
ビジネスパーソンが日々の消費行動に「大義」を求める時代、一つのブランドが静かな変革を起こした。社会課題の解決を掲げるボーダレス・ジャパンの「LIB」が発表した、新しい挑戦である。
成功の象徴だった本革をあえて手放す挑戦の裏側
本革製品のブランドとして、全国に店舗を拡大してきた「LIB」が、ブランド初となる異素材コレクションを発表した。第一弾として選ばれたのは、服づくりの過程で廃棄されるはずだった繊維くずを再利用した、再生コットン100%のキャンバス素材である。
2026年6月5日からバッグ2型を投入し、8月に向けてアイテムを順次拡充していく。バングラデシュの自社工場で約900名の雇用を生み出してきた同ブランドが、なぜ今、祖業とも言える「革へのこだわり」を飛び越え、新たな素材へと舵を切ったのだろうか。
エシカルの限界を突破する異素材ハイブリッド

これまで市場に存在した環境配慮型のバッグは、デザイン性やビジネスシーンでの実用性に欠けるものが少なくなかった。しかし、同ブランドの取り組みは一線を画す。
再生コットンの軽やかさを主役に据えながらも、要所には得意の「牛本革」を組み合わせたのだ。この巧みなハイブリッドにより、エシカルでありながら、ビジネスパーソンが品格を保てる上質さを両立させた。既存の強みを捨てるのではなく、新しい素材と掛け合わせることで、他社が真似できない独自の価値を生み出している。
顧客のわがままに寄り添う社会起業家たちの哲学
「もっと軽やかに、オンでもオフでも使いたい」という顧客の本音に応えた結果、この決断に至ったという。
代表取締役CEOの田口一成氏が率いるボーダレス・ジャパンの根底には、大義名分を押し付けるのではなく、人々の日常に自然と溶け込む選択肢を作らなければ社会は変わらない、という強い信念がある。
ブランドの殻に閉じこもらず、ライフスタイルの変化に合わせて自らをアップデートさせていく姿勢こそが、彼らの本質である。
過去の成功体験を疑う柔軟性こそが未来を拓く
この変革から私たちが学ぶべきは、自社のアイデンティティや過去の成功体験に縛られない柔軟な姿勢である。どれだけ社会に良い取り組みであっても、消費者のリアルな生活に寄り添わなければ淘汰されてしまう。
大義と実利、この一見矛盾する二つの要素を高い次元で調和させる同社の戦略は、これからの不確実な時代を生き抜くすべてのビジネスパーソンにとって、極めて重要な示唆に富んでいる。



