
芸人で現役弁護士のこたけ正義感が、江口寿史氏のトレパク問題を法律的に解説。ルミネ荻窪広告の肖像権侵害、SNS特定班の著作権リスク、炎上の“お祭り化”を警告する内容が話題に。
現役弁護士こたけ正義感が語る、“弁護できる点・できない点”とは
10月11日、芸人で現役弁護士として活動するこたけ正義感氏が、自身のYouTubeチャンネル「こたけ正義感のギルティーチャンネル」で人気企画「勝手に弁護」の最新動画を公開した。
同企画は、噂のニュースの渦中の人を裁判の「依頼人」に見立て、現役弁護士のこたけ正義感氏は「弁護人」として、その噂のニュースに関して解説および弁護を展開するというものである。
今回の「依頼人」に見立てられたのは、現在「トレパク問題」で炎上中の漫画家・イラストレーター江口寿史氏だ。
動画では、同氏の一連の騒動を法律家の視点から冷静に分析・解説する内容となっている。
大きく分けて以下の2点について解説した。
(1)ルミネ荻窪「中央線文化祭2025」広告用イラストにおいて、文筆家・モデルの金井球(かない・きゅう)氏がInstagramに投稿した画像をトレースして広告画像を作成した件
(2)過去作品のトレース元ネタがSNSや匿名掲示板などで特定されている件
(1)「ルミネ荻窪広告用イラスト問題」は弁護の余地なし
こたけ氏がまず取り上げたのは、江口氏が制作した「中央線文化祭2025」広告用メインビジュアルで、文筆家・モデルの金井球(かない・きゅう)氏のInstagram投稿をトレースして使用していた件。
動画内でこたけ氏は、「金井氏のInstagram投稿には著作権があり、さらに本人には肖像権とパブリシティ権も存在する」と明確に説明。
そのうえで「ここに関しては弁護の余地がない。謝罪するしかない案件」と断じた。
この見解は、法律的な基礎を丁寧に解説しつつ、江口氏の行為が明確に他者の権利を侵害した可能性が高いことを指摘するものであった。
(2)「過去作トレース特定」には法的なグレーゾーンも
続いてこたけ氏は、SNSや匿名掲示板上で進む「江口寿史過去作品のトレース元特定」の動きについて言及した。
氏は、「すべての写真が著作物に当たるとは限らない」とし、著作権法第2条第1項の定義を引用。
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」
と条文を示したうえで、「トレース元とされる素材の中には、創作性が認められず著作物といえない写真もあるのでは」と説明。
つまり、SNS上で“トレパク確定”と断じられている全てのケースが著作権侵害に当たるわけではないと指摘し、「争う余地がある」と弁護した。
「特定班」への問題提起 “お祭り化”の危うさ
こたけ氏はさらに踏み込み、「トレースを特定してSNSに該当画像を転載する行為自体が、著作権法違反の可能性がある」と警鐘を鳴らした。
「特定班は権利元に許可を取って、ネットへの転載をやっているのか?SNSや掲示板に転載する行為は、他人の著作物を無断で使っていることにならないのか?」
と問いかけた上で、「本当に江口氏を許せないという正義感からではなく、“元ネタを特定して褒められたい”“炎上に便乗して楽しんでいる”人がいるのではないか」とも問題提起した。
SNS時代の“集団的糾弾”の空気に、法律の専門家として一石を投じた形だ。
「裁く前に、考える」現役弁護士の視点で見る炎上の構造
今回の動画でこたけ正義感氏が示したのは、「法的な線引きと感情的な正義感を混同してはいけない」というメッセージだ。
江口氏の行為が明確に問題のある部分と、法的に判断の分かれる部分を切り分けたうえで、ネット社会の“断罪文化”そのものに問いを投げかけている。
炎上という言葉が軽く使われる時代に、「裁く前に、まず考える」その姿勢こそ、こたけ正義感氏が伝えたかった本質なのかもしれない。
▼江口寿史氏過去記事はこちら