
福岡県のいちご農園で生まれた「あまおう」のロス果実が、香りとしてよみがえる。
フェルナンダジャパンが手がけるサステナブルフレグランスは、“廃棄”を“再生”に変える静かな革命だ。
いちご農園の現場から始まった「再生」の物語
フェルナンダジャパンは2025年11月13日、廃棄予定のあまおうを活用した「イチゴコレクション」を発売する。
協力したのは、福岡県のいちご農園「白木のいちご」。栽培の手間がかかる分、出荷できない果実も多い。多い日でバケツ3杯、年間では約3トンが廃棄されるという。
その現実を前に、フェルナンダは“香り”という形で再生の道を見いだした。
ロス果実に息を吹き込む「香りの職人たち」
同社が採用したのは、廃棄予定の果実から抽出した「アップサイクルイチゴ果実エキス」。
香料はすべて国産いちごを使用し、完熟の甘みと酸味をリアルに再現。
リーフィーグリーンやキャンディードストロベリーの香調を重ね、摘みたてのいちごに包まれるような体験をつくり上げた。
“ただ再利用する”のではなく、“再び輝かせる”――その姿勢がフェルナンダらしさである。
香りがつなぐ、農業と都市のあたらしい関係
この取り組みは、農業と都市のブランドを結ぶ共創モデルでもある。
ロス果実のアップサイクルは農家の新たな収益機会となり、同時に消費者には“香りを通じた社会貢献”を感じる機会を与える。
フェルナンダは、地方の現場に眠る素材と都市の感性価値を結び付ける“循環のデザイン”を実現した。
「Do good for us & Our planet!」が貫く理念

代表取締役の流合貴之氏は、「香りは記憶を呼び覚ます力を持つ。廃棄される果実を誰かの幸福な記憶に変えることが、私たちの使命」と語る。
同社が掲げるスローガン「Do good for us & Our planet!」は、単なる環境配慮ではなく、心の豊かさを軸にしたサステナビリティだ。
香りを“感じる体験”として届けることにこそ、社会を変える力があると信じている。
“もったいない”を希望に変える、日本発のサステナブル経済
フェルナンダの試みは、素材を廃棄から救うだけでなく、感性価値を高める循環経済の新しい形を提示している。
ロス果実を香りとして再生し、社会全体に“やさしい消費”の在り方を問いかける。
甘酸っぱいあまおうの香りが広がるとき、それは未来への希望の香りでもある。



