ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

滋賀・彦根総合高校野球部で「集団万引き」 高校スポーツ界に再び不祥事の連鎖

コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー
滋賀県・彦根総合高校の硬式野球部
彦根総合高校 公式サイトより

滋賀県の県立彦根総合高校の硬式野球部で、1年生部員11人による「集団万引き」事件が発覚した。事件は今年7月下旬から10月上旬にかけて発生し、校内外3店舗で計約10万円相当の商品が盗まれたという。彦根総合高校は11月7日までの1か月間、野球部の対外試合を禁止する処分を下したが、処分の軽さを疑問視する声が広がっている。

 

「人間力を育む」理念の裏で

「野球部の1年生部員11人が、校内にある店舗を含む3店舗で万引きを繰り返していた。中には“無人決済機”の仕組みを悪用し、パン1個分の支払いで3個の商品を持ち去るといった手口もあった。校内だけでなく、近隣店舗でも被害が確認されている」(スポーツ紙記者)

彦根総合高校の公式ホームページには、硬式野球部の紹介欄に「人間力を育む」というスローガンが掲げられている。《礼儀・マナー・我慢力・諦めない気持ち・自主自立・正しい判断力》を部活動を通じて育むと記載されており、「社会に貢献できる人間を目指す」と強調している。

しかし、今回の事件はその理念を真っ向から否定するものとなった。

同校によると、1年生部員は計30人。加害生徒は保護者とともに弁償を済ませたというが、11人という人数の多さ、そして組織的ともいえる行為に、地域社会からは深い失望の声が上がっている。

 

不祥事続発する高校スポーツ界

高校野球に限らず、全国の高校スポーツでは今年に入り、不祥事が相次いでいる。

「広島県の広陵高校では、部内でのいじめが問題化。被害者の生徒が心身に深刻な影響を受けたとして、学校側の対応に批判が集まりました。岡山県の関西高校でもいじめ被害によって生徒が退学する事態となり、教育現場全体に波紋を広げています」(同・記者)

さらにサッカー界でも問題は深刻だ。宮城県の仙台育英高校サッカー部では「いじめ重大事態」が確認され、全国高校サッカー選手権大会への出場辞退を発表したばかり。大阪府の興国高校でも部員による飲酒が発覚し、出場の可否が問われている。

「かつて高校スポーツは“青春の象徴”とされてきましたが、今ではSNSでの誹謗中傷、暴力、ハラスメント、そして今回のような犯罪行為まで、社会問題化している。教育現場の規律が揺らいでいる印象は否めません」(教育ジャーナリスト)

 

「1か月の対外試合禁止」は妥当か

彦根総合高校への処分について、日本学生野球協会は10月8日から11月7日までの「対外試合禁止」を決定。生徒らは代金を弁償し、学校側も再発防止策を講じると説明している。

しかし、ネット上では「1か月は軽すぎる」「窃盗なのに停学も退部もなし?」「これで“教育的指導”といえるのか」といった批判が殺到している。
「被害者がいる犯罪行為なのに、部活動の自粛だけで済むのはおかしい」とする声も多く、処分の透明性や、教育的意義をめぐる議論が起きている。

 

広がる懲戒の対象――教師の体罰も

11月11日に東京都内で開かれた日本学生野球協会の審査室会議では、彦根総合高校を含む高校7件、大学2件に対して処分が決まった。兵庫県の神戸国際大学附属高校では、授業中に寝ていた部員の頭をたたくなどの体罰を行った30代の男性教諭兼コーチが、3か月の謹慎処分を受けている。

このように、生徒だけでなく、指導者側のモラルも問われる事例が続出している。スポーツ指導の現場では、「勝利至上主義」や「上下関係の厳格さ」が暴走し、教育理念と乖離するケースが少なくない。近年、文部科学省は再発防止のためのガイドラインを強化しているが、現場での意識改革は道半ばだ。

 

「スポーツマンシップ」再生への道

高校スポーツは、技術や体力だけでなく、人格形成の場としての意義が大きい。だが、競技成績のプレッシャーや、部内の閉鎖性が悪しき風土を生みやすいのも事実だ。
今回の彦根総合高校の一件は、少年期の教育現場で「何を育てるべきか」という原点を突きつけている。

教育評論家の一人はこう指摘する。
「高校野球は“甲子園”という全国的な舞台を持つため、学校も地域も熱が入りやすい。しかし、競技を通して“人として成長する”という本来の目的が失われれば、どんな強豪校でも腐敗が始まる。再教育と対話の仕組みを徹底すべきです」

野球部員たちはすでに謝罪を済ませたが、その行為が社会に与えた影響は大きい。滋賀県の教育委員会も、再発防止策の徹底とともに、学校現場の倫理教育を見直す方針だ。

青少年が心身ともに成長する場であるはずの高校スポーツ。いまこそ、勝敗よりも大切な“スポーツマンシップ”の本質に立ち返るときだ。


Tags

ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

関連記事

タグ

To Top