
ニッポン放送は、「カジノ無料版」と題する広告の放送を停止し、公式サイトで声明を発表した。従来の考査基準に基づき、オンラインカジノの広告は排除していたものの、一部の指摘を受け、より厳格な基準を適用する方針を示した。近年、オンラインカジノの違法性や依存症リスクが社会問題化しており、同社の対応はメディア業界全体にも影響を与える可能性がある。
ニッポン放送が無料カジノ広告を削除
ニッポン放送は18日、ラジオ内で放送していた「カジノ無料版」と題するオンラインゲームの広告を削除したことを発表した。これは、同社の広告が結果的に海外の有料オンラインカジノへ誘導される可能性があるとの指摘を受けたことが理由だ。同社は従来、オンラインカジノを運営する法人の広告を排除し、無料オンラインゲームとしての広告のみを放送していた。しかし、今回の指摘を受け、過去の広告やSNS投稿を削除し、今後の考査基準を厳格化するとしている。
「弊社は国内外問わず『有料オンラインカジノ』の広告は放送していませんが、『カジノ無料版』などのタイトルで運営される無料オンラインゲームの広告については、弊社考査基準内で放送していました」と同社は説明する。だが、昨今の社会的な流れを受け、より慎重な対応を取ることを決定した。
オンラインカジノとは?
オンラインカジノとは、インターネットを通じて賭博を行うことができるオンライン上のカジノのことだ。スマートフォンやPCで簡単にアクセスでき、スロットやカードゲームのほか、スポーツの勝敗を賭ける「スポーツベッティング」なども含まれる。
日本国内では賭博罪に該当し、オンラインカジノの利用は違法とされている。しかし、海外では合法的に運営されているケースも多く、違法性を十分に理解せずに利用する人が後を絶たない。また、「無料プレイ」や「ボーナス付き」といった広告によって、利用者を誘導する手法が横行しており、違法賭博に巻き込まれるケースが増えている。
オンラインカジノを巡る社会的な問題
芸能界にも影響
オンラインカジノの問題は芸能界にも波及している。吉本興業所属のタレントがオンラインカジノで賭博を行った疑いで警視庁の事情聴取を受けたことが報道された。また、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるま氏も、YouTube動画内でオンラインカジノの利用を認め、謝罪している。
依存症のリスク
ギャンブル依存症支援団体によると、無料ゲームをきっかけに有料カジノへ進む利用者が多いという。特に、スマートフォンで手軽に利用できるため、のめり込む人が増えているとの指摘がある。
急増する摘発
警察庁によると、2023年に全国で摘発されたオンラインカジノの利用者と業者は合わせて279人で、前年比3倍に増加したという。
「合法」と誤認する人も
無料版ゲームの広告や著名人がプロモーションに関与することで、オンラインカジノの違法性が十分に認識されていないケースが多い。特にSNSや動画配信サイトでの宣伝が影響し、「海外で合法だから問題ない」と誤解する人が少なくない。
今後の展開
ニッポン放送の声明を受け、他のメディアもオンラインカジノ関連の広告の見直しを迫られる可能性がある。また、政府も違法オンラインカジノの規制強化を進めており、今後さらに取り締まりが厳しくなる見通しだ。
消費者も違法カジノへの誘導に注意が必要である。「無料ゲーム」と称されていても、実際には有料カジノサイトへ誘導されるリスクがあるため、慎重な判断が求められる。「オンライン上で簡単に遊べる」ことが強調される一方で、その背後にある違法性を十分に理解し、利用しないことが重要である。
今後、メディア業界全体の広告基準の見直しや、政府の規制強化が進む中で、オンラインカジノを巡る問題への社会的な関心が一層高まることが予想される。
【参照】
・無料オンラインゲーム会社の広告放送について(ニッポン放送)
・オンラインカジノによる賭博は犯罪です!(政府広報オンライン)