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アドネスに行政処分、18歳に消費者金融での借金勧誘で三上功太代表が謝罪 「適合性原則」違反の深刻度

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消費者庁アドネスに行政処分

経済産業省関東経済産業局は12月25日、電話勧誘販売業者「アドネス株式会社」(東京都新宿区)に対し、特定商取引法に基づく指示処分を行った(消費者庁長官の権限委任を受けて経産省関東経済産業局長が実施)。SNS運用やAIスキルを教えるオンラインスクール事業において、支払い能力のない学生に消費者金融での借金を推奨するなどの不当な勧誘事実が認定されたためだ。

これを受け、同社代表取締役の三上功太氏は「責任の重さを過小評価していた」と謝罪し、高額商品主体のビジネスモデルからの脱却を表明した。

 

Zoomでの「ロードマップ作成」名目、18歳学生を消費者金融へ誘導

処分の引き金となったのは、2023年11月頃に行われた強引な勧誘行為である。同社はSNS上で「ロードマップ作成会」と称した無料コンサルティングを入り口に、消費者をウェブ会議システム「Zoom」へ誘導。密室のオンライン空間で、高額なスクール契約を迫る手法をとっていた。

特に問題視されたのは、当時18歳だった学生への対応だ。この学生は月5万円程度のアルバイト収入しかなく、高額な契約金を支払う資産も持ち合わせていなかった。しかし、同社の営業員は「学生でも消費者金融で借りて、分割で払う人が多い」と借入を強く推奨した。さらに、「半年で稼げるようになれば、稼いだお金で返済してプラスにできる」と、不確実な将来の利益を確約するかのような説明を行い、リスクを十分に伝えないまま、約77万円の契約締結を即決させていた

当局は、こうした行為が特定商取引法が禁じる「適合性原則違反」にあたると断じた。顧客の知識、経験、財産の状況に照らして不適当な勧誘を行い、消費者の利益を害する恐れがあると判断したのである

 

三上功太代表「責任の重さを過小評価」、月額プラン導入で健全化図る

今回の処分を受け、同社代表の三上功太氏は自身のSNSを通じて長文の声明を発表し、事態の収拾に動いた。三上氏はまず、Zoom面談の内容が適合性原則に反する恐れがあると認定された事実を認め、「当該面談を受けられたお客様をはじめ、ご不安やご不快な思いをさせてしまった皆様に、心よりお詫び申し上げます」と謝罪の意を示した。

三上氏は声明の中で、自社の急激な成長とコンプライアンス意識の乖離について率直に語っている。同社はこれまで「顧客への誠実な価値提供」を掲げてきたという自負があったものの、事業拡大に伴い社会的な影響力が増す中で、「社会を本当に良くするための責任もいつの間にか大きくなっていた」と振り返った。その上で、「その責任の重さを過小評価していたと深く反省しております」と、経営者としての認識の甘さを認めている。

 

今後の対策として、三上氏はビジネスモデルの抜本的な転換を宣言した。これまでの高額な一括契約を前提としたモデルを改め、月額9,800円の新プランを新設するという。消費者が十分に検討し、納得した上で利用できる選択肢を用意することで、「より消費者ファーストな事業形態」へと舵を切る狙いだ。

加えて、コーポレート部門の強化による管理体制の徹底や、勧誘プロセスの見直し、社内教育の再徹底を行うとし、「短期的な成長よりも、社会から長期的に信頼される存在であることを重視する」と結んでいる。

なぜ「適合性原則違反」は重いのか 情報商材ビジネスの構造的欠陥

 

今回の行政処分が社会に投げかける意味について、消費者問題に詳しい専門家は次のように指摘する。

「今回適用された『適合性原則違反』での処分は、単なる強引な勧誘以上に重い意味を持ちます。2022年4月の成年年齢引き下げ以降、18歳や19歳の若者が『大人』として契約を結べるようになった一方で、彼らの判断能力や経済力につけ込むトラブルが急増しています。本件のように、支払い能力のない若者に対し、投資回収の目処も立っていない段階で消費者金融での借金を『軍資金』として借りさせる手口は、教育産業やコンサルティングを名乗る事業者が絶対に超えてはならない一線です」

また、三上氏が表明したビジネスモデルの転換についても、専門家は厳しい見方を示す。

「代表者が『責任を過小評価していた』と述べた点は、近年のSNS発ベンチャー企業に共通する危うさを象徴しています。Zoomという密室で、カリスマ性のある経営者やその部下が『借金してもすぐに回収できる』と若者に夢を見させ、高額決済を迫る手法自体が、構造的にコンプライアンス違反を誘発しやすいのです。月額プランへの移行は一定の評価ができますが、問われているのは価格設定だけではありません。『稼げる』という期待値を不当に煽り、消費者の冷静な判断を奪う勧誘体質そのものが改善されるかどうかが、再発防止の核心となるでしょう」

 

関東経済産業局はアドネス社に対し、違反行為の発生原因を究明し、再発防止策を役員および従業員に周知徹底するよう指示している。若きカリスマ経営者率いる同社が、真に社会的な信頼を取り戻せるのか、その本気度が試されている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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