衆院唯一の議席を失う社民党 80年の節目に痛手

社民党の新垣邦男衆院議員(沖縄2区選出)は11月2日、沖縄県宜野湾市内で記者会見を開き、同党に離党届を提出したことを明らかにした。福島瑞穂党首宛に10月末、郵送で届け出たという。社民党は前身の日本社会党結成から80年という節目を迎えたばかりだったが、これで同党は衆議院で唯一の議席を失うことになる。
新垣氏は会見で、「党勢拡大の道を探ってきたが、思うようにいかなかった。党首には衆院へのくら替えを訴えてきたが、意見がかみ合わなかった」と語った。
党内の方向性の違いを理由に挙げ、「(国会議員が)4人、5人いるとまったく違う状況になると思っていたが、なかなか意見が合わないという状況もあった」と苦しい胸の内を明かした。
「独裁的運営」に不満の声も 文春報道が指摘した福島党首の影
週刊文春によると、新垣氏の離党には福島党首による「独裁的な党運営」への反発も背景にあるという。同誌は、社民党内で総裁選をめぐり激しい対立が続いていたこと、そして「裏番組」扱いされた福島氏の主導体制に不満を抱く議員が少なくなかったことを報じていた。
SNS上でも、「福島みずほ氏の独善的な党運営は外から見ても納得いかない」「いつまでも党首に居座り、後進に道を譲らない」との声が相次いでいる。政治アナリストのさいごうポン太氏も、「新垣氏を重用せず、ラサール石井氏を副党首に据えたことは、沖縄を軽視した姿勢の表れだ」と指摘した。
「オール沖縄」には残留 立憲会派での活動継続へ
新垣氏は会見で、今後は無所属で活動を続ける意向を示した。国会内では引き続き立憲民主党の会派に所属し、沖縄県内では玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」の枠組みの中で活動していくという。
社民党は今年7月の参院選でタレントのラサール石井氏を比例代表として擁立。得票率2%超を確保し、政党要件の維持には成功したが、党勢拡大には結びついていない。
故・照屋寛徳元衆院議員の後継として議席を引き継いだ新垣氏は、「衆院で社民党はたった一人。なかなか思いを伝えられず、どうしても2人以上ほしいという思いがあった」と語り、悔しさをにじませた。
福島体制の行方は 「後継なき少数政党」に漂う危機感
社民党は戦後左派の牙城として長らく存在感を放ってきたが、今回の離党で国会勢力は大きく後退する。党内からは「地方組織の再構築なくして再生はない」との声も上がるが、福島体制の下で後継育成が進まなかったことは否めない。
今回の新垣氏離党は、党存続の危機を改めて突きつけた形となった。



