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注文殺到、でも配達員がいない! Uber Eats崩壊の危機

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UBER EATS機能不全に?
イメージ画像。生成AIで作成

「注文しても配達員が見つからない」
「料理が冷めた状態で届く」
「1時間待ってキャンセルされた」

かつては快適さとスピードを売りにしていたフードデリバリーサービス最大手のUber Eatsが、いま利用者の不満の的となっている。SNS上には怒りの声が溢れ、飲食店は廃棄せざるを得ない料理に頭を抱え、配達員は生活の糧を求めて他社へと流出している。

一体、何が起きているのか。数字の羅列だけでは見えてこない現場の声に耳を傾けると、そこにはUber Eatsが抱える深い“歪み”が浮かび上がる。

報酬システム改定が引き起こした“歪み”

事の発端は2024年7月20日、Uber Eatsは配達員の報酬アルゴリズムを改定したことに遡る。影響はすぐに現場を直撃した。以前は平均500円前後だった配達報酬が、300–400円台にまで減少し、低単価の案件が急増した。この改定により、配達員の士気は急速に低下したという。

一方で、まれに3000–6000円の高額報酬案件、いわゆる「くじら」が出現する仕組みが導入された。

「次は高額案件に当たるかもしれない」という期待を抱かせる一方で、低単価の案件は敬遠されるようになった。報酬システムの改定が“ギャンブル化”を招いた結果、配達遅延やキャンセルが頻発する事態となったようだ。

真夏の猛暑の中、労働に見合わない報酬に不満を持つ配達員たちは、他のフードデリバリーサービスへ移籍したり、配達業務を辞めるケースも増加している。「この報酬では生活できない」という声が、配達員コミュニティ内で日常的に飛び交っている。

8月に入ると、状況はさらに悪化した。「くじら」の出現頻度は減少し、配達員の不満はピークに達した。

2025年1月現在の最新状況

年が明けた2025年1月。フードデリバリー業界では不協和音が鳴り響いている。Uber Eatsは2024年12月から配送料の算出システムの一部変更を開始し、2025年1月末までに完了する予定だと報じられている。しかし、この変更が状況改善の鍵になるかは疑問だ。

「配達1件あたりの報酬が300円程度では、時給換算で600円にしかならない。これでは家族を養えない」と語る配達員もいる。寒波の中、凍える手でスマートフォンを握りしめる彼らの背中からは、疲弊がにじみ出ている。

SNS上でも、利用者の不満の声は止まらない。「寒い中、料理を頼んだが、結局キャンセルされた」という投稿が目立ち、利用者の離反が加速している。Uber Eatsのブランドイメージは急速に悪化し、利用者からの信頼回復は容易ではない状況だ。

飲食店もまた、「注文を受けても配達員が見つからず、料理を廃棄する日々が続いている」と苦境を訴えている。飲食店側の廃棄による損失は経営に深刻な影響を及ぼし、特に中小規模の店舗にとっては死活問題となっている。

配達員、飲食店、利用者の三重苦

この報酬システムの改定は、配達員、飲食店、利用者のすべてに悪影響を及ぼしている。「単価が低すぎて生活できない」と訴える配達員たちの悲痛な声が、至るところから聞こえる。彼らは待機時間が長引き、低報酬の案件ばかりを押し付けられる現状に疲弊している。

飲食店も、せっかく調理した料理が時間内に届けられず、廃棄を余儀なくされるケースが増えている。Uber Eatsを通じた売上は、多くの飲食店にとって重要な収益源だ。だが、配達員不足がこのまま続けば、経営そのものが立ち行かなくなる恐れがある。

利用者はどうだろうか。「1時間以上待たされた挙句、勝手にキャンセルされた」「店に電話したら、商品はとっくに出来上がっていた」という怒りの声がSNS上で飛び交っている。これにより、Uber Eatsのサービスに対する信頼は大きく揺らいでいる。

Uber Eatsの対応と業界の未来

現時点で、Uber Eatsからの明確な対応策は示されていない。配達員で組織された労働組合「ウーバーイーツユニオン」は、報酬アルゴリズム改定に関する質問状を運営元に送付し、回答を求めているが回答はないようだ。透明性のある報酬システムには程遠く、破綻が目前となっているようだ。

フードデリバリー業界全体の持続可能性にも影響を及ぼすこの問題は、Uber Eatsだけの課題ではない。競争が激化する中で、配達員を適切に処遇しなければ、他社への人材流出が続き、サービス全体の質が低下する危険性がある。

業界関係者の中には、「Uber Eatsがどれほど早く対応に動くかが、フードデリバリー業界全体の未来を左右する」と語る者もいる。サービスを利用するすべてのステークホルダーが納得できる仕組みを構築することが急務だ。

持続可能なフードデリバリーの未来に向けて

Uber Eatsの危機は、フードデリバリー業界の構造的課題を浮き彫りにしている。報酬システムの見直しは、単なるコスト削減策ではなく、サービスの根幹に関わる問題だ。このまま適切な対応がなされなければ、Uber Eatsのブランドイメージはさらに悪化し、利用者の離反が進むだろう。

今こそ、配達員、飲食店、利用者すべてが納得できる仕組みを構築し、持続可能なビジネスモデルへの転換を図るべきである。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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