ERP導入ノウハウから生まれた次世代教育サービス、国内外3,000名育成を視野に

ERPコンサルティングを主力としてきたAIストーム株式会社(旧・ジェクシード、証券コード:3719)が、生成AIとDXの実務人材を育成するオンラインスクール「Storm Academy(ストーム・アカデミー)」を正式に開校した。
5月19日から提供が始まった同スクールは、完全オンライン型で、最短2か月での実務転用を可能とする即戦力育成を掲げる。
ERPからAIへ 老舗IT企業の転換点
同社は1964年に建設業として創業。1995年の商号変更を機にIT・コンサルティング事業へ転換し、ERP導入支援を中核事業として成長してきた。2003年にはJASDAQ上場(現在は東証スタンダード)を果たし、その後もOracle JD EdwardsやSAPといったERP領域に特化したITコンサル企業としての地位を築いた。近年ではLEDデジタルサイネージやWi-Fi7ルーター、AIアドバイザリーなどへ事業領域を拡大し、「AI×リアルアセット」型のビジネスモデルを推進している。
その戦略的な象徴が、2025年4月1日に行われた社名変更だ。ERPのDNAを保持しつつ、「AIストーム株式会社」としてAIを核とした成長企業への脱皮を表明。3年後の売上高80億円、時価総額500億円を中期目標に掲げ、攻めの事業再編を進めている。
「Storm Academy」が担う人材エコシステム
「Storm Academy」は、生成AI活用に特化した実務人材の育成を目的とし、2種類の履修コースを設ける。ひとつは2か月・20万円で、ChatGPTやNotion AI、Google Apps Script(GAS)などを用いた業務自動化を学ぶ「DX業務効率化コース」。もうひとつは4か月・30万円の「AI駆動開発初級コース」で、PythonやOpenAI API、Streamlitなどを駆使したアプリ開発の基礎を修得できる。
同社は今後、カリキュラムの上位版を投入し、自治体や海外法人との連携を視野に入れた共同講座の提供も検討している。最終的には国内外3,000名規模のStorm Academy修了生を輩出し、自社および顧客企業のDX推進を担う人材エコシステムの構築を目指す。
“AI×インフラカンパニー”構想と3本柱戦略
AIストームは現在、①ERP/HRコンサルティング、②生成AIを活用した「AIアドバイザリー」、③LEDビジョンやトラックファンドなどリアルアセットとAIを融合する「AI&モルタル」、④通信・教育分野の「AIニュービジネス」という4領域で事業を展開する。とりわけStorm Academyはその核と位置づけられ、他の事業領域と連携しながら、AIによる“業務成果の最大化”を支える中核的存在となっている。
また、ERPなどで蓄積された業務データは、AI学習や広告効果測定、車両の予兆保守などに活用されており、いわゆる「データ循環型モデル」が社内に構築されている。LEDや車両関連のリアルアセットはファンド形式やOEM契約を活用し、自己資本比率の変動を抑えたリスクマネジメントも徹底するなど、老舗企業ならではの財務健全性も強みだ。
ガバナンス・IRにも積極姿勢
2025年4月には社名変更に加え、AI・DX領域の専門人材を社外取締役として招聘。四半期決算においてはLED拠点数やトラックファンド組成数、Academy修了者数といったセグメント別KPIも開示し、投資家との対話の透明性を高めている。
AIストームは「AIで業務成果を最大化する企業」として、ERPから派生した業務解析力と、生成AIの実装・教育を掛け合わせたハイブリッドな戦略で、国内外のDX推進をリードしようとしている。