近年冷房必須の酷暑が続く。ただ温度を下げたくも、世界的なエネルギー危機を前に燃料価格は高騰。その影響でもっぱら電気代が悩みの種という消費者は多いだろう。
さて、外壁の塗料を変えるだけで空間が快適になるといったら、あなたは信じられるだろうか。どうやら世の中には「遮熱塗料」と呼ばれる魔法の塗料があるらしい。
熱を遮断する効果に優れ、室内の温度を下げてくれる、その塗料を使うことに長けた会社が埼玉の加須にある。塗装工事や防水工事を行うダイユウエンタープライズだ。
社長の早水大輔さんは父と二人三脚で会社を立ち上げ、若い社員たちと会社を成長させてきた。
近年はSDGs達成に向けた宣言書を掲げ、持続可能な組織づくりに取り組んでいる。遮熱塗料とは何か、なぜ取り扱うのか、同社の社会性に焦点を当てて、お話を聞いてみた。
脱炭素・電気代節約に繋がる遮熱塗料を積極的に導入
−遮熱塗料の使用も推進していると聞いた。どういった効果があるのか?
近年猛暑が続いていますが、室内が暑くなってしまう大きな要因は屋根の熱ごもりとなっています。
そこで遮熱塗料を使用すると、屋根が熱を吸収せず、熱を跳ね返すことができるので熱ごもりを減らすことができるのです。
熱を減らすことで室内の暑さが軽減されるので、電気代の節約・脱炭素に繋がります。実際に弊社が使用している遮熱塗料「アドクールAqua®︎」では、電気料金を年平均で23.2%削減できたという事例もあります。
−遮熱塗料を使用し始めた経緯は?
ある工場からの依頼で、鉄板の屋根で工場がどうしても暑くなるので遮熱塗料を使えないかという相談がありました。以前から遮熱塗料の存在は知っていたのですが、本当に効果があるのかは疑問でした。
塗装した後にお客様から「効果がなかった」と言われるのは困るので、使用に躊躇していました。
ただお客様からご要望があったこともあり、実際に導入してみると、「エアコンが唸らなくなった。体感としてもだいぶ暑さが軽減された」というお声を頂き、以後積極的にご提案するようになりました。
-なぜ、アドクールAquaを選んだのか?
アドグリーンコートやアドクールAquaを販売しているNCKは、問屋さんからの評判も良かったんです。
遮熱効果が優れているという話を聞いており、NCKの営業担当者からもよく話を聞いていたので、NCKで試してみることにしました。
−今後は脱炭素の取り組みをどのように推進していこうと考えている?
脱炭素という観点では、社内でCO2をどのくらい排出しているのかを算出することが重要だと考えています。
現状を知ると社員たちも実感を持って取り組むことができます。事業だけでなく、現場で働く社員や職人たちにもヒアリングを行い、現場での実感も大切にしていきたいです。
例えば毎日買う飲み物を自動販売機で購入するのではなく、マイボトルを使用するなど、日々の業務の中で変えていけることを見つけていきたいですね。
誰も追いつくことのできない技術力と知識力を磨き続ける
−そもそもダイユウエンタープライズとはどういった会社なのか。
もともとの歴史は1985年に、父が一人親方として塗装職人を始めたところまで遡ります。私は中学卒業後の1997年頃から父の仕事を手伝うようになりました。
2005年11月に法人化し、現在は東京・埼玉・群馬・茨城県などで主に塗装工事と防水工事を中心に行なっています。社員は12名で、うち2名は女性の職人です。
私は16歳から父と仕事していますが、創業当時は孫請けで仕事が少ない苦しい時期もありました。
丸々1ヶ月間働けるような環境ではなくて、1週間休みであることもザラでしたね。その経験から、技術力と知識力を磨き続け、職人としての信頼を重ねることを大切にしています。
「無双 ~唯一無二の企業・人となれ~」という社是を掲げ、誰も追いつくことができないほど、優れた職人になることを社員全員で目指しています。
伸び伸びゆっくりやるというよりも、仕事においてはがむしゃらに、勉強を欠かさないよう心がけています。
−地域社会のために行っていることは?
私たちは本社が埼玉県加須市にあり、地域と深く結びついています。例えば、埼玉県の県管理道路(歩道部分)にてボランティアで清掃美化活動を行うロードサポートという活動に参加しています。
ダイユウエンタープライズは県道125号線にて、かれこれ10年以上参加しており、年に4回、日曜日の朝7時から8時まで掃除と挨拶運動を実施しています。
元々知名度のない会社だったことから、地域に貢献することで、「気持ちの良い挨拶をしてくれる人たちはどこの会社の人だろう?」と知っていただきたいという思いから始めました。
社員は地域の方々と触れ合うことが仕事のモチベーションにも繋がっているようです。
水性塗料の使用率70%を目指して
−HPを見ると、SDGs達成に向けた宣誓書を掲げている。内容について教えてほしい。
ダイユウエンタープライズは、加須市では2番目に「埼玉県SDGsパートナー」として登録しました。
環境・社会・経済の3つの面から指標を掲げています。まず、環境面では水性塗料の使用率の向上を2030年までに70%に向上することを指標としています。
塗装工事で使用される溶剤系塗料に含まれるVOC(揮発性有機化合物)は大気汚染物質の原因の1つと言われているため、水性塗料の使用を増やすことでVOC排出量を削減しています。
単に水性を増やすのではなく、油性と同様に耐久性の高い塗料を使用することで塗装のクオリティは下げずに、環境に良いものに代替していっています。
−指標は達成できそう?
お客様からの受注があってこその事業ですから、水性塗料を指定するお客様はまだ少ないですが、提案をさせて頂きながら、達成に向けて動いています。
若い職人が挑戦できる職場へ
−社会・経済の面から掲げている指標についても教えてほしい。
社会の面では資格所得支援、女性管理職の向上 、先ほどお話ししたロードサポート制度の登録です。
実際に2023年3月に子会社としてウィズライフコーポレーションという会社を分社化しましたが、その子会社の常務に女性を起用しています。
弊社は若い社員も多いので、技術力・知識を身につけるためにも資格取得は積極的に支援しています。経済面では時間外労働時間の削減と、有給取得率向上を掲げています。
−今後のビジョンを教えてください。
弊社は若い社員が多いので、挑戦できる場所を増やしていきたいという思いがあります。そのためには社員たちを自分の手元から離し、支店や事業所を作ることができたらと考えています。
私がトップにい続けるのではなく、社員たちが自立して活躍できる場所を作っていきたいですし、それがきっと私自身の挑戦にも繋がるのではないかと思っています。
遮熱塗料は沖縄や海外でも需要があるため、私たちのノウハウを活かして新しい環境に挑戦してもらいたいです。
私たちが磨いてきた技術力や知識は、きっと今の場所を飛び出しても通用するはずだと信じています。
ダイユウエンタープライズが今日に至るまでにはさまざまな物語があった。
今日の御社があるのは誰のおかげか?そう問いかけると、早水社長はさまざまな関係者の名前をあげてそれぞれの物語を答えてくれた。
cokiは法人と多様なステークホルダーとの関係を明らかにすることを目的としたサイトだ。以下に、素敵な物語だなというエピソードを数点紹介する。
株式会社大川緑地開発 代表取締役 大川俊行さんへ
ダイユウエンタープライズ株式会社 専務 久保田さんへ
ダイユウエンタープライズ 酒巻さんへ
ダイユウエンタープライズ 小暮さんへ
父へ
◎企業概要
企業名:ダイユウエンタープライズ株式会社
URL:https://daiyu-ep.co.jp/
住所:埼玉県加須市北小浜302-4