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TSP太陽 テント廃材を牡蠣剥きエプロンへ再生 震災15年の絆

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TSP太陽 テント廃材を牡蠣剥きエプロンへ再生 震災15年の絆
提供:TSP太陽株式会社

東日本大震災から15年、被災地のニーズは「箱」から「営み」の継続へと変化している。イベント設営の雄、TSP太陽が挑むのは、自社の強みであるテント膜材を一次産業の現場へと繋ぐ、新たな循環の形だ。

 

震災15年目の3月11日、東松島で手渡される「青い鎧」の正体

2026年3月11日、宮城県東松島市の復興拠点「KIBOTCHA(キボッチャ)」に、潮風に負けない強靭な光沢を放つエプロンが集結する。TSP太陽株式会社とTSP東北株式会社が、震災から15年という節目に合わせて実施する「はたらくテント」プロジェクトの贈呈式だ。

今回、宮城沿岸の牡蠣養殖業者7社に贈られるこのエプロンは、単なる作業着ではない。世界シェアを誇るグループ会社、太陽工業の製造ラインで発生した「テント膜材」の端材をアップサイクルしたものだ。かつては廃棄される運命にあった高機能な素材が、今度は東北の海を支える漁師たちの身を守る道具として、第二の人生を歩み始める。

イベント設営の巨人が「端材」に見出した、一次産業への生存戦略

この取り組みが他社と一線を画すのは、自社の「負の遺産」になりかねない廃棄物を、自社が最も寄り添ってきた被災地の「切実な課題」に直結させた点にある。テント膜材は、過酷な屋外環境に耐えるべく設計された、耐水性と耐久性の塊だ。

一方で、牡蠣の殻剥き作業は鋭利な殻や冷たい海水にさらされる過酷な労働である。市販のビニールエプロンでは心許ない現場において、厚さ0.35mmのタフなテント生地は、まさに「作業現場の盾」となる。

自社のコアコンピタンスである「膜構造の技術」を、イベント会場という晴れ舞台から、漁港という日常の最前線へと転換した独自性は、サーキュラーエコノミーの理想的な具現化と言えるだろう。

「建てて終わり」にしない。女川の仮設住宅から続く支援の血流

 

このプロジェクトの根底には、TSP太陽が震災直後から抱き続けてきた執念に近い哲学がある。同社の池澤嘉悟社長は、かつて女川町の仮設住宅建設の最前線に立っていた。「復興地域の支援には特別な思いがある」と語る言葉の重みは、発災直後に物資保管用の大型テントを迅速に供給し、石巻の水産物卸売市場などのインフラを支えてきた自負からくるものだ。

「はたらくテント」という名称には、役目を終えた素材に新たな「はたらく場」を与えるという思想が込められている。震災から15年が経過し、インフラ整備が一段落した今、企業に求められるのは一時的な寄付ではない。

地域の産業に深く入り込み、共に汗を流す「持続可能な伴走者」としての姿勢である。東北に拠点を置くTSP東北の松井孝夫社長が語る「この地域に何を残せるのか」という自問自答が、このエプロン一枚一枚に結実している。

一過性の貢献を超えて。素材の「宿命」を愛着に変える価値創造

TSP太陽の挑戦から学べるのは、SDGsやアップサイクルという言葉を飾る前に、自社の資産(アセット)が誰の痛みを解決できるかを徹底的に見極める重要性だ。デザイン、縫製、ロゴプリントをそれぞれ専門パートナーと連携し、単なるリサイクル品を「プロが使いたくなる道具」へと昇華させた工程は、BtoB企業の社会貢献における教科書的なモデルケースといえる。

震災の記憶を風化させない唯一の方法は、過去を振り返ることではなく、その経験を未来の「道具」へと変えていくことだ。海を越えて届くエプロンは、テントがイベントを支えるように、これからも東北の食と営みを静かに、そして力強く支え続けていく。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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