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特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング

https://momsmile.jp/

〒104-0061 東京都中央区銀座4-13-19 銀林ビル4F

付き添い入院中の家族を笑顔に!小児病棟での過酷な実態とは

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NPO法人キープ・ママ・スマイリング 理事長 光原ゆきさん(前列右)と同団体スタッフのみなさん
NPO法人キープ・ママ・スマイリング 理事長 光原ゆきさん(前列右)と同団体スタッフのみなさん (画像提供:キープ・ママ・スマイリング)

小児病棟で寝泊りしながら子どもに付き添う家族を応援するのは、NPO法人キープ・ママ・スマイリング(以下、キープ・ママ)です。

理事長の光原ゆきさんは、先天性の疾患をもって生まれた2人の娘と通算約1年間を病院内で暮らした当事者。その院内生活は過酷だったと振り返ります。

同団体の「ミールdeスマイリング」事業リーダー 児玉 章代さんと「付き添い生活応援パック」無償配付事業リーダー 早川 真由美さんも同席され、知られざる実態や活動内容、実現したい社会像などを伺いました。

子どもにとって一番の安心は、家族の “にっこり”

―まず、キープ・ママの活動内容について教えてください。

光原

私たちは、入院中の子どもに付き添うご家族を応援する活動をしています。

児玉

2015年から始めた「ミールdeスマイリング」では、入院中の子どもに付き添うご家族の滞在施設「ドナルド・マクドナルドハウスせたがや」で月に1度、手作りの夕食を提供しています。

活動に賛同してくださった病院でのお弁当配付も含め、2023年1月までに延べ8,200名以上へお届けしました。

子どもが闘病中のご家族には、「ひとときでも笑顔になっていただきたい」という気持ちでいます。

「とっても美味しくて励まされました」「レストランの味を思い出しました」などの感想とともに、明るい表情を見られたときは、何より嬉しいですね。

光原さんの肩に手を添える児玉さん(写真右側)
光原さんの肩に手を添える児玉さん(写真右側)野菜たっぷりのお弁当に「お母さんやお父さんたち、頑張っているよね」とエールを込める。 (画像提供:キープ・ママ・スマイリング)
早川

「付き添い生活応援パック」の無償配付はコロナ渦の2020年に開始。感染拡大防止のため付き添いの交代や面会が禁止になり、院内で “軟禁状態” になったご家族に、食品や衛生用品などを届けるためです。

現在は応募時点から10日以上付き添い入院を予定されている、全国のご家族へお送りしています。

生活必需品だけでなく、化粧品や美容ドリンク、団体オリジナル商品の電子レンジでも使える保存容器など、”付き添いの日々に役立つもの” “ちょっとテンションが上がるもの” を入れています。

わずかな時間でも幸せを感じていただきたいですね。

光原

2022年からは、付き添い経験者が集まるお役立ちクチコミサイト「つきそい応援団」(※1)も運営しています。

子どもにとって一番の安心は、寄り添うご家族が “にっこり” していることだと思います。具合が悪いとき、笑顔で背中をさすってくれるだけで安心しますよね。

だからこそ、私たちは付き添うご家族を支えたいのです。

(※1)つきそい応援団 (tsukisoi.jp)

栄養不足や睡眠不足に苦しむ付き添い家族の実態

病院の室温は一定。少しでも四季を感じられるよう、食材やラッピング、チラシなどにも工夫を凝らす。
病院の室温は一定。少しでも四季を感じられるよう、食材やラッピング、チラシなどにも工夫を凝らす。 (画像提供:キープ・ママ・スマイリング)

―活動の背景には、どのような課題がありますか。

光原

入院中の子どもに付き添う家族は、入院の長期化により慢性的な栄養不足や睡眠不足に陥ります。

私は35歳と39歳のときに長女と次女を出産しました。2人とも先天性の疾患をもって生まれ、誕生から間もなく手術やNICU(新生児集中治療室)での治療が必要に。

6つの病院を渡り、通算約1年間を娘たちと病室で暮らしました。私の場合も3ヵ月目に高熱で倒れましたね。

ー家族が過酷な状況に陥るワケとは。

光原

医師の許可が出れば親が付き添い入院することは可能ですが、現行制度の「入院中の看護に係る規定」(※2)には、家族が「看護要員による看護を代替し、又は看護要員の看護力を補充することがあってはならない」と記されています。

しかし実態は、病児の家族も医療チームの一員として「看護」を担うことが多いのです。私も娘たちに付き添っていたときは、食事や排泄のサポート、投薬、検査への移動など、さまざまな世話をしていました。

(※2)「基本診療料等の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
令和 4年3月4日付け保医発0304第2号厚生労働省保険局医療課長通知

