲得を目指す式場が成功を収める可能性が高い。

まとめ 結婚式場業界の未来は?

結婚式場業界は今、大きな転換期を迎えている。コロナ禍の影響から完全に回復することなく、新たなトレンドや経済環境の変化に対応する必要がある。生き残るためには、独自性を打ち出し、顧客のニーズに柔軟に応えることが求められる。

これから結婚式を考えているカップルにとっても、式場選びはより慎重に行う必要がある。経営状況を確認し、信頼できる式場を選ぶことが、安心して特別な日を迎えるための鍵となるだろう。

【参照】「結婚式場」業界動向調査(2024年度)(帝国データバンク)

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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