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津軽家がappcycleに出資した真意とリンゴ革の勝機

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津軽家がappcycleに出資した真意とリンゴ革の勝機
提供:appcycle株式会社

地域の未利用資源に新たな命を吹き込み、グローバル市場へと挑む。

青森発のスタートアップ、appcycleが展開する「RINGO-TEX®」は、 単なる環境配慮型素材の枠を超え、地方創生の新たな旗手として注目を集めている。

 

400年の歴史が動いた。津軽家現当主による異例の資金調達

青森県弘前市に拠点を置くappcycle株式会社が、津軽家現当主から資金調達を実施したというニュースは、単なる一企業の経済トピックに留まらない衝撃を地域社会に与えた。同社は、日本一の生産量を誇る青森りんごの搾りかすを原料としたエシカルレザー「RINGO-TEX®」を展開するスタートアップである。

今回の出資は、400年以上にわたりこの地を見守り続けてきた旧藩主家が、現代のイノベーションに対して「地元への貢献」という志を託したことを意味する。歴史と先端技術が交差するこの動きは、地域の基幹産業である農業が抱えるフードロス問題の解決を加速させ、国内外のパートナー企業との連携をより強固なものにするだろう。

廃棄物を「世界基準の富」へ変える独自のアップサイクル戦略

他社の合成皮革やヴィーガンレザーと一線を画すのは、その圧倒的な「地域密着型」のサプライチェーンにある。通常、新素材の開発は効率を求めて都市部や海外拠点で行われることが多いが、appcycleはあえて青森にこだわり、東北大学などのアカデミアと連携して製造ラインを構築した。

原料の7割以上を廃棄物で構成しながら、既存の合皮に劣らない強度と加工性を両立させている点も驚異的だ。ANAの特別塗装機のヘッドレストカバーに採用されるなど、すでに厳しいビジネスの現場で品質が証明されている。廃棄にかかるコストを利益へと転換し、それを農家へ還元する循環モデルは、他社が模倣しづらい独自の参入障壁となっている。

「公器」としての自覚。根底に流れる循環の哲学

 

この事業の背後には、代表の藤巻圭氏が抱く「この国のアップサイクルを加速する」という強い信念がある。青森りんごの残渣は、長年「負の遺産」として扱われ、その処理費用は農家や加工業者の重荷となってきた。藤巻氏はこれを単なるビジネスチャンスと捉えるのではなく、地域の未来を創るための「公器」として事業を位置づけている。

津軽家現当主が「先人たちが育んできた知恵と循環の思想を次世代へつなぐ一歩」とコメントした通り、そこには短期的な利益追求ではない、100年単位の視点での地域経営の哲学が流れている。

歴史的な信頼という土台の上に、スタートアップの機動力が乗ることで、事業は社会的な正当性を得たと言える。

地方の「負」を「正」に変える。appcycleが教える逆転の発想

appcycleの歩みから学べるのは、地域特有の「課題」こそが、世界に通用する「資源」になり得るということだ。一見すると地方の閉鎖的な歴史や環境問題は、成長の足枷に見えるかもしれない。

しかし、彼らはその歴史を「信頼」に、廃棄物を「価値」へと読み替えてみせた。「ローカル・トゥ・グローバル」を掲げ、地域の未利用資源に最先端のテクノロジーを掛け合わせる手法は、人口減少や産業衰退に悩む他の自治体にとっても、強力なロールモデルとなるはずだ。

歴史を背負いながらも、既成概念を壊して新しい産業を創出する。そのしなやかな強さこそが、これからのサステナブル経営に求められる真の姿ではないだろうか。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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