SDGs教育需要を取り込み企業価値向上へ
学校制服の大手メーカーである菅公(カンコー)学生服株式会社(岡山・北)は、2023年11月から展開する「制服の余り生地をアップサイクル!学校にエコフラワーを咲かせるプロジェクト」(以下、エコフラワープロジェクト)の参加校が100校を突破したと発表した。
このプロジェクトは、制服製造の過程で発生する余り生地を活用し、学校でSDGs教育の一環として「エコフラワー」を製作する取り組みだ。全国の教育機関から高い関心を集めており、企業価値向上に繋がる事例としても注目されている。
余り生地をアップサイクル、SDGs教材として活用
エコフラワープロジェクトは、ただ余り生地を廃棄するのではなく、新たな価値を創造する「アップサイクル」という考え方に基づいている。参加校には、制服の余り生地と作り方説明書がセットになった教材が無償で提供され、家庭科や美術の授業、総合的な学習の時間など、様々な場面で活用されている。
生徒たちは、エコフラワー作りを通して、SDGsの目標達成に貢献できるだけでなく、ものづくりの楽しさや環境問題について考える貴重な機会を得ている。
生徒たちの創造性を育むエコフラワー作り
参加校からは、生徒たちの声が寄せられている。
「本来捨てられてしまうものを再利用して、可愛いお花ができると嬉しい気持ちになり、良いことをした気分になる」(東大阪大学敬愛高等学校生徒)
「自分で作ったエコフラワーは感謝の気持ちを添えて、家族にプレゼントしたり、友達と交換したりしたいと思います」(同校生徒)
教育現場からも高評価、SDGs教育の充実にも貢献
また、教員からは教育効果の高さを評価する声が上がっている。
「服飾を手掛けるコースとして、廃材(余り生地)を有効活用し、SDGsの取り組みについて学ぶ機会としたいと考え、参加することにより、大阪・関西万博への興味・関心が高まることも期待できると考えた」(東大阪大学敬愛高等学校 登記先生)
「消費生活・SDGs教育と関連させることもでき、とても有意義な時間に繋がった」(香里ヌヴェール学院中学校・高等学校 笠尾先生)
「環境に優しい取り組みとして、芯の部分にはFSC認証の竹箸を、接着剤にはホルムアルデヒド・フタル酸系可塑剤を使用していないコニシの木工用ボンドをそれぞれ使用しました。普段着ている制服の残反や廃棄問題など、より身近なSDGs課題に触れることができたと思います。
今回はクラブ活動の⼀環で実施しましたが、今後も全校生徒に呼びかけ取り組んでいきます。」(光ヶ丘女子高等学校 尾之内先生)
「身近な制服を通じてSDGsを学ぶ機会にしたいと思います」(岡山県立西大寺高等学校 手島先生)
企業のSDGsへの取り組みが企業価値向上に
カンコー学生服の担当者は、「エコフラワープロジェクトは、菅公学生服株式会社170周年記念事業の一環で、子どもや学校・地域などへ社会貢献を目的に社員でアイデアを出し合って作ったSDGs教材です。
子どもたちにとって身近な制服の余り生地を使用して、SDGs教育に活用していただくことはもちろん、完成したエコフラワーは、学校に展示したり、卒業生に贈る花束やコサージュにしたり、家族や友達にプレゼントするなど、感謝の気持ちを伝えるコミュニケーションも生まれています。このエコフラワーづくりを通して、子どもたちの学びを応援したいと考えています」とコメントし、プロジェクトへの想いを語っている。
企業にとって、SDGsへの取り組みは、もはや社会貢献活動の域を超え、企業価値を向上させるための重要な経営戦略となっている。エコフラワープロジェクトは、その好例と言えるだろう。
このプロジェクトは、環境問題への意識向上、教育現場への貢献、地域社会との連携など、多岐にわたる効果を生み出しており、企業イメージの向上、新規顧客の獲得、投資家へのアピールなど、様々なメリットをもたらすと期待されている。
今後の展開、新規事業の可能性も
カンコー学生服は今後、エコフラワープロジェクトをさらに推進し、2025年の大阪・関西万博においても積極的に発信していく方針だ。参加校の拡大を目指すだけでなく、将来的には、ワークショップの開催など、新たな事業展開も視野に入れているという。