場所にしばられない働き方を推進すべく、在宅ワーカーによるアウトソーシング事業やフリーランス独立支援事業を手がける株式会社オフィスエム。今でこそ、時代の変化に後押しされ、在宅ワークは急速に浸透したが、代表の田上睦深さんがオフィスエムを設立したのは1995年。当時在宅ワークという働き方を知る人は少なかった。その後、2010年代にクラウドソーシングが企業に活用されはじめるも、在宅ワーカーの社会的認知は進まなかった。そんな中「これから在宅ワークの時代が来る」と田上社長にエールを送ってくれたのが、株式会社エンカレッジ 代表取締役の堀越 基史さんである。
大切に育ててきた事業が認められた瞬間
オフィスエム代表の田上さんと堀越さんが出会ったのは、世界最大規模の異業種交流コミュニティ「BNI」。田上さんは、会社設立20年目を迎えた2015年、知人の紹介でBNIに入会した。まだ右も左も分からないときに、積極的に情報交換の話を持ちかけてくれたのが、堀越さんだった。ただ、オフィスエムのメイン事業である在宅ワーカーによるアウトソーシング事業は、一般にはあまり理解されていなかったことから、田上さんは自信なさげに会社のことを話した。
「在宅ワーカーと企業を繋ぐアウトソーシング事業をしています」
すると、堀越さんは
「目の付けどころが良いですね! これからは在宅ワークの時代が来ますよ」
と間髪入れずに、そう断言してくれたのだ。想像以上にすんなり受け入れられたことに田上代表は驚きを隠せなかった。
堀越さんは続けて言う。「私が外資系企業に勤めていたとき、周囲の外国人はよく話題に出していましたよ。きっと日本でも流行ると思うな」。
今まで一歩一歩、地道に事業を育ててきた田上さんに真の理解者が現れた瞬間だった。
エンカレッジの堀越代表が惹かれた「チームソーシング体制」
意気投合した二人は、出会いから約1年後、ビジネスでも関わるようになる。Webプロモーション事業を手がける堀越さんが、オフィスエムの在宅ワーカーにバナー広告制作を発注したのが始まりだ。最初はお試し感覚で依頼したのだが、堀越はオフィスエムのある特徴にぐっと惹かれた。
それは、チームソーシング体制だ。
一般的なクラウドソーシングサービスは、個人と企業とが直接やり取りして、価格交渉や納品、支払いまで行う。手軽で簡単に発注できるというメリットがあるが、はじめての発注の場合は納品物のクオリティやスケジュールが担保されず、企業にとってリスクが生じることもある。
オフィスエムのチームソーシング体制(画像提供:株式会社オフィスエム)
それに対してオフィスエムは、プロジェクトごとにチームソーシング体制を構築している。個人と企業との間にオフィスエムが入り、自社社員を管理者として配置し、案件に適した在宅ワーカーをアサインして、スケジュール管理をしながら、クオリティコントロールをする。管理者が1人いることで、企業には業務の品質を担保でき、在宅ワーカーにとっては安心が提供されるのだ。
堀越さんは、そのチームソーシング体制に魅力を感じ、バナー広告制作だけでなく、その他のデザイン案件も委託するようになった。
ビジネスパートナーよりも同士、お互いにとって必要不可欠な存在
田上さんと堀越さんは、ビジネスパートナーというよりも、もう少し距離感の近い関係にあるようだ。田上さんはこう話す。
「私は同士のように思っています。BNIではみんなで食事をしたり、経営に関する悩みを話したり……。かなり密度の濃い時間を過ごした仲間ですから」
Zoom取材の様子
オフィスエムが自社紹介のビデオ制作したときも、堀越さんはお客様代表として快くビデオに主演してくれた。また、ビジネス上の取引も広がり、現在は田上さんも堀越さんに、オフィスエムの新規事業である女性向けシェアハウスのWebプロモーションを委託するようになった。
「大変なときに本音で語り合い助け合える仲間って、なかなかいないじゃないですか。これからも、お互いに支え合いながら、より高みを目指していきたいと思っています」
真の理解者は、代わりのいないパートナーになった。
<企業概要>
株式会社オフィスエム
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエアイーストタワー4階
設立:1995年11月24日