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近畿地方 長者番付〈2025年版〉令和の高額報酬トップ20ランキング

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近畿地方 長者番付〈2025年版〉令和の高額報酬トップ20ランキング

対象:大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山

多様な産業が交錯する近畿は、世界市場と接続した稼ぐ力を備える。本稿は各社の有価証券報告書・決算短信による開示を突合し、直近決算期(原則2025年3月期・2024年12月期等)に1億円以上の個人報酬が開示された上位20人をランキング形式で紹介する。人物紹介を通じて、企業経営の現場を率いるトップの横顔に迫る。

 

20位 富永満之 〈アシックス/兵庫〉 2億4,300万円

人物紹介:1962年生まれ。商船三井勤務の父の赴任で幼少期をニューヨークで過ごし、帰国後は横浜のインターナショナルスクールに通学。中高時代はテニスに打ち込み、日本ジュニア選手権にも出場した。米ニューメキシコ州の軍隊士官学校に奨学金でテニス留学するも、プロを断念しカリフォルニア・ポリテクニック州立大学に転学してITを専攻。卒業後はアンダーセン・コンサルティングNYオフィスで8年間勤務し、戦略・業務改革に携わった。

1996年に日本IBMに入社、2000年には北城恪太郎社長の社長補佐を務め、のちに米IBM本社で経営戦略を担当。SAPジャパン常務やワークスアプリケーションズアメリカ社長を経て2018年アシックス入り。IT統括部長として基幹システム刷新とデジタル基盤整備を主導し、2024年に社長COOへ昇格。

DTC戦略、需要予測精度の向上、コスト構造改革を進め、世界市場での競争力を強化する。テニス歴45年のスポーツマンとして現場感覚も重視し、テニスシューズの世界シェア首位獲得を掲げる挑戦が続く。

18位 村田誉之 〈大和ハウス工業/大阪〉 2億5,000万円

人物紹介:1954年生まれ。東京大学工学部建築学科を卒業後、大成建設に入社し現場監督としてキャリアを積んだ。東京支店工事部長やハウジング社長、建築総本部長などを歴任し、2015年には同社社長に就任。国立競技場再コンペや福岡市地下鉄延伸工事など大型案件を指揮した。2021年、大和ハウス工業の取締役副社長に転じ、技術統括本部を率いて施工品質と安全管理体制の再構築に着手。

BIM導入やデジタル施工管理を推進し、工程短縮とコスト削減を実現した。さらに、協力会社とのパートナーシップ強化や人材育成、コンプライアンス教育を通じて現場文化を底上げ。住宅・物流・商業施設の全領域で原価企画と工程管理を高度化し、利益率改善に貢献した。現場出身の実務派らしく、足場や施工現場への頻繁な訪問を欠かさず、現場と経営をつなぐ橋渡し役を果たしている。

今後は脱炭素建築や人手不足への対応を見据え、次世代の生産体制を構築することが期待される。

18位 香曽我部武 〈大和ハウス工業/大阪〉 2億5,000万円

 

人物紹介:1960年代生まれ。東北大学経済学部経済学科を卒業後、大和ハウス工業に入社。営業・管理部門でキャリアを積み、住宅事業や非住宅プロジェクトの収益管理に携わった。

取締役就任後は生産・施工・安全部門を統括し、原価企画と工程管理の高度化を推進。標準仕様の見直し、施工プロセスの最適化、BIMや施工DXの導入により、コスト削減と工期短縮を同時に実現した。協力会社との連携強化にも注力し、技能継承や人材育成の仕組みを整備。安全管理体制の再構築を進め、労災発生率の低下や品質トラブルの抑制に貢献した。環境配慮型建材や再生可能エネルギーを積極的に取り入れ、脱炭素社会に対応した建設プロセスを整備。

現場起点のマネジメントと経営感覚を兼ね備えた実務家として、今後は労働力不足やサステナビリティへの対応など業界課題の解決をリードし、持続可能な成長モデルの確立に挑むことが期待される。

17位 松本正義 〈住友電気工業/大阪〉 2億6,110万円

人物紹介:1944年生まれ。一橋大学法学部卒業後、住友電気工業に入社。若くして米国シカゴ駐在を経験し、自動車メーカーへの営業を通じて海外ビジネスの基礎を学ぶ。帰国後は海外販売網の整備や欧州統括会社の社長としてグローバル展開を主導した。自動車企画部長としてM&Aや新技術開発に取り組み、ハーネス技術研究所を立ち上げるなど研究開発体制を強化。中部支社長や経営幹部を経て社長に就任してからは、自動車、情報通信、電子材料といったコア事業の収益力を再構築。

