
九州最大の繁華街・天神。その華やかな光の陰に、若者たちがたむろする「警固(けご)公園」がある。通称、“警固界隈”。 「西のトー横」とも呼ばれるこの場所で、生活保護というセーフティネットを悪用し、少女たちを食い物にしていた男が福岡県警に逮捕された。
直方市の無職・長谷川泰成容疑者(51)。 彼が武器にしたのは、ナマポ(生活保護)特権でタダで手に入れた、山のような向精神薬だった。
「ナマポで薬はタダ」3400錠の毒牙
「薬あるよ。欲しかったら……わかるよね?」
長谷川容疑者の手口は、卑劣極まりない。生活保護受給者が医療費を負担しない「医療扶助」の仕組みを悪用し、複数のクリニックをハシゴ。 ADHD治療薬のコンサータ、抗不安薬のコンスタン、睡眠薬のブロチゾラムなど、実に約3400錠もの錠剤を無料で入手していた。
本来、困窮者を救うための制度が、孤独な少女をベッドへ誘い込むための「錬金術」に使われていたのだ。
交番の目前で「ブリブリ」になる無法地帯
長谷川容疑者が猟場(かりば)とした「警固界隈」は、大人の常識が通用しない異界だ。 公園のすぐ目の前に交番があるにもかかわらず、若者たちは警察を空気のように無視する。
「ここで20人で大麻をしてさ。『ぶりぶり』(酩酊状態)になって、公園にいる人が全員警官に見えて走り回った」
以前、界隈にいた少年はそう豪語した。大麻(ガンジャ)やリキッドが1グラム数千円で飛び交うこの場所で、金のない少女たちにとって、長谷川容疑者の「タダの薬」は悪魔の囁きだった。
少女たちの悲鳴「優しそうな顔をして、体を要求してきた」
なぜ、親子ほど年の離れた51歳の無職男に、少女たちはなびいたのか。 界隈を知る少女(10代)は、震える声でその実態を明かす。
「家にも学校にも居場所がなくて、ここに来るしかなかった。ここの大人は最初、すごく優しく『辛いね』って話を聞いてくれる人が多い。でも、大抵のヤツが、そのうちスケベな下心丸出しで、薬をチラつかせて『ホテル行こう』って。断ったら薬をもらえなくなる……。私がオーバードーズ(過剰摂取)したくて震えてるのを知ってて、足元を見てくるんです」
また、別の女性(20代)は、界隈の残酷なルールを吐き捨てた。
「ここでは薬が“通貨”なんです。JKだろうが何だろうが、薬を持ってる奴が王様。ナマポのおっさんが、タダで手に入れた錠剤一つで女の子を食う。それが警固界隈の日常ですよ」
懲役5年以下の末路
長谷川容疑者は「麻薬及び向精神薬取締法違反」の疑いで再逮捕された。営利目的がなくとも、譲渡目的で所持すれば5年以下の懲役だ。
「すべて譲渡目的ではない」と一部否認しているというが、3400錠という異常な数が、その欲望の深さを物語っている。 税金で贖(あがな)われた薬で、未来ある少女たちの心と体を弄んだ代償。そのツケは、あまりにも重い。



