
EC配送の「使い捨て」をどう変えるか。生活の木が導入した、郵便ポストで返却できる「シェアバッグ」は、梱包ごみとCO2を大幅削減しつつ、消費者の「段ボール廃棄のストレス」をも解消する次世代の物流戦略だ。
アロマ業界初「シェアバッグ」導入。配送時のCO2排出量を85%削減へ
株式会社生活の木は2026年1月14日より、公式オンラインストアにおいて株式会社comveyが提供するリユース梱包サービス「シェアバッグ®︎」の運用を開始した。
消費者が購入時にこのオプションを選択すると、商品は使い捨ての段ボールではなく、繰り返し使える専用バッグで届けられる。特筆すべきは、使用後のバッグを「郵便ポストに投函するだけ」で返却できる点だ。この仕組みにより、従来の梱包資材に関連するCO2排出量を85%以上削減することが可能となる。本取り組みは、東京都のスマートサービス実装促進プロジェクト「Be Smart Tokyo」にも採択されており、官民一体となった脱炭素への挑戦といえる。
なぜ「シェアバッグ」は消費者に選ばれるのか?梱包ストレスを特典に変えるUX設計
多くの企業が取り組む「素材の代替」などは、依然として「消費者がごみを捨てる」という負担に変わりはない。対して、comveyのシェアバッグが持つ最大の独自性は、「ごみを出さない」という選択を消費者のメリットに直結させた点にある。
EC利用者が日常的に抱く「段ボールを解体し、回収日まで保管する」という煩わしさを、ポスト投函という極めて簡便なユーザー体験(UX)で解決した。さらに、返却により次回使えるクーポン等のインセンティブを付与。環境配慮を「我慢」ではなく「お得でスマートな選択」へと昇華させた点が、従来の環境対策とは一線を画している。
「美しい物流」が共鳴させる、生活の木のリジェネラティブ戦略
今回の導入背景には、生活の木が掲げる「自然」「健康」「楽しさ」という創業以来の哲学がある。マーケティング本部の中村佳央氏は、導入の動機をこう語る。 「comveyの掲げる『美しい物流をつくる』というコンセプトは、環境と利便性のどちらかを犠牲にしない。私たちが目指す、心とからだが調和するウェルビーイングな生き方に通じるものです」
同社は現在、環境を再生させる「リジェネラティブ(再生的)」な姿勢を重視している。自然の恵みを届けるブランドとして、その「届け方」においても社会に負荷をかけない循環を目指す。この一貫した哲学が、スタートアップ企業との共創を後押ししたといえるだろう。
サステナビリティを「選ばれる理由」に変える戦略
生活の木の事例から学べるのは、サステナビリティを「コスト」や「義務」ではなく、「競争優位性を生む顧客体験(CX)」として再定義する重要性だ。
環境負荷の低減を追求しながら、同時に「段ボールを捨てる手間を省く」という顧客の切実な不満を解消したこのモデルは、あらゆるEC事業者にとっての最適解となり得る。企業の社会的責任(CSR)を、いかにして「ブランドのファンを増やす体験」へ落とし込むか。同社の取り組みは、その一つの完成形を示している。