海外生産と研究開発拠点の連携を強め、サプライチェーンの強靭化を進めた。環境規制や電動化の潮流を機会として捉え、高機能導体や次世代部材の競争力を高める戦略を展開。現在は会長としてグループ全体を監督し、CASEや5G、再生可能エネルギー市場への成長投資を進め、財務健全性と株主還元の両立を図りながら持続的な企業価値向上を目指している。

16位 古川俊太郎 〈任天堂/京都〉 2億6,300万円

人物紹介:1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、任天堂に入社し、経理部門でキャリアをスタート。入社4年目にドイツの欧州統括会社へ赴任し約10年間駐在。ユーロ導入期に各地の子会社をドイツ本部へ統合する業務を担い、欧州での「Wii」ヒットにも貢献した。帰国後はポケモン社外取締役を務め、社長室で岩田聡社長の秘書役を経験。岩田氏の急逝後、経営企画室長として次期体制の骨格を整え、取締役・常務執行役員として経営統括や販売計画立案を指揮した。

2018年、君島達己前社長の後任として代表取締役社長に就任。Nintendo Switchの世界的ヒットを追い風に、デジタル販売やサブスクリプション、スマートデバイス事業を拡充し、収益構造を多様化。テーマパークや映画などIP活用も推進し、ファン人口の拡大とブランド価値向上を図る。

今後は次世代機への移行期を見据え、集団経営体制のもとで安定成長と新しい遊び体験の創出を両立させる役割が期待される。

15位 手代木功 〈塩野義製薬/大阪〉 2億7,000万円

 

人物紹介:1959年生まれ。東京大学薬学部を卒業後、塩野義製薬に入社。研究開発部門でキャリアを積み、抗菌薬や中枢神経系領域の新薬開発に携わった。取締役就任後は、創薬とヘルスケアソリューションを両輪とする経営戦略を策定し、感染症や疼痛、希少疾患に注力する事業ポートフォリオを整備した。産学連携や外部技術導入に積極的で、オープンイノベーション型の創薬エコシステムを構築。海外子会社や提携先との連携を深め、グローバル市場での治験・供給体制を確立した。

価格政策では医療アクセスを意識し、途上国向けの薬価設定や供給スキームにも取り組む。ESGやサステナビリティの観点から抗菌薬耐性対策やパンデミック対応にも貢献。

今後は感染症領域のリーディングカンパニーとして、創薬スピードと社会的使命の両立をさらに進めることが期待される。

14位 北尾裕一 〈クボタ/大阪〉 2億8,000万円

人物紹介:1956年生まれ。、東京大学工学部船舶工学科を卒業後、造船不況を背景に久保田鉄工(現クボタ)へ入社。以来一貫してトラクター事業に携わり、設計・開発から生産、営業支援まで幅広い経験を積んだ。トラクター技術部長、トラクタ事業部長を経て、クボタトラクターコーポレーション社長として北米市場での販売網再編とシェア拡大を指揮。

農業機械総合事業部長としてグローバル生産体制を強化し、海外売上比率を大幅に高めた。取締役専務、副社長執行役員を歴任し、2020年社長に就任。機械事業本部とイノベーションセンターを統括し、自動運転農機やスマート農業ソリューションの開発を加速。さらに水インフラ事業や建設機械の国際展開を推進し、食料・水・環境といった社会課題を成長機会に変える経営を展開。2023年からは日本水道工業団体連合会会長も務め、水資源分野での発信力を強める。

今後はカーボンニュートラル対応とデジタル農業を軸に、グローバル企業としての持続的成長をリードする役割が期待される。

13位 仲井嘉浩 〈積水ハウス/大阪〉 2億8,500万円

人物紹介:1965年生まれ。京都大学工学部卒業後、積水ハウスに入社。営業現場で住宅請負事業を経験し、経営企画部門や海外事業部で戦略立案に携わった。執行役員、常務を経て社長に就任。

住宅請負から都市開発、賃貸、海外事業へと事業領域を広げ、景気変動に強い収益ポートフォリオを構築した。高断熱・高耐震性能を備えた住宅や環境配慮型商品を普及させ、ZEH推進と街づくり・コミュニティ形成を重視。設計・施工・販売を一体で管理する仕組みを徹底し、品質と収益性を両立させた。キャッシュフロー重視の経営で在庫と資金の回転を最適化し、安定的な成長を実現。海外では北米や豪州を中心に住宅供給を拡大し、現地パートナーとの協業で投資回収リスクを抑制した。