ーあるべき姿と実態はずいぶん違うようですね……。

光原

キープ・ママが行った全国初の大規模調査「入院中に付き添う家族の生活実態調査 2022<概要>」でも、有効回答数 3,643 件のうち、約8割が病院から付き添いを要請されたと答えています。

子どもの容態や回診・検査のタイミングを優先し、隙を見つけて院内のコンビニや売店へダッシュ。

お風呂に入れずカーテンの裏で身体を拭くことも。電子音が鳴り、夜中の見回りがある中、寝返りの打てない簡易ベッドや子どもに寄り添う姿勢で眠ります。

そして私が一番つらかったのが食事です。野菜ジュースやコンビニおでんの大根で何とか野菜不足を補っていました。

「治療をがんばる子どもが一番大変だから……」と自分のことは後回しに。時間や経済的な理由から、カップ麺や1日1袋のスティックパン、子どもの残した食事のみで過ごすご家族もいます。

企業側のニーズを汲み取り “Win-Win” の関係へ

「付き添い生活応援パック」の一例
「付き添い生活応援パック」の一例。2023年12月までに延べ6,200名以上へ配付。「子どもの治療が優先の中、親のことを気にかけてくれることが嬉しい」「多くの企業からの応援に心が支えられた」といった感想が寄せられる。 (画像提供:キープ・ママ・スマイリング)

―活動を支援する企業への思いをお聞かせください。

光原

製薬会社のエーザイ株式会社様やベビー用品メーカーのピジョン株式会社様など、これまでに100社以上の企業から支援をいただいており、心から感謝しています。

支援企業の多くは、滞留在庫などを有効活用されています。ママ向けのプロモーションを目的に協賛してくださる企業もあり、Win-Winの関係を築けていることを嬉しく思っています。

また、3,000円の寄付で「付き添い生活応援パック」を付き添い家族1名へ送ることができ、約5万円の寄付で50食のお弁当を作ることができるため、寄付金での支援も大変助かっています。

「私の頃とはずいぶん変わったね」と言える環境を目指して

ー最後に、キープ・ママが目指す社会像や活動への想いをお聞かせください。

光原

私たちは付き添い入院の環境を改善し、入院中の子どもと付き添うご家族が笑顔で向き合える環境を目指します。

長女は今、中学生として元気に過ごしていますが、次女は1歳を目前に急変し、院内で旅立ちました。

付き添い家族の過酷な環境は、長女や次女が生まれてくれたから知れた世界です。私の知見で誰かのお役に立つことができれば、次女の生まれた意味になるのではないか……その思いを胸に10年近く活動を続けてきました。

2023年6月には、「付き添い環境改善の要望書」をこども家庭庁・厚生労働省に提出。国への働きかけも始めていますが、企業と協働することで、直接的な支援の輪を広げたいと考えています。

支援先の選定には企業の方々も苦労されると想像します。今の活動に専念する前は、株式会社リクルートに22年間勤め、さまざまな企業と対峙してきました。

当団体にはビジネス経験豊富なスタッフも多数在籍しています。

「かわいそうだから」と支援を募るのではなく、私たちからも対話の中で企業側のニーズを汲み取り、メリットを意識しながらご提案したいですね。

「キープ・ママを支援して良かった!」と思っていただけるよう努めますので、ぜひお気軽にお声がけください。

◎法人情報
法人名:特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング
理事長:光原 ゆき
設立: 2014年11月
活動内容:「ミールdeスマイリング」事業、「付き添い生活応援パック」無償配付事業 など
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座4-13-19 銀林ビル4F
URL:https://momsmile.jp/

◎プロフィール
光原 ゆき
1996年一橋大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。医療系WEBメディアのプロデュース、人事業務に従事。先天性疾患をもつ次女を育児休暇中に亡くした経験から、2014年11月に現団体を設立、理事長に就任。2019年1月より団体の活動に専念し、病気の子どもを育てる家族へさまざまな支援を続ける。

早川 真由美
1989年東京女子大学短期大学部卒業後、株式会社ワコールへ入社。経理業務を経て日本生命保険相互会社に転職、営業職に従事。男女の双子と女児を出産し、3児の母に。子育てがひと段落した頃にキープ・ママ・スマイリングと縁があり、光原さんの想いや活動内容に共感して参加。「付き添い生活応援パック」無償配付事業リーダーを務める。

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ライター:

大学卒業後、国賓・皇室はじめ国内外のお客様が来館する日系ホテルに入社。経営改革プロジェクトや人事部で採用を担う。フランスの化粧品会社へ転職し、採用・研修・評価に携わる。理念浸透を始め国内外のプロジェクトを率いた後、結婚・出産を機に退職。専業主婦を経て、11年間の会社員経験やキャリアコンサルタントとしての「聴く力」を生かし、インタビューライターへ転身。対話から生まれる「その人らしさ」をたいせつに執筆を続ける。

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