![トランプ関税における日本の影響](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/trump-tariff-impact-1.jpg)
米国の「トランプ関税」が日本企業に及ぼす影響が懸念されている。
帝国データバンクの調査によると、日本の輸出企業約1.3万社が関税措置の影響を受ける可能性があるという。特に卸売業や製造業が大きな打撃を受けると見られ、企業規模によっても影響度合いが異なる。
本記事では、帝国データバンクの調査レポートをもとに業種別・規模別にリスクを整理し、日本企業が取るべき対応策を解説する。
トランプ関税とは?日本企業に及ぶ影響の概要
トランプ前大統領は、再選した場合に関税政策を強化すると明言しており、中国・メキシコ・カナダだけでなく、日本も関税対象となる可能性が高まっている。
帝国データバンクの調査によると、日本企業のうち1.3万社が影響を受ける可能性があるとされている。
日本から米国への輸出企業は4,854社、さらに中国を経由して米国に製品を出荷する企業も多く、サプライチェーン全体に影響が及ぶ懸念がある。
日本企業に及ぶ影響の実態
影響を受ける企業数と業種別内訳
帝国データバンクの調査によると、影響を受ける可能性のある日本企業1.3万社の業種別内訳は以下の通りである。
- 卸売業:6,348社(全体の49.2%)
- 機械器具卸売業(2,026社)
- 飲食料品卸売業(669社)
- 製造業:5,211社(全体の40.4%)
- 一般機械器具製造業(1,444社)
- 電気機械器具製造(787社)
- 化学工業・石油・石炭製品製造業(540社)
- 食料・飼料・飲料製造業(320社)
企業規模別の影響
- 売上1-10億円未満:4,850社
- 売上10-100億円未満:4,558社
- 売上100億円以上:2,019社
![トランプ関税による日本企業の影響](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/trunptriff-tdb.jpg)
企業規模別では、売上1-10億円未満の企業が4,850社と最も多く、10-100億円未満が4,558社、100億円以上が2,019社と続く。特に中小企業への影響が大きく、価格転嫁が難しい企業では収益悪化のリスクが高まると考えられる。
特にリスクが高い業種・企業
米国向け輸出企業の影響
米国向けの輸出企業は4,854社存在し、特に製造業の割合が高い。工作機械や半導体製造装置、電気機械などを輸出する企業が多く、日本から中国を経由して米国に輸出する企業も少なくない。そのため、供給網全体に影響が及ぶ可能性がある。
- 米国向け輸出企業:4,854社
- うち「製造業」が最多(2,499社)
![トランプ関税による日本企業の影響 米国](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/trunptriff-us-tdb-1024x485.jpg)
中国向け輸出企業の影響
一方、中国向けの輸出企業は9,850社に上る。最も多いのは卸売業(5,200社)で、機械器具卸売業が主流である。また、日本酒や和牛などの食品関連の輸出企業も影響を受けると見られる。
- 中国向け輸出企業:9,850社
- うち「卸売業」が最多(5,200社)
![トランプ関税による日本企業の影響 中国](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/trunptriff-china-tdb-1024x469.jpg)
トランプ関税の具体的な影響とは?
トランプ関税が発動されると、日本企業にとって価格競争力の低下が避けられない。関税コストの増加により、米国市場での販売価格が上昇し、競争力が低下する。特に価格転嫁が難しい中小企業にとって、利益率の低下が懸念される。
また、サプライチェーンの見直しが求められる可能性も高い。米国や中国、メキシコなどに生産拠点を持つ企業は、代替生産拠点の確保が急務となる。サプライチェーンの多様化が今後の課題となるだろう。
日本企業が取るべき対応策
トランプ関税の影響を軽減するため、日本企業は生産拠点の多様化を進める必要がある。東南アジアや欧州など、新たな生産拠点の確保が求められている。また、米国市場に直接進出する動きも加速する可能性もある。
さらに、事業戦略の見直しも必要だ。現地生産の強化、価格転嫁戦略の再検討、関税を回避するためのパートナーシップの構築などが有効な対応策となる。
まとめ:トランプ関税がもたらす日本経済への影響
トランプ関税が発動すれば、日本の輸出企業にとって大きな試練となる。特に卸売業と製造業が大きな影響を受け、中小企業は価格転嫁が難しいことから、事業戦略の見直しが求められる。
生産拠点の多様化や米国市場での戦略変更など、日本企業が今後どのように対応するかが鍵となる。政府の対応策も重要になり、日本経済全体に与える影響は避けられない。
【参照】
・米国の対中・対北米追加関税に対する日本企業の影響調査(帝国データバンク)