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アバターの向こう側に見える未来|VRChatが切り拓く企業戦略とサステナビリティの新境地

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VRChatとサステナビリティ サムネイル
(筆者制作)

「サマーウォーズ」でかつて私たちが夢見たような世界が、今まさに実現の時を迎えている。

サマーウォーズ公開から15年、仮想空間と融合する世界は私たちの足元にまで来ており、もはや一部の人たちにとっては「仮想世界で生きる」ことがおおよそ日常になっているらしい。

昨今メタバース界隈、およびSNS界隈を騒がせているのが「VRChat」というサービスだ。

2024年元日には、VRChat(バーチャルリアリティチャット)の同時アクセス数は14:27(日本時間)に105,991人に達していたという。

Twitchをメインとして活動するストリーマーのスタンミは、このVRChatを舞台として他プレイヤーと遊ぶ様子を配信することによって、YouTubeのゲーム部門急上昇1位を獲得するという偉業を達成した。

VRChatは今、かつてないほどの盛り上がりを見せている。

この新しいデジタル世界は、ゲームや娯楽を超えて、企業戦略とサステナビリティが交わる魅力的な場になりつつある。今回はそんなVRChatが提案してくれるビジネスのあり方について考察していこう。

企業と肩を並べる技術を体感できる、新時代のソーシャルメディア

VRChatとサステナビリティ 記事画像
PhotoACより

VRChatは、VR機器がなくても、パソコン1台あれば利用できるサービス。現在ではMeta社が販売するVRゴーグルのMeta Questシリーズが主流だが、そういったものがなくても今やVRの世界に入れる。

もちろんMeta Questがあればよりバーチャルへの没入感を味わえるが、費用的に厳しいという消費者も少なくないだろう。

しかし、VRChatはパソコンを起動するだけで現実とは離れた別世界に行ける。消費者はお気に入りのアバターを身に着け、有志で作られたさまざまなワールドを巡り、1日を過ごす。

ワールドの種類は無限。本職も居るという航空飛行場で管制官・パイロットを体験できる場や、DJ体験ができるクラブ、宇宙を体感できる博物館など、巡ろうと思えば枚挙にいとまがない。

驚くべきことに、これらのアバターやワールドのほとんどは個人の手によって制作されている。

中にはワールドのイベントに参加するのに数週間の待機を要するものもあり、大企業の洗練されたマーケティング戦略と肩を並べて存在しているといっていい。

また人種や国籍、言語を問わず、さまざまな人々が毎秒交流を行っている。
この多様性こそがVR Chatの最大の魅力であり、同時に、サステナビリティへの扉を開く鍵なのだ。

仮想世界が現実世界を救う?サンリオや日産も参入する世界

バーチャルマーケットの様子
出典:バーチャルマーケット公式サイト

「バーチャル」という言葉から、現実世界との乖離を想像するかもしれない。しかし、実はその逆だ。VR Chatは、私たちの現実世界をより持続可能なものにする可能性を秘めているのである。

例えば、株式会社サンリオは今年も「SANRIO Virtual Festival 2024 Summer Edition」をVRChat内で開催する。

同イベントではVRChat内で開催されているワールドイベントを運営するコミュニティも協力して実施するとのこと。

例えば「もふもふ喫茶きとぅん」や「V.R.A.F飛行機教習所」がコミュニティコラボとしてサンリオに協力する。

いずれの団体も企業ではなく「好き」が高じて集まった個人の集団であり、企業とは何の繋がりもない。しかしVRChatであれば、企業と個人という壁を超えてごく自然にプロモーションが行える。

多くの才能が埋もれていくなか、クリエイターエコノミーを活性化するのには最適な場所ではないだろうか。

サンリオだけではない。実は日産自動車も既にVRChatに参入している。日産自動車はVRChatの中の最大のマーケット「Vket」にてさまざまなコンテンツを登場させた。

例えば発電施設で電気自動車「日産アリア」を充電し、快適な暮らしに必要な電気を獲得するミッションを達成させていくゲーム型のコンテンツなど、ゲーム感覚で楽しめるものだ。

現実世界で何となくマーケティングに困っている企業も、先進的な大手企業のようにVRChatに参入することによって、このように顧客に新たな視点を提供でき、ビジネスの活路を見出すことができる。

クリエイターエコノミーが活性化し、新しい文化的サステナビリティの形が生まれる

VRChatとサステナビリティ 記事画像
PhotoACより

VRChatは、新たなクリエイターエコノミーの揺籃となる可能性を秘めている。ここでは、誰もが自らの想像力を形にし、それを世界中の人々と共有することができる。

例えば、ある企業がVRChat内でクリエイター育成プログラムを提供したとしよう。

すると3Dモデリングや仮想空間デザイン設計のスキルを持つ人々が、世界中から集まってくる。彼らは物理的な制約が一切なく、自由に創造活動を行うことができるのだ。

これは単なる経済活動にとどまらない。VRChatが世界で使われていることを踏まえると、文化の多様性を促進し、新たな表現方法を生み出す源泉となることを示唆している。

また最も重要なことは、この創造的な活動は現実世界の資源を消費することなく行われるということだ。

これは、まさに文化的サステナビリティの具現化といえるのではないだろうか。

未来への航路を、デジタルとリアルの狭間で

バーチャルマーケットの様子
出典:バーチャルマーケット公式サイト

VRChatが描く未来は、デジタルと現実が見事に調和した世界だ。

ここでは企業活動がサステナビリティと矛盾することなく、むしろ無駄な資源を使わないことから、サステナブルな戦略を促進する力となる。

この未来図は決して夢物語ではない。既に、スタートアップベンチャーである株式会社HIKKYの「Vket」は、クリエイターと企業をつなぐプラットフォームとして機能している。

サンリオや日産に限らず、老舗である大丸百貨店はVR空間内に店舗を再現し、新しい買い物体験を提供した。

私たちは今、デジタルの海原に漕ぎ出そうとしている。その航路はサステナビリティに導かれながら、新たな価値創造へと向かっている。

この航海に参加する企業は、単なる利益追求を超え、社会と地球の持続可能性に貢献する先駆者となるだろう。

VR Chatの世界は、まさに無限の可能性を秘めている。そこでは、企業の創造力と社会的責任が交差し、新たな価値が生まれ続ける。

私たちの現実世界をより豊かで持続可能なものにする鍵となるかもしれない。

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ライター:

1999年8月6日生まれ。早稲田大学文学部社会学コース卒業。Webマーケティング企業にて勤務したのち、フリーライター・ディレクター・メディアマーケターとして幅広く活動している。主にITやSDGs・メンタルヘルス、サブカルチャー、ライフスタイル分野に関わる。

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