
「安全性に問題はないが、外見の微細な傷で販売できない」。製造現場の葛藤を教育資源へと転換するのが、エド・インターの流儀だ。同社が進める、廃棄削減と知育支援を両立する「one earth」の真髄に迫る。
産業廃棄物削減と教育支援の二兎を追う「おもちゃの寄贈」第12弾
2026年1月23日、兵庫県尼崎市の知育玩具メーカー、株式会社エド・インターが実施した児童養護施設への寄贈活動が、静かな、しかし確かな反響を呼んでいる。今回の活動では、名古屋市の児童養護施設「南山寮」へ、同社の主力製品である「森のメロディーメーカー」や、プログラミング的思考を養う「Route Finder」などが届けられた。
2021年11月から続く「おもちゃでみんな笑顔になろう!」プロジェクトは、今回で第12弾を数える。そこには、製造過程でどうしても発生してしまう「ワケあり製品」を、産業廃棄物として処理するのではなく、次世代の教育へと繋げる「知の循環」が体現されている。
「ワケあり品」を価値ある「教材」へ。他社と一線を画す独自の出口戦略
同社の取り組みが一般的な企業の社会貢献活動と一線を画すのは、寄贈される玩具が「幼児教室の現場から生まれた教材」であるという点だ。
木製玩具は天然素材を使用し、手作りで生産されるがゆえに、安全性には問題がなくとも微細な傷や塗装ムラが生じることがある。これらは市場では「不良品」と見なされるが、知育の道具としての本質的な価値は些かも損なわれていない。同社は自社運営の幼児教室で培ったノウハウを背景に、これらの製品を「質の高い教育資源」として再定義した。単なる物品の寄付に留まらず、施設の子供たちに学びの機会を無償で提供している点に、知育玩具専業メーカーとしての矜持が見て取れる。
「one earth」が目指す、50年後の未来と「誰一人取り残さない」教育
活動の根幹には、同社が掲げるサステナビリティ哲学「one earth」という確固たる指針が存在する。「50年後のキミと未来につながるおもちゃ」というスローガンは、単なる美辞麗句ではない。自然、動物、人間が緩やかに繋がり合う1つの地球をイメージしたこの理念には、代表の楢井貴博氏をはじめとする同社の、「誰一人取り残さない世界」への強い意志が込められている。
「知育玩具で笑顔いっぱいの地球へ」というビジョンのもと、製品寿命の終わりを廃棄ではなく「他者への譲渡」と定義し直す。この思考の転換こそが、環境負荷의低減と社会的使命を両立させる背骨となっているのである。
エド・インターの事例に学ぶ、メーカーが取り組むべき「循環型経営」のヒント
エド・インターの歩みは、製造業における「負の資産」をいかにして「正の社会的価値」へ編集し直すかという重要な示唆を与えてくれる。多くの企業にとって、検品落ちの製品は廃棄コストと2酸化炭素排出の要因でしかない。しかし、同社はそこに自社の強みである「知育」という文脈を掛け合わせることで、地域貢献とブランド価値向上を同時に達成した。
自社の教育ノウハウを乗せ、寄贈品を単なる「モノ」から「学びの機会」へ昇華させた点は特筆に値する。持続可能性が問われる現代、自社の強みを活かしたこうした循環型経営のあり方は、規模を問わず多くの日本企業が参照すべき1つの完成形といえるだろう。



