世界規模の調査会社イプソスが実施した「教育モニター2024」調査によると、日本のZ世代は教育システムにおける最大の課題として「時代遅れのカリキュラム」を挙げていることが明らかになった。
これは、持続可能な社会の実現に不可欠な人材育成という観点からも看過できない問題である。
Z世代とその他世代で意識の差
同調査では、現代の日本の教育システムの最大の課題について、Z世代は「時代遅れのカリキュラム」(36%)を、ミレニアル世代より上の世代は「教員教育が不十分」(41%)をそれぞれ最多の回答として選択している。
Z世代はデジタルネイティブ世代であり、変化の激しい現代社会において、時代に即したスキルや知識を身につける必要性を強く感じていると考えられる。
一方で、「あなたの国における教育システムの全体的な質をどう評価しますか?」という問いに対しては、日本では「良い」と回答した人が19%にとどまった。
しかし、世代別にみると、Z世代では「良い」と回答した割合が他の世代よりも高く、約3割が日本の教育システムを肯定的に評価している点は注目に値する。
情報化社会の進展に教育が追いつかない?
Z世代が「時代遅れのカリキュラム」と感じる背景には、情報化社会の急速な進展が挙げられる。
Society 5.0時代においては、AIやビッグデータなどを活用する能力が求められており、従来型の知識偏重の教育では対応が困難になりつつある。
求められる教育改革とは
教育現場では、企業や地域社会との連携を強化し、実践的なスキルを習得できる教育プログラムを導入するなど、時代に即した改革が求められる。
具体的には、企業によるインターンシップの受け入れ体制の整備や、地域課題の解決に学生が主体的に取り組むプロジェクト型の学習などを推進していく必要があるだろう。
イプソス株式会社代表取締役社長の内田俊一氏は、今回の調査結果について、「実際の教育現場は、世間一般が抱くイメージよりも、時代に合わせた適切な環境・対応が整備されている」としながらも、「Z世代の声を踏まえ、社会全体の意識改革を進めていくことが重要だ」と指摘している。
未来のために
持続可能な社会の実現のためには、次世代を担うZ世代が、変化の激しい時代を生き抜き、未来を創造していく力を育む必要がある。
そのためにも、彼らの声に真摯に耳を傾け、時代に即した教育改革を大胆に進めていくべきである。
調査レポート詳細は以下からもご覧になれます。
【イプソス「教育モニター2024」調査レポート(日本語)】
【グローバルサイト(英語)】
【プレスルーム】
【調査概要】
調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
調査対象: 世界30カ国23,754人(日本人2,000人)
インドの18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74 歳、その他の国の16~74歳
実施日: 2024年6月21日(金)~7月5日(金)
調査機関:イプソス
【調査会社概要】
会社名:イプソス株式会社
所在地:東京オフィス 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
代表者:代表取締役 内田 俊一
事業内容:世論調査並びに各種市場調査の調査企画立案、実査、集計、分析、レポーティングに関する全てのサービス
HP:https://www.ipsos.com/ja-jp