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日本政府、国連拠出金の削減を決定 皇位継承勧告に対抗か?岩屋外相「経済的威圧ではない」

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皇室で女性天皇を認めないのは差別なのか?

外務省が皇室典範の改正を勧告した国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)を拠出金の対象から除外したことについて、岩屋毅外務大臣は1月31日の記者会見で「経済的威圧には当たらない」との見解を示した。

国連の女性差別撤廃委員会の日本への勧告

国連の女性差別撤廃委員会は昨年、日本政府に対し「皇位継承における男女平等を保証するため、皇室典範を改正すべき」との勧告を行った。これを受け、外務省は1月29日、対抗措置として、同委員会の活動を支える国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に対し、日本が支払う任意拠出金を同委員会の活動に使用しないよう通知した。

岩屋外相は今回の決定について、「皇室典範に関する記述の削除が受け入れられなかったことを重く受け止めた」と説明し、「経済的威圧という指摘は当たらない」と強調した。また、女性の社会進出は日本の持続的発展に不可欠であり、国連委員会との協力は今後も継続する意向を示した。

外務省の国連委員会拠出金削減、岩屋外相「経済的威圧には当たらない」

外務省が皇室典範の改正を勧告した国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)を拠出金の対象から除外したことについて、岩屋毅外務大臣は1月31日の記者会見で「経済的威圧には当たらない」との見解を示した。

国連の女性差別撤廃委員会は昨年、日本政府に対し「皇位継承における男女平等を保証するため、皇室典範を改正すべき」との勧告を行った。これを受け、外務省は1月29日、対抗措置として、同委員会の活動を支える国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に対し、日本が支払う任意拠出金を同委員会の活動に使用しないよう通知した。

岩屋外相は今回の決定について、「皇室典範に関する記述の削除が受け入れられなかったことを重く受け止めた」と説明し、「経済的威圧という指摘は当たらない」と強調した。また、女性の社会進出は日本の持続的発展に不可欠であり、国連委員会との協力は今後も継続する意向を示した。

異例の対抗措置、背景に広がる議論

今回の拠出金削減は異例の措置とされ、日本政府の姿勢に関してさまざまな意見が交わされている。日本の伝統と国際社会の価値観の間で、政府がどのような立場を取るべきかが問われている。

一方で、岩屋外相が進めた「中国人向けのビザ優遇政策」についても議論が広がっている。皇室の伝統を守る姿勢を強調しつつ、外国人に対する優遇策を推し進めることが「矛盾ではないか」との声も上がっている。日本の国益を考えた際に、外交戦略として一貫性が求められるとの指摘もある。

SNS上での反応

SNSでは、この問題についてさまざまな意見が寄せられている。

「外務省の対抗措置は当然だが、外相のコメントはいただけない。やったことと言っていることが違うから、日本の政治家に対する信頼度は上がらない」

「国連がわが国の伝統に口を挟むのは内政干渉。毅然とした態度を取るべきだ」

「国際社会への資金拠出を見直し、まずは国内の経済立て直しを優先すべきではないか」

今回の決定が今後の国際関係にどのような影響を及ぼすか、引き続き注目が集まっている。

国際比較:他国の王室制度はどう変化したか

国連の女性差別撤廃委員会は過去にも、各国の王室・皇室制度に対して同様の勧告を行っている。例えば、スペインでは、王位継承に関する法改正の議論が行われ、現在も形としては、男子優先の継承制度が維持されているが、現国王フェリペ6世には男子の子供がいないため、長女のレオノール王女が王位継承者となっている。また、スウェーデンは1980年にすでに王位継承における男女平等を実現しており、当時のカール16世グスタフ国王の長女であるヴィクトリア王女が継承権を持つようになった。

一方、デンマークやノルウェーなどの北欧諸国も21世紀初頭に性別を問わない継承ルールに移行している。これらの国々では、王室が象徴的な存在であり、国民の支持を得るためにも時代に合わせた改革が必要とされた。

しかし、日本の皇室制度は、歴史的背景や宗教的価値観が強く関与しており、簡単に制度を変更できるものではない。歴代天皇が「男系(父方が天皇の血統を継ぐ)」によって継承されてきたことが、日本の伝統に深く根付いているため、他国と同じように制度改革を進めることは難しい状況にある。

こうした背景から、日本政府は「国際社会の価値観をそのまま適用するのではなく、伝統と調和させる必要がある」との立場を取っている。しかし、国連側は「性別による差別の撤廃は普遍的な価値」としており、日本と国際社会の間には大きな認識の違いがあることが浮き彫りとなっている。

拠出金削減の経済的影響と外交的な位置づけ

今回の拠出金削減が実際にどの程度の影響を持つのか、経済的な視点から分析すると、日本政府が国連に拠出している資金の全体像が見えてくる。

日本は国連全体への拠出額で見ると、2023年時点で約3.5億ドル(約500億円)を負担し、米国、中国に次ぐ世界第3位の資金拠出国となっている。このうち、女性差別撤廃委員会にどれだけの資金が流れていたかの詳細は公表されていないが、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)への拠出金の一部が今回の制限対象になったことで、委員会の運営に少なからず影響を与える可能性がある。

外交的な観点から見ると、日本が拠出金を制限することで「国際機関への資金提供を通じた影響力を行使する意図がある」と解釈される可能性がある。これは、日本が過去に国際機関の方針に影響を与えようとした事例と類似しており、たとえば2018年にユネスコ(国連教育科学文化機関)への拠出金を一時停止した際も、日本政府は「歴史認識問題での一方的な対応に対抗するため」と説明していた。

ただし、国連全体の予算規模から見ると、日本の拠出金の影響は限定的であり、仮に日本が資金を削減しても、欧州諸国や米国などが不足分を補填する可能性がある。外交的な圧力としての効果は不透明だが、日本政府としては「国際機関に対し、無条件に拠出金を提供するわけではない」との姿勢を示す狙いがあると考えられる。

伝統と国際基準の狭間で

今回の外務省の決定は、日本の伝統的価値観と国際基準の対立を象徴する出来事となっている。

国連の女性差別撤廃委員会が勧告した「皇位継承の男女平等化」は、欧州の王室制度ではすでに実現しているものの、日本では長年の慣習や価値観が絡むため、単純に適用するのは難しい。一方で、日本が拠出金を削減することで、国際社会から「経済的威圧ではないか」との批判が出るのは避けられず、今後も議論が続くことが予想される。

国際的な圧力と日本国内の価値観のバランスをどう取るのか。皇室制度と外交政策の今後の展開に注目が集まっている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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