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名古屋発祥の喫茶チェーン「コメダ珈琲」が、新たな挑戦として「おにぎり専門店」をオープンする。新業態「おむすび 米屋の太郎」は、名古屋名物を取り入れた23種類のおにぎりを提供し、関東エリアから展開を開始。第1号店は東京都新宿に開店し、2月中に埼玉県内でも2店舗をオープン予定だ。コメダがなぜおにぎり業態に参入したのか、その狙いや今後の展望を探る。
コメダ珈琲が新業態「おにぎり専門店」を展開
コーヒーチェーンとして全国展開するコメダ珈琲が、新たな業態として「おむすび 米屋の太郎」を立ち上げた。第1号店「おむすび 米屋の太郎 新宿センタービル店」は2月22日に東京・新宿に開店し、続いて埼玉県内の川口市とさいたま市に「おむすび 米屋の太郎 樹モール店」(2月26日開店)と「おむすび 米屋の太郎 大宮東口店」(2月28日開店)の2店舗を展開する。名古屋名物を活かしたおにぎりが特徴で、天むすや味噌ヒレカツむすび、うなぎむすびなど23種類をラインアップする。
注文を受けてから一つずつ握るスタイルを採用し、素材にもこだわりを持つ。米は国産ブレンド米を使用し、海苔は伊勢湾・鬼崎産の優等級海苔を採用。さらに、愛知県の赤みそを使った赤だし豚汁や日替わり弁当など、35品のメニューを提供する。
「米屋の太郎」の特徴と提供メニュー
「米屋の太郎」の特徴は、作り置きをせず、注文後に一つずつ握るスタイルを採用している点だ。おむすびのラインアップには、名古屋名物を取り入れた「名古屋おむすび」5種類が含まれる。
【名古屋おむすびの主なラインアップ】
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- 天むす(380円):店内で揚げた海老天を特製ダシにくぐらせて握る
- うなぎむすび(580円):三河一色産うなぎを使用し、ひつまぶし風に仕上げる
- とり天むす(350円):名古屋コーチンを使ったとり天を包んだおむすび
- 鶏そぼろ(330円):甘辛い名古屋コーチンのそぼろをふんだんに使用
- 味噌ヒレカツむすび(330円):愛知県特産の赤みそで味付けしたヒレカツをトッピング
また、定番の塩むすび(150円)、紅しゃけ(290円)、いくら(480円)などの通常のおむすび18品も提供する。
コメダが「おにぎり業態」に参入した理由
コメダが「おにぎり専門店」を立ち上げた背景には、2つの大きな狙いがある。
1. 「おかげ庵」の成功を活かす
コメダが展開する和風喫茶「おかげ庵」では、モーニングメニューとして「おむすびセット」を提供しており、その人気が高かったことが今回の業態開発のきっかけとなった。「おかげ庵」では注文の6~7割が「おむすびセット」だったという。
2. 海外市場への展開を見据えた戦略
コメダは国内に1071店舗を展開するが、そのうち海外店舗はわずか48店舗にとどまる(2025年1月末時点)。今後、海外展開を強化する方針を掲げており、「おにぎり」という日本食文化を武器に、海外市場へ進出する戦略を進めている。すでにインドネシアのコメダ珈琲店ではおにぎりを提供しており、20~40代の女性を中心に人気を集めている。
今後の展開と成長戦略
「米屋の太郎」は今後、全国展開を視野に入れながら、特に関東エリアを中心に出店を進める。また、「おかげ庵」との併設店舗を増やし、ブランド間の相乗効果を高める計画だ。
さらに、小規模スペースでの出店が可能な「米屋の太郎」の利点を活かし、テイクアウト需要を取り込む方針もある。吉野家ホールディングスがラーメン業態に進出するなど、外食チェーン各社が事業の多角化を進める中、コメダも「おにぎり」という新たな分野での成長を模索している。
まとめ
コメダ珈琲が展開する新業態「おむすび 米屋の太郎」は、名古屋名物を活かした23種類のおにぎりを提供し、関東エリアからスタートする。既存の「おかげ庵」との相乗効果を狙いながら、国内市場の拡大と海外展開を視野に入れた戦略を展開する。
コメダが喫茶店の枠を超え、おにぎり業態に挑戦することで、新たな消費者層を獲得し、ブランドのさらなる成長を目指している。
【参照】
・コメダの新業態「おむすび 米屋の太郎」の1号店が新宿センタービルに2025年2月22日(土)オープン(株式会社コメダ)
・おむすび 米屋の太郎