
ニデックは子会社で不適切会計処理の疑いが発覚し、第三者委員会を設置した。疑惑は他のグループ会社にも広がる可能性があり、株主の信頼回復が課題となっている。
新たな不適切会計処理疑惑が判明
精密小型モーター大手のニデックは9月3日、傘下のニデックテクノモータの中国子会社で不適切な会計処理の疑いが見つかったと発表した。対象は2024年9月下旬にサプライヤーから受けた購買一時金1,000万元(約2億円)**で、値引き相当分の処理に問題があった可能性があるという。
さらに社内調査の過程で、同子会社以外のグループ会社でも会計処理に疑念を抱かせる資料が確認された。ニデックは「独立性と客観性を担保する必要がある」と判断し、同日、外部有識者による第三者委員会を設置した。
既存調査とは別の問題
ニデックはすでにイタリア子会社をめぐる貿易取引や関税問題で調査を進めているが、今回の会計処理疑惑は別件と説明している。したがって、イタリア案件は今回の第三者委員会の調査対象外とされた。
第三者委員会の体制と調査範囲
新たに設置された第三者委員会は、日本弁護士連合会の「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠。委員長は西村あさひ法律事務所の平尾覚弁護士、委員に公認会計士と弁護士が加わり、中立性を担保する体制を整えた。
調査範囲は以下の通りである。調査には外部の会計事務所や監査法人も補助者として参画し、デジタルフォレンジックを含む徹底調査が行われる予定。
- グループ会社を含む不適切な会計処理疑惑の事実調査
- 影響額の算定
- 原因の究明と再発防止策の提言
- 必要と認められるその他の事項
株主・投資家への影響
今回の発表を受け、同日の取引では株価が前日比52円安の3,120円に下落した(3日終値)。不透明な会計処理は企業統治への懸念を高め、投資家心理に悪影響を与えている。ニデックは「株主・投資家をはじめ関係者に多大な心配をかけている」と謝罪し、第三者委員会の調査に全面協力する姿勢を示した。今後は調査結果の開示や再発防止策の実効性が、信頼回復に向けた鍵となる。
今後の見通し
ニデックは今年6月、有価証券報告書の提出期限延長を申請しており、今回の問題は開示の信頼性にも影響を及ぼしかねない。株主としては、
- 第三者委員会の調査結果の公表時期
- 業績や財務に及ぶ影響額
- 内部統制の改善策
が注目点となる。企業価値の毀損を防ぐためにも、経営陣が迅速かつ透明性の高い説明を行うことが求められている。
参照:第三者委員会設置のお知らせ(ニデック)