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AIが生み出すアートの価値とは?世界初のAI作品オークションに4000人が反対署名

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AIロボットとアート
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AIが生み出すアートの価値はどこにあるのか?世界的オークションハウスのクリスティーズが、人工知能(AI)によって制作されたアート作品のみを扱う世界初のオークションを開催している。しかし、これに対し約4000人のアーティストや関係者が反対の声を上げ、開催中止を求める署名活動を展開している。その背景には、AIがアーティストの作品を無断で学習する著作権問題や、芸術の未来に対する根本的な疑問がある。
本記事では、AIアートの現在地と今後の可能性について詳しく掘り下げる。

 

クリスティーズのAIアートオークションとは?

ニューヨークのオークションハウス、クリスティーズは2025年2月20日から3月5日まで、「Augmented Intelligence」と題したオークションを開催している。このオークションでは、AIを用いて制作されたアート作品のみが出品され、クリスティーズはAI作品が芸術の新たな可能性を示すものとして、この試みを「創造性の拡張」と位置付けている。

オークションには20点以上の作品が出品され、NFT(非代替性トークン)を活用したデジタルアートや、AIを活用したライトボックス、彫刻、版画などが含まれる。推定落札総額は60万ドル(約9200万円)を超えるとされ、作品にはPindar Van Arman氏やRefik Anadol氏といった著名なAIアーティストの作品も含まれる。

しかし、この画期的な試みは大きな論争を引き起こしている。

4000人が反対署名、AIアートに対する懸念とは?

オークション開催が発表されるや否や、アーティストやクリエイターから強い反発の声が上がった。その結果、公開書簡には3936人が署名し、オークションの中止を求める動きが加速している。

署名者の主張は主に以下の3点に集約される。

1. 著作権侵害の懸念

AIアートの生成には、著作権で保護されたアート作品が無断で学習されている可能性がある。この点について、AIがアーティストの許可なく作品を学習し、それを基に新たな作品を生み出すことは「搾取」だとする声が多い。

アーティストの創造性への脅威

AIによる作品が市場に広がることで、人間のアーティストの仕事が奪われる可能性があるという懸念がある。特に、AIアートの急速な発展が、人間の芸術活動の価値を相対的に低下させると危惧されている。

アート市場への影響

AI作品が高額で取引されることで、従来のアート市場の価値基準が大きく変わる可能性が指摘されている。さらに、人工知能の活用が進むことで、アートの「本物らしさ」や「作家性」の概念が変化することへの不安もある。

AIアートは創造か搾取か?支持派と批判派の主張

 

AIアートの支持者は、AIは人間の創造性を拡張し、新たな表現手段を提供するものだと考えている。クリスティーズのデジタルアート部門の専門家、セバスチャン・サンチェス氏は「AIはアーティストの創造性を補完するものであり、芸術の新たな形を提供する」と述べる。

一方で、アーティスト側からは強い反発がある。例えば、アーティストのKarla Ortiz氏は「AIが無許可でアーティストの作品を学習し、それを基に新たな作品を生み出すことは盗用に等しい」と主張する。特に、許可を得ずに学習したAIモデルを使用している点が批判の中心となっている。

このように、AIアートが創造性を拡張する革新であるのか、それともアーティストの権利を侵害するものなのかについては、いまだに決着がついていない。

AIアートの未来:人間とAIは共存できるのか?

AIによるアートは今後ますます発展していくと考えられている。しかし、その法的枠組みや倫理的な基準はまだ確立されていない。すでにアメリカでは、AIが生成したアート作品に対する著作権の扱いについて法的議論が始まっている。

ただ、AI作品は過去に高額で取引された例がある。2018年には、AIが描いた「Edmond de Belamy」の肖像画がクリスティーズのオークションで43万2500ドル(約4800万円)で落札され、当初の予想価格であった7000~1万ドルを大きく上回った。2024年には、AIロボット「Ai-Da」が制作したアラン・チューリングの肖像画が、130万ドル(約1億9800万円)で落札された。このように、AIアートの市場価値は年々高まっているのだ。

今後のアート市場において、AI作品がどのような評価を受けるのかも大きな注目点となることは間違いないだろう。従来のアートと同じ価値基準で取引されるのか、それともAIアート独自の新たな価値基準が求められるのか、今後の市場の動向が注目される。

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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