今後は脱炭素化とスマートシティ構想を推進し、長寿命住宅を核とした持続可能な街づくりを世界に広げる役割が期待される。

12位 辻永順太 〈オムロン/京都〉 2億8,800万円

 

人物紹介:1966年生まれ。京都産業大学理学部卒業後、立石電機(現オムロン)に入社。制御機器事業でキャリアを積み、国内外での営業・開発・事業企画を経験した。FA(ファクトリーオートメーション)分野での実績を重ね、商品事業本部長、執行役員などを歴任し、製造現場の自動化と生産性向上に寄与。

取締役就任後はFA、ヘルスケア、ソーシャルシステムの3ドメインを統括し、センシングと制御というオムロンのコア技術を磨き上げた。製造現場のデジタル化やAI活用を進め、スマートファクトリーの普及を推進。資本・人材・知の配分を最適化し、成長投資と収益性の両立を図った。サステナビリティを経営の軸に据え、脱炭素や社会課題解決を事業機会へ転換する戦略を浸透させた。長期的な視点からKPIを設定し、社員一人ひとりの行動指針に落とし込む仕組みを整備。

今後は制御技術とデジタルを融合させ、次世代のものづくりと社会インフラの進化をリードすることが期待される。

11位 廣田康人 〈アシックス/兵庫〉 2億9,700万円

人物紹介:1956年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、三菱商事に入社。ロンドン駐在や経営企画、広報、総務部門を歴任し、執行役員総務部長、常務執行役員コーポレート担当役員、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを経て関西支社長を務めた。2018年にアシックスへ顧問として入社し、同年代表取締役社長COOに就任。

マーケティングや事業運営の知見を生かし、直営店とECを中心としたDTC(Direct to Consumer)モデルを磨き上げ、製品とデータを結びつけたブランド体験を拡張。高機能ランニングシューズを核に、競技用からライフスタイルまで幅広い層を取り込み、海外の成長市場で認知度を底上げした。サプライチェーン改革では在庫の適正化と原価管理を徹底し、収益性を改善。健康・ウェルビーイングを前面に打ち出し、スポーツを通じた社会課題解決をブランド価値向上と結び付けた。

今後はデジタル活用やサステナブル素材の導入をさらに進め、世界的スポーツブランドとして持続的成長を牽引することが期待される。

10位 コンスタンティン・サルウコス 〈武田薬品工業/大阪〉 3億300万円

人物紹介:欧州出身。大学で経済・ファイナンスを学び、製薬業界と金融分野で国際的な財務経験を積む。メルク・シャープ・アンドドーム社で東欧・中東・アフリカ地域のエグゼクティブファイナンスディレクター、アラガン社でアジア太平洋地域ファイナンス部門長や欧州・カナダ事業のCFOを歴任。M&Aや統合プロジェクトに深く関わり、財務戦略の精度を高めた。2018年に武田薬品工業CFOに就任、2019年から取締役として経営にも参画。

シャイアー買収後の巨額負債圧縮を主導し、格付け改善と資本効率向上を実現した。研究開発投資と株主還元のバランスをとる資本政策を描き、株式報酬制度の透明性とKPI整合性を高め、投資家との対話を重視した。2024年6月の株主総会をもって取締役を退任し、CFO職も後進に引き継いだ。

退任後も企業統治や財務戦略の高度化に貢献した功績は大きく、今後はアドバイザー的立場でグローバル製薬業界に関わることが期待される。

9位 明珍幸一 〈川崎汽船/兵庫〉 3億500万円

 

人物紹介:1961年生まれ。東京大学文学部を卒業後、1984年に川崎汽船へ入社。コンテナ船事業グループ長を経て、執行役員としてコンテナ船・港湾事業、経営企画、IR・広報、調査、人事など幅広い部門を統括。取締役常務執行役員時代には、コンテナ船事業の統合会社ONE設立準備を指揮し、国際競争力強化に貢献した。代表取締役専務執行役員兼CCO(チーフコンプライアンスオフィサー)としてコンプライアンスと内部統制を整備し、2019年に代表取締役社長に就任。

自動車船・ばら積み・エネルギー輸送を柱とする収益ポートフォリオを再構築し、市況変動への耐性を高めた。脱炭素燃料の導入や高効率船投入を積極的に進め、規制先取りの設備投資を実施。2023年には日本船主協会会長に就任し、海運業界全体の国際競争力強化とGHG削減への提言をリード。

