
住宅リフォームの老舗・ニッカホームが、思い出の衣類を一点物に再生する創作リメイク店「着せかえニッカ」を名古屋駅近郊に開業した。学生服や着物をアップサイクルし、“捨てないファッション”を掲げる新事業だ。
名古屋駅近郊に創作リメイク店が誕生
ニッカホーム株式会社は11月19日、創作リメイク衣装のレンタル・オーダー店「着せかえニッカ」を名古屋駅徒歩3分の中村区に開業した。同社は住宅リフォーム事業を全国展開してきたが、今回初めてアパレル事業に本格参入する。
店内では、タンスに眠る学生服や祖父母から受け継いだ着物など、思い出深い衣類を新しいデザインとして再生。和洋折衷の個性豊かな衣装をレンタルできるほか、オリジナルリメイクの注文にも応える。観光客やイベント参加者の来店を見込み、フォトスポットも設置した。
“着るリフォーム”という新提案
「着せかえニッカ」の最大の特徴は、同社が住まいのリフォームで培ってきた“再生”の思想を衣服に応用した点にある。制作を手がけるのは、元ファッションスタイリストの水谷万莉菜氏。十年以上の現場経験を持ち、すべての衣装を手作業で仕上げていく。
一点物として仕上がる衣装は、同じデザインが二度と生まれない。大量生産ではなく、“持っている服そのものを生かす”アプローチにこそ、同店の独自性がある。衣類の廃棄削減という社会課題への貢献を意識した姿勢も一貫している。
住まいの再生から衣の再生へ
背景にあるのは、ニッカホームが創業以来掲げてきた「古いものに新しい価値を与える」という考え方だ。住まいの再生で培ったノウハウを衣服の分野にも転換し、“捨てない”を軸に事業を広げる。
店舗デザインも水谷氏が手がけた。外装から内装、衣装の世界観まで統一した空間づくりがなされ、ポップで温度感のある雰囲気が広がる。「地球と世界のつながりを、親しみやすく表現したかった」と水谷氏は語る。
さらに、隣接する古民家民泊「レトロ名駅」との連携により、チェックアウト後~チェックイン前の時間帯を撮影スタジオとして活用。和室の意匠を背景にした撮影体験は、特にインバウンド客からの需要増が見込まれる。
アップサイクルがもたらすビジネスの可能性
同店の取り組みは、サステナブルビジネスの観点からも注目に値する。国内では年間約80万トンの衣類が廃棄されるとされ、アパレル業界は構造的課題を抱える。「着せかえニッカ」は、既存資源に新たな価値を生むアップサイクル手法を前面に押し出し、地域観光・文化体験・廃棄削減の三つを結びつけた。
思い出の衣類を未来につなぐ取り組みは、顧客の感情価値にも寄与する。単なるリメイクにとどまらず、“記憶の再編集”という独自の価値を提供している点も特徴だ。住宅から衣服へと広がる同社の再生哲学は、今後の新規事業開発にも示唆を与える。



