平井氏の発言に「検閲」疑惑 SNS規制は政府か党か?

「我々、相当“消し込み”にいってますからね」――自民党の平井卓也・元デジタル大臣が、堀江貴文氏のネット番組で語ったこの一言が波紋を広げている。議論のテーマは、参政党をめぐる「ロシアとの関係」疑惑とSNS上の言論統制。だが、その根拠が薄弱であることに加え、政府または与党による言論の制限が疑われる事態となっている。
堀江貴文番組で飛び出した“爆弾発言”
問題の発言があったのは、2025年7月17日に配信された堀江氏主宰の討論番組。SNS上のアカウント凍結について国民民主党の玉木雄一郎代表が問題提起したところ、自民党の平井氏が「我々相当消し込みにいってますから」と応じた。
この「我々」が何を指すのかは不明だが、もし政府であれば、憲法21条2項が禁じる「検閲」にあたる可能性がある。民間企業による削除対応を促す程度であれば政府としての関与は限定的とされるが、恣意的な基準でアカウント削除を主導していた場合は問題となる。
根拠は山本一郎ブログのみ?
番組内では、参政党が「ロシアの影響下にある」との見方が提示されたものの、その出典は山本一郎氏(ブロガー・評論家)のNOTE記事にすぎない。
同記事では「ロシア製ボットによる参政党支援」を仮説的に紹介しているが、客観的根拠は限定的。仮にこの1次情報に基づき、政府もしくは与党が「情報統制」を実施していたとすれば、言論の自由を脅かす深刻な事態だ。
SNSで支援者のアカウント凍結が相次ぐ背景
参政党の神谷宗幣共同代表は、X(旧Twitter)で平井氏の発言を取り上げ、「爆弾発言ではないか」「SNSのアカウント凍結が進んでいたのはこのためだったのか」と強い懸念を表明。「参政党にロシアのレッテルを貼り、ポジティブな情報を消し込んでいる」とし、国会での追及と20議席の獲得を訴えた。
この投稿には、SNS上でも多くのユーザーが反応。「言論弾圧確定」「自民党がSNSをコントロールしているのか」と批判が相次いでいる。
平井氏、TikTok進出と“二枚舌”の印象
平井氏といえば、先月に「自民党広報本部長」としてTikTokアカウントの開設を推進した張本人でもある。中国企業が運営するプラットフォームにおいては寛容な姿勢を見せる一方で、国内の“保守系言論”には検閲的アプローチを取るとの二重基準が疑われている。
これに対し、SNSユーザーの一部からは「自民党は米民主党と中共には弱腰で、ロシアにだけ強気」との批判も出ている。
今後の焦点は「誰が・どうやって」
問題の核心は、次の2点に絞られる。
- 「我々」とは誰を指すのか――政府、党、あるいは民間との連携体制なのか
- どのような基準で「消し込み」が実行されているのか――ロシア関連言論の排除なのか、それとも政権批判の封殺なのか
これらに対する明確な説明がなければ、「言論弾圧」「検閲」といった批判は今後さらに拡大しかねない。言論の自由が民主主義の根幹である以上、与党の発言は重く問われるべきである。