
ライフスタイルの変化に合わせて組み替え可能なパレットベッドを通じ、dinosは岡山県産ひのき間伐材の活用という独自の視点で、地域産業の活性化と森林保全という二つの社会課題に切り込んだ。
国産ひのき間伐材を活用したパレットベッドの登場
総合通販企業である株式会社dinosは、2025年12月8日より、岡山県産ひのき「美作(みまさか)材」の間伐材を100%使用した国産パレットベッドの販売を開始した。
この製品は、国内家具メーカーで製造された「国産品質」を標榜し、約700kgの耐荷重試験をクリアする高い耐久性を実現した。製品の最大の特長は、その高い汎用性にある。1枚あたり幅・奥行50cm、高さ10cmのパレットを並べるだけで、シングルからキングサイズ相当まで、家族構成や住環境の変化に合わせた自由なカスタマイズと拡張が可能である。パレットは無塗装のすのこ形状に仕上げられ、ひのき本来の高い吸湿性と通気性を保持し、高温多湿な日本の気候に適した快適な睡眠環境を提供するという。
間伐材活用が生む多重の価値
dinosの今回の取り組みが単なる新製品発表に留まらないのは、その間伐材の積極的な活用という独自性にある。
間伐材は、森林の健全な成長のために抜き伐りされた木材であり、その活用は林業における共通の課題であった。これまでは燃料やチップなどに加工されることが多かったが、同社はこの高品質な岡山県産ひのき間伐材をあえて耐久性が求められる家具に使用した。
これにより、同社は環境保全、地域経済、製品価値の三側面にわたる多重のサステナブル価値を生み出している。すなわち、間伐材の活用は森林の健全化を促進し、土砂崩れなどの災害リスクを低減させる。同時に、岡山県産「美作材」に特化することで、生産地の産業活性化に直接的に寄与する。さらに、無垢材・無塗装による天然木の吸湿性と、国内生産による高い品質と耐久性を担保し、ユーザーが長く安心して使えるというエシカル消費に応える。
これは、素材の調達段階から「環境と地域社会」への配慮を組み込み、その結果として消費者に対する「高品質で長く使える」というメリットに結びつける、極めて戦略的な製品設計であると評価できる。
単なる製品づくりに留まらない視点
同社がこの製品開発の背景として掲げているのは、「国産の材料を使い、環境に配慮したサステナブルな製品づくりを通じて、上質かつ魅力ある価値を提供したい」という思いである。
この姿勢は、単に既存製品をエコ素材に置き換える「環境対応」の域を超え、「森林環境と地域社会の未来を見据えた取り組み」として位置づけられている。間伐材の活用は、森林が持つ水源涵養や土砂流出防止といった公益的機能を維持・強化することに他ならない。
同社担当者は、「お客さまに長く安心してお使いいただけるよう、品質に徹底してこだわった。間伐材を使うことで、購入という行為が、気づかぬうちに森林保全への参加につながる流れを作りたい」と述べる。これは、消費者に無理なくサステナブルな行動を促す「ナッジ」の思想に通じる、極めて現代的な哲学であると言えよう。
サステナビリティと事業の不可分な関係
dinosの今回の事例は、現代の経済メディアが着目すべき、サステナビリティを事業戦略の核とするアプローチの好例を示す。
企業が「社会貢献」としてCSR活動を行う時代は終焉を迎えつつある。これからは、dinosのように、自社のサプライチェーン(原材料調達から製造、販売まで)そのものが、地域経済の活性化や環境課題の解決に直結するようなビジネスモデルの構築が不可欠となる。
特に家具・インテリア業界において、「長く使える」「分解・再構築できる」という製品特性は、資源の効率的な利用、すなわちサーキュラーエコノミーへの貢献であり、サステナブルな付加価値となる。同社は、耐久性(国内製造・高耐荷重)と柔軟性(パレット式で組み替え可能)を両立させることで、「長く愛用する」という最も本質的なサステナビリティを体現している。
ビジネスパーソンは、単に「環境に良い」製品を作るのではなく、「地域資源を活用し、社会課題を解決し、その結果として高品質な製品を生み出す」という、この三方良し(環境・地域・消費者)の好循環から、次世代の事業開発のヒントを得るべきである。