今後はデジタル運航管理やグリーン燃料活用を進め、変動の大きい海運市場で持続的成長を実現するリーダーとして期待される。

8位 栗和田榮一 〈SGホールディングス/京都〉 3億1,100万円

人物紹介:1946年生まれ。佐川急便創業家出身。30代まで日本国有鉄道新潟鉄道管理局貨物課に勤務した後、実父・佐川清氏の誘いで1977年に東京佐川急便(現佐川急便)へ入社。営業・拠点運営を経て全国物流網の整備に着手し、急成長期の宅配事業を支えた。社長就任後は幹線輸送からラストワンマイルまでの総合最適化を推進し、需要予測や配車システムの高度化、大型中継センターの自動化投資を実現。

現場の省力化と作業負荷軽減によりドライバーの労働環境改善と人材確保を両立させた。持株会社SGホールディングス設立後はグループ全体を統括し、国際物流や3PL事業へ領域を広げ、国内外で持続可能な経営基盤を築いた。経営の第一線を退いた後も会長としてグループを見守り、事業承継とガバナンス体制を整備。

今後は現社長松本秀一氏のもと、デジタル化と脱炭素戦略を軸に次世代型物流モデルの確立が進められる見込みである。

7位 十河政則 〈ダイキン工業/大阪〉 3億9,000万円

人物紹介:1949年生まれ。小樽商科大学商学部を卒業後、ダイキン工業に入社。総務・人事・広報部門を中心にキャリアを重ね、取締役、専務執行役員を経て経営トップに就任。グローバル戦略を主導し、北米・欧州・中国を中心に空調事業を拡大させた。

環境・省エネ・デジタルを競争軸に据え、ヒートポンプやインバータ技術を核とした省エネ空調を普及。保守・サービスを含むライフサイクル価値最大化を掲げ、IoTによる遠隔監視や予知保全を推進した。現在は会長兼CEOとして、脱炭素や空気質改善など社会課題の解決を成長機会に変える経営を継続し、次世代に向けた事業基盤の強化を進めている。

6位 芳井敬一 〈大和ハウス工業/大阪〉 5億5,000万円

 

人物紹介:1958年生まれ。中央大学文学部哲学科を卒業後、神戸製鋼グループの神鋼海運(現・神鋼物流)を経て大和ハウス工業に入社。建築営業所長、支店長など現場経験を重ね、海外事業部長、東京本店長、営業本部長を歴任。豊富な現場感覚とマネジメント経験を背景に代表取締役社長COOに就任した。

住宅、物流施設、商業施設、海外事業を束ね、多角化経営を推進。物流施設や商業施設開発では需要サイクルを見極めた投資戦略で収益基盤を安定化させ、施工・調達・販売の一体運営を徹底して品質とコストの両立を実現した。再生可能エネルギーの活用や環境対応建材の導入、街づくりや地域との共生を重視した事業運営を進め、脱炭素時代に適合するビジネスモデルを構築。

現在は会長CEOとして、GX・DXを掛け合わせた次世代都市開発と海外展開を加速し、グローバル市場での存在感をさらに高めることが期待される。

5位 石井敬太 〈伊藤忠商事/大阪(登記上本店)〉 10億1,100万円

 

人物紹介:1960年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社し化学品部門でキャリアを積む。有機化学品第一部長、インドシナ支配人兼伊藤忠タイ会社社長、執行役員化学品部門長を歴任し、国際案件と資源・エネルギー分野の事業開発に携わった。専務執行役員としてエネルギー・化学品カンパニーを率い、電力・環境ソリューションも統括。2021年に代表取締役社長COOに就任し、生活消費・非資源分野の成長を継承しつつ、資源と非資源のバランスをとる経営を推進した。

需給・為替・地政学リスクを踏まえた調達から販売までの全体最適を意識した体制を構築し、国内外アセットの回転と投資回収の見通しを重視した資本効率経営を実現。サステナビリティを成長機会と位置付け、再生可能エネルギー、循環型ビジネス、デジタル分野を組み合わせた新しい事業モデルを拡充している。現場感覚とデータ分析を融合させた経営で、グローバル市場における伊藤忠商事の存在感を高めている。

4位 アンドリュー・プランプ 〈武田薬品工業/大阪〉 11億9,500万円

 

