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トヨタ実証都市『ウーブン・シティ』初公開!未来モビリティ全貌

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画像は25年1月7日に行われたCES 2025プレスカンファレンス(woven by TOYOTAより)

静岡県裾野市の旧東富士工場跡地に建設されたトヨタの実証都市『ウーブン・シティ』は、最新の自動運転技術や地下物流システムをはじめ、住民と発明家が共創する革新的なモビリティ実験場である。豊田章男会長が語る未来への想いとともに、今秋より実証実験が開始されるこの現場の魅力を徹底解説する。

ウーブン・シティ初公開の背景と概要

2025年2月22日、トヨタ自動車は静岡県裾野市に建設中の実証都市『ウーブン・シティ』を報道陣に初公開した。かつて稼働していた東富士工場跡地を再生し、新たな挑戦の場として誕生した本プロジェクトは、単なる都市開発ではなく、未来のモビリティ社会を実現するための実証実験拠点として位置づけられている。今回の公開では、自動運転専用道路、地下に広がる物流エリア、さらには住民と発明家が交わる共創拠点など、各種先端技術が集結している現場の全貌が明らかにされた。

トヨタは従来の自動車産業の枠を超え、異業種やスタートアップ企業との連携を通じて新たな価値創造を目指す「モビリティカンパニー」への変革を宣言している。今回公開されたフェーズ1エリアは約4万7千平方メートルに及び、今秋から関係者約100名が実際に生活を開始する計画である。

この実証実験により、リアルな環境下で得られるデータをもとに、技術革新のスピードを一層加速させる狙いが明確である。

静岡・裾野の旧工場跡地に広がる実証都市

『ウーブン・シティ』は、トヨタ自動車東日本東富士工場の跡地に建設されている。閉鎖後の再開発を経て新たな挑戦の場として整備された背景には、長年にわたり自動車産業に従事してきた地域の歴史と誇りが息づいている。豊田章男会長は、工場で働く仲間たちの思いを受け継ぎ、「クルマ屋たちの夢のあと」として本都市を位置づけた。こうした歴史と革新の融合は、従来の工場跡地では考えられなかった新たな実証実験の舞台として、多方面から注目されている。

また、地理的条件も大きな魅力である。東海道新幹線の三島駅から車でわずか20~30分という好立地に加え、雄大な富士山の景観を望むことができるため、環境面でも高い評価を得ている。こうした自然環境と都市機能が融合したエリアは、従来の実証実験場を凌駕する可能性を秘め、今後の発展に大きく寄与することが期待される。

先端技術が集結する主要施設の紹介

本プロジェクトの中核をなすのは、各種先端技術を実証するための施設群である。まず、地上に整備された自動運転専用道路は、従来の交通インフラを大きく変革する試みの一端を担っている。信号機は人流や車両の動向を計測する各種センサーを後付できる拡張性を備え、将来的な自動運転技術の実証実験において極めて重要な役割を果たす。

Kakezan Invention Hub
全面ガラス張りのKakezan Invention Hub(woven by TOYOTAより)

さらに、全面ガラス張りの『Kakezan Invention Hub』は、発明家(インベンターズ)と住民(ウィーバーズ)が集い、試作品や新たなサービスのアイディアを迅速に実証・改善するための共創拠点として機能する。各業界の強みを掛け合わせることで生まれる新たな価値創出の試みは、既にダイキンや日清食品、UCCジャパンなど複数の大手企業による実証実験で着実な成果を上げつつある。

また、地下に広がる物流エリアは、天候に左右されず自動配送ロボットなどを用いた実証実験が可能な設計となっており、エネルギー供給やネットワーク基盤の整備も同時進行で行われている。

物流の実証実験が行われる地下
物流の実証実験が行われる地下(woven by TOYOTAより)

住民参加型実証実験と多彩な取り組み

『ウーブン・シティ』は、技術の実証実験だけでなく、住民が実際に暮らすことでリアルなフィードバックを得る仕組みが特徴である。インベンターズとして最新の技術やプロダクトの開発に取り組む専門家と、ウィーバーズとしてその成果を実際に体験し、意見を交わす住民が共に生活することで、双方向の共創プロセスが実現される。これにより、単なる実験室的な環境ではなく、生活に根ざした実証実験が可能となる。

現段階ではトヨタ関係者やその家族約100名が居住を開始するが、最終的には360名程度、さらには将来的に2千人規模の入居を視野に入れている。加えて、スタートアップ企業や大学、研究機関との連携も進められており、2025年夏頃にはアクセラレータープログラムの募集も開始される予定である。こうした多角的な取り組みによって、実証実験は技術革新のみならず、社会全体の変革へとつながると各界から期待されている。

豊田章男会長が語る未来のモビリティ

公開式典に出席した豊田章男会長は、ウーブン・シティについて「進化し続ける永遠に未完成の街」であり、「未来のモビリティのテストコース」であると強調した。会長によると、本プロジェクトは単なる技術検証の場ではなく、地域と企業、住民が一体となって未来を切り拓くための実験場である。会長は、かつて東富士工場で働いた仲間たちの想いを受け継ぎ、「この場所を未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい」と熱く語った。

豊田会長の発言は、技術革新と伝統・地域への感謝を融合させた新たな挑戦として高く評価されている。会長の言葉に込められた決意と情熱は、今後の実証実験の成果や社会実装に大きく寄与することだろう。こうした背景から、ウーブン・シティは国内外で未来のモビリティモデルとして注目を集め、さらなる発展が期待される。

今後の展開と注目ポイント

現段階でのフェーズ1は約4万7千平方メートルのエリアに限定されるが、将来的には東京ドーム15個分、約70万平方メートルへの拡大が計画されている。これに伴い、最終的には2千人規模の居住者受け入れや、さらなる実証実験の拡大が視野に入れられている。現在、建物の内装工事や各種インフラ整備が着々と進行中であり、Phase2以降の造成工事も既に始動している。

また、実際の都市環境をデジタル空間に再現する「デジタルツイン」技術の導入は、交通、物流、エネルギー供給など多岐にわたる分野でのシミュレーションとフィードバックを可能とする。これにより、実証実験で得られたデータがリアルタイムで解析され、将来的なシステム改善や新たなビジネスモデルの構築に大きく寄与することが期待される。

総じて、ウーブン・シティは単なる先端技術の実証場に留まらず、企業、地域、住民が共に未来を創造する新たな試みである。今回の初公開を皮切りに、今後も多くの実証実験や革新的な取り組みが展開されることは間違いなく、国内外からの注目は今後ますます高まるであろう。

参照:woven by TOYOTA

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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