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EVに出遅れたはずのトヨタが、なぜ今「正しかった」と言われ始めたのか

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海外投資家が評価を変えた日と、EV化でファンを切り捨てた欧州メーカーの現場証言

トヨタの逆襲 EV出遅れ

「トヨタはEVで完全に出遅れた」。

そんな評価が、いつの間にか常識のように語られてきた。だが、その前提がいま、海外で静かに崩れ始めている。

 

きっかけの一つとなったのが、1月29日付で配信されたロイター通信の記事だ。同通信は、トヨタ自動車が2025年の世界販売台数で約1130万台を記録し、6年連続で世界首位を維持したと報じた。その内訳として、ハイブリッド車が全体の4割超を占める一方、バッテリーEVは2%に満たなかった点を強調している。EV一本足打法を取らなかったトヨタの姿勢が、結果として販売の安定につながっているという文脈だった。

この報道が出た前後から、欧米の投資家向けコメントや市場分析のトーンが変わり始めた。EV市場そのものが失速しているわけではないが、成長のスピードと質が当初の想定からずれてきたという認識が広がっている。

 

EV市場に起きた「想定外の減速」

EVを巡る空気が変わった背景には、数字がある。欧州では購入補助金の縮小や終了が相次ぎ、2025年後半から新車登録の伸びが鈍化した。米国でも充電インフラの遅れや価格高騰が消費者心理に影響を与えている。

この点について、英フィナンシャル・タイムズは2026年1月中旬の投資家向け分析で、EV市場に「現実とのすり合わせ」が始まったと指摘した。EV戦略の成否を、台数やシェアではなく、利益率と持続性で測る局面に入ったという見方だ。

その文脈の中で、過度な値下げ競争に巻き込まれていない企業として、トヨタの名前が挙げられている。

 

慎重だったのではなく、現実的だった

トヨタはこれまで、EVに全振りする戦略を取らず、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、水素、EVを併存させる全方位戦略を掲げてきた。この姿勢は長らく「環境対応に消極的」と批判されてきたが、市場環境が変わったことで意味合いが変わった。

2024年9月には、トヨタが2026年のEV生産計画を当初想定から引き下げる方向で調整しているとロイターが報じている。短期的なEVブームを追いかけるのではなく、需要と収益性を見極める姿勢の表れとして、いまは肯定的に受け止められつつある。

海外アナリストの間では、トヨタの戦略を慎重ではなく現実的と評価する声が増えている。価格競争に巻き込まれず、地域ごとの需要差に対応できる柔軟性が、地政学リスクや政策変更への耐性を高めているという見方だ。

 

欧州販売現場が語る「EV化で失ったファン」

こうした評価の変化は、数字の世界だけの話ではない。販売の最前線では、EV化の副作用を実感してきた人間もいる。

かつて都内のフォルクスワーゲン正規ディーラーで長年販売に携わっていた男性スタッフは、次のように振り返る。

「EV化を前面に打ち出した頃、確かにわずかながらの新しい層は入りました。でも同時に、これまでブランドを支えてきたファンを切り捨ててしまった面もあったと思います。航続距離や充電環境、価格に不安を感じて離れたお客さんは少なくありませんでした」

欧州メーカーのEV戦略についてもこう語る。

「EV一本に舵を切ると宣言したことで、内燃機関やハイブリッドを好んでいた既存顧客が置き去りにされた感覚を持ったのは事実です。トヨタはEVに慎重だと批判されましたが、結果的に選択肢を残したことで、ファン層を維持できているように見えます」

販売現場から聞こえてくるのは、技術の先進性よりも「選べる安心感」を重視する顧客の声だ。

 

世界と日本で生まれた評価のズレ

興味深いのは、この再評価が日本よりも海外で先に進んでいる点だ。国内ではいまだに「トヨタはEVで遅れた」というイメージを持っている人が一部でいる。一方、海外では「EV一本足打法の方がリスクだったのではないか」という問い直しが始まっている。

EVは今後も重要な技術であることに変わりはない。ただ、その歩み方を誤れば、価格競争とファン離れを同時に招く。その現実を、欧州メーカーの現場はすでに経験している。

 

流行らなかった戦略が評価される瞬間

EVブームは終わっていない。だが、ブームに乗らなかった戦略が、時間差で評価される局面に入ったことは確かだ。

世界がEV熱から一度冷めたとき、トヨタは何をしていたのか。その問いに対する答えが、いま海外投資家の評価を変えつつある。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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