人物紹介:米国マサチューセッツ工科大学で理学士号、ロックフェラー大学で心血管遺伝子学の博士号(Ph.D.)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で医学博士号(M.D.)を取得。UCSFで内科研修と遺伝医学フェローシップを修了後、臨床講師を務めた。メルク社では循環器疾患領域研究の責任者として非臨床・トランスレーショナルサイエンスを統括し、サノフィ社では研究開発部門のデピュティプレジデントを務めた。2015年に武田薬品工業に入社し、リサーチ&デベロップメント プレジデント兼取締役としてグローバル研究開発を統括。就任後は重点疾患領域の選択と集中を進め、外部創薬との協業やライセンス戦略を強化。

早期開発とトランスレーショナルサイエンスを基盤とした多様なモダリティのパイプラインを構築した。グローバル治験や規制当局対応を統合的にマネジメントし、開発スピードと成功確率の両立を実現。現在も患者中心の価値創出と研究文化の深化に取り組み、次世代モダリティや細胞・遺伝子治療を軸に武田薬品のイノベーションを牽引している。

3位 岡藤正広 〈伊藤忠商事/大阪(登記上本店)〉 18億2,400万円

 

人物紹介:1949年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。繊維部門で輸入繊維事業やブランドマーケティング事業を統括し、カンパニープレジデントとして部門再建を主導した。取締役専務、代表取締役副社長を経て、代表取締役社長CEOに就任。

非資源分野を軸に事業ポートフォリオを強化し、生活消費関連を収益の柱へと育てた。ROICとキャッシュ創出を重視し、成長投資と株主還元を両立。戦略子会社の活用やグループ再編を進め、需給・価格変動に強い体質を確立した。現場感覚を大切にした迅速な意思決定とリスクマネジメントが特徴で、安定成長を牽引。

会長CEOとしても非資源型商社モデルの深化と次世代経営陣への権限移譲を推進し、グローバル商社としての存在感を高めている。

2位 クリストフ・ウェバー 〈武田薬品工業/大阪〉 21億6,000万円

 

人物紹介:1966年生まれ。フランス・ストラスブール生まれ。医師の家庭で育ち、リヨン第1大学で薬学・薬物動態学博士号を取得。1993年にスミスクライン・ビーチャムに入社し、後にグラクソ・スミスクラインでフランス会長兼CEO、アジア太平洋地域担当上級副社長、ワクチン社長兼CEOを歴任した。2014年に武田薬品工業へ入社し、初の外国人社長COOに就任、翌年代表取締役社長CEOに昇格。

シャイアー買収を陣頭指揮し、世界規模での統合マネジメントを完遂。負債削減とパイプライン拡充を同時に進め、グローバル製薬企業への変革を推進した。研究開発体制を外部知と連携するネットワーク型へ移行し、重点疾患領域への投資集中と開発スピードの向上を実現。株式報酬を中心とした透明性の高い報酬設計を導入し、資本効率と株主還元を重視する経営を浸透させた。

現在もイノベーション文化の定着と次世代モダリティの育成を通じ、武田薬品を世界的研究開発型製薬企業として一層成長させる役割を担う。

1位 井上礼之 〈ダイキン工業/大阪〉 44億500万円

 

人物紹介:1935年生まれ。同志社大学経済学部を卒業後、大阪金属工業(現ダイキン工業)に入社。人事部長など管理部門を経て取締役、専務取締役を歴任し、1994年に代表取締役社長に就任した。

経営危機にあった同社を再建し、売上高を3千億円台から4兆円超へと拡大させた中興の祖。

北米やアジアでのM&Aや現地生産体制整備により空調事業を世界首位級へ育成。研究開発や製品ポートフォリオを強化し、ヒートポンプや空気質改善ソリューションなど環境対応技術を軸に事業を多極化した。2000年代には会長兼CEOとしてグローバル経営を確立し、株式報酬を含むインセンティブ制度を導入。資本市場との対話を深め、長期的な企業価値創造を重視する経営を浸透させた。

2024年9月に退任済みだが、その功績が報酬に反映されている。

総評

 

近畿のランキングは大阪を中心とした製造業・医薬・商社・住宅が軸で、グローバル市場と連動した成果が報酬に色濃く反映された。株式報酬や中長期業績連動型のインセンティブが上位者の報酬を押し上げる構図が鮮明だ。企業統治の透明性が高まる中、長期価値創造とガバナンスの質が問われる時代に入り、今後も報酬開示は投資家・市場からの注目を集め続けるだろう。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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