
テレビ朝日系『報道ステーション』で、またしても大越健介アナ(62)が炎上の渦中にある。9月23日に放送された自民党総裁選の候補討論会での進行が「高市早苗氏を冷遇し、小泉進次郎氏を持ち上げた」と視聴者の怒りを買い、SNSでは「恥ずかしい人」とまで罵倒される事態となった。ベテラン政治記者として知られる大越アナだが、過去にも数々の炎上を経験してきた。今回の騒動は偶発か、それとも必然か。
拡散された“偏向司会”動画
討論会後、SNSで急速に広がったのは、大越アナが高市氏の発言を制止し、小泉氏にすかさず話を振る場面を切り取った動画だった。数十秒の映像が視聴者の怒りに火をつけ、瞬く間に拡散。Xでは「#報ステ偏向報道」がトレンド入りするほどの注目を集めた。
怒りの声は過激さを増した。
《大越アナ、不平等な司会だよ。恥ずかしい人だ、この人は!》
《あからさまに高市さんに冷たい。小泉くんを持ち上げすぎ。公平な進行ができないなら降板すべき》
《自民党広報か?報道じゃないだろ》
中には《小泉のために場を整えているようにしか見えない。茶番すぎて呆れた》《キャスターの立場を忘れて推し活してるのか》と揶揄する投稿もあり、SNSは怒りと嘲笑で溢れ返った。
一方で擁護の声も
ただ、すべてが批判一色というわけではない。冷静に番組全体を見た視聴者からは《大越さんがリベラル寄りとか偏向してるとか全然違うと思う。むしろ体制寄りで色を出さない人》《小泉氏が有力候補だから発言を重視しただけでは》といった擁護も寄せられている。
さらに《むしろ小泉の“失言”を引き出すトラップじゃないか》と分析する声もあり、炎上の渦中でも多様な受け止めが存在することを示している。ただし、短い切り取り動画のインパクトは強烈で、全体の印象を覆すには至っていない。
NHK時代からの“炎上体質”
大越アナはNHK政治部記者として20年以上のキャリアを積み、『ニュースウオッチ9』のメインキャスターを務めた。落ち着いた口調で知られたが、常に賛否は分かれた。
『報ステ』に移ってからも火種は尽きない。2022年6月、当時NHK党の立花孝志氏とのやり取りで発言を制止し、立花氏が提訴する事態に。最終的に東京地裁は請求を棄却したが、「言論封殺だ」との批判を招いた。
また2024年7月には参政党の神谷宗幣代表と真っ向から激論し、《キャスターなのに喧嘩腰》《公平さを欠いた進行》と再び炎上。強気な進行が「迫力」と映る一方、感情を抑えきれない印象を残しやすいのも事実だ。こうした経緯から“大越=炎上”の図式が定着しつつある。
公平性と報道番組の宿命
報道番組のキャスターは、政治家以上に公平さを求められる存在だ。社会部記者はこう解説する。
「小泉氏が各報道で優勢とされる状況下では、発言を多く引き出そうとするのは自然です。しかし、その姿勢が高市氏冷遇と受け止められた。報道番組では数秒の態度や言葉選びが視聴者に強烈な印象を残します。大越さんにとっては無意識でも、視聴者には“偏向”として映ってしまったのです」
SNS時代は放送の一部が切り取られ、真意とは異なる形で独り歩きする。今回の炎上も、その典型的な構図といえる。
「恥ずかしい人」で終わるのか
SNSで飛び交った《恥ずかしい人》《資格なし》という言葉は重い。だが、それは大越アナへの期待値の裏返しでもある。長年の経験と知見に裏打ちされた進行を求められているからこそ、少しの“バランスの崩れ”が大きな反発を招く。
《大越さんはむしろ慎重すぎるくらいだと思う》《一部の切り取り動画に踊らされてはいけない》と擁護する声も残るが、炎上の勢いに押し流されがちだ。大越アナが信頼を取り戻せるかは、今後の総裁選報道での立ち振る舞いにかかっている。
今回の炎上は、大越健介アナ個人への批判にとどまらず、報道番組そのものが抱える「公平性の難しさ」を浮き彫りにした。切り取り動画が瞬時に拡散される時代、キャスターの一挙手一投足が炎上の引き金になる。小泉氏優勢ムードの中で高市氏への対応が冷淡に映ったことで、「恥ずかしい人」と断じられた大越アナ。炎上の連鎖は偶然か必然か。大越健介アナが次の放送で示す一言一句が、キャスターとしての存在意義を左右するだろう。