
オリジナルグッズのアイグッズは、日本の伝統技法「金継ぎ」の哲学をアメニティに昇華させた。環境配慮と高級感を両立し、ホテル・旅館の体験価値向上を支援する。
環境と美意識を両立、バイオマス51%歯ブラシの登場
オリジナルグッズの企画製造をコア事業とするアイグッズ株式会社が展開するホテル・旅館向けエコアメニティブランド「SUS amenity」より、植物由来のバイオマスプラスチックを51%使用した『SUS Bio ToothBrush – kintsugi -』が2025年12月中旬に発売される。同製品は、好評の「金継ぎシリーズ」に加わる新ラインナップだ。
歯ブラシ本体は、全長165mmのコンパクト設計であり、お子様でも扱いやすいサイズ感を特徴とする。本体は白を基調とした清潔感のあるデザインで、客室空間に自然に溶け込む。特筆すべきはパッケージであり、日本の伝統技法である「金継ぎ」に着想を得たシックで高級感のあるデザインを採用した。単なる使い捨ての備品に留めず、環境配慮とデザイン性を兼ね備えることで、アメニティを「滞在の特別な思い出として残るアイテム」へと格上げすることを目指している。
「壊れを美に」変える、独自のデザイン戦略
アイグッズの取り組みの独自性は、単にエコ素材を採用した点ではなく、「金継ぎ」の美意識とサステナビリティを融合させた点にある。金継ぎとは、壊れた器を漆や金で繋ぎ直すことで、修復の痕跡を新たな魅力として昇華させる技法である。
SUS amenityは、この「価値を受け継ぎ、新たな魅力を生む」という金継ぎの考え方を、使い捨てになりがちなアメニティに重ね合わせた。これにより、製品に単なる機能以上の価値とストーリーを宿している。シックな色味に金色のラインが映えるデザインは高級感を演出し、客室や大浴場、ロビーといった施設全体にシリーズのアイテムを揃えて配置することで、統一された世界観づくりに貢献する。これは、アメニティを通じて施設のブランド価値そのものを高めるという、他社にはない独自性の高い戦略だ。
背景にある、社会課題を商機とする経営哲学
この「金継ぎシリーズ」に込められた哲学は、アイグッズ株式会社そのものの企業姿勢を反映している。同社のコア事業は企画生産だが、近年は高まるSDGsの需要に対し、サステナブルなOEM事業や、企業の廃棄物を回収し価値あるグッズへアップサイクルする『SUS CYCLE』サービスを展開してきた。
また、年々深刻化する人手不足という社会課題に対しても、清掃・配膳ロボットを扱う「ROBOTI(ロボティ)」ブランドを展開するなど、社会の要請を敏感に察知し、スピーディーに事業展開を続けている。同社が「アジア太平洋地域の急成長企業ランキング」に3年連続でランクインするなど、国内外で高い評価を得ている背景には、社会が抱える大きな課題を解決することに価値を見出す、機動力と柔軟性に富んだ経営哲学が存在する。
ビジネスパーソンが学ぶべき、伝統と未来を繋ぐ発想力
アイグッズの事例は、現代のビジネスパーソンに対し、持続可能な社会への貢献と企業の成長を両立させるための重要な示唆を与える。
学ぶべきは、伝統美である金継ぎの哲学を、環境配慮型製品という未来志向のアイテムへと違和感なく転換させた発想力だ。単にエコ素材を使うだけに留まらず、使い捨て製品に「価値とストーリー」を付与することで、アメニティをホスピタリティの一部に変えることに成功した。これは、SDGsをコストや規制としてではなく、独自のブランド価値を創造する機会として捉える、先進的な経営視点を示すものである。社会課題を敏感に察知し、迅速に行動に移す同社の機動性は、市場の変革期にある全ての企業にとって、手本となるだろう。



