
経済産業省と国土交通省が主導する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」の一環として、千葉県柏市において中型バスを用いた「レベル4」自動運転の営業運行が1月13日より開始された。
国内の一般道において、特定の走行環境条件下で運転操作のすべてをシステムが担う「レベル4」での中型バス運行は、技術的難易度が高く、今後の自動運転移動サービスの社会実装に向けた重要な試金石となる。
技術と法整備の進展
自動運転の社会実装には、技術開発だけでなく、法制度の整備が不可欠であった。今回の運行開始に先立ち、事業者は2025年12月9日までに道路運送車両法、道路交通法、道路運送法に基づくすべての許認可を取得している。
「レベル4」とは、道路交通法が定める「特定自動運行」を指し、限定領域(ODD)内において運転者がいない状態での自動運転が可能となる。万が一、車両が特定条件から外れたり、システムが機能限界に陥ったりした場合は、自動運転システム自体が「リスク最小化制御(MRM)」を行い、安全な場所に車両を停止させる機能を有する。
東京大学柏キャンパスを結ぶ新たな足
経済産業省によると、今回の運行事業者は東武バスセントラル株式会社であり、車両改造およびシステム提供は先進モビリティ株式会社が担う。運行区間は、柏の葉キャンパス駅から東京大学柏キャンパスへ向かうシャトルバスルートの一部である。
具体的には、「一号近隣公園」停留所から「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド前(税関研修所)」停留所までの約700メートルが、運転者が介在しない「特定自動運行区間(レベル4)」となる。最高速度は時速40キロメートルで設計されており、運転席には乗務員が乗車するものの、特定区間内では自動運行装置が全ての操作を行う。
「RoAD to the L4」と社会実装への道筋
本プロジェクト「RoAD to the L4」は、CASEやカーボンニュートラルといった自動車産業の変革を踏まえ、持続可能なモビリティ社会の実現を目指すものである。特に自動運転は、交通事故の削減や、高齢者等の移動手段の確保、深刻化する運転手不足の解消につながる技術として期待されている。
柏の葉エリアでの取り組みは、同プロジェクトにおける「テーマ4(混在交通下における協調型システム)」に位置づけられており、インフラセンサや信号連携を活用し、すべての道路利用者をつなげるMaaS・データ活用の事業モデル構築を目指している。
政府は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」において、2025年度を目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上で地域限定型の無人自動運転移動サービスを実現する目標を掲げてきた。今回の柏市での実装は、この政府目標達成に向けた「先行事例」としての意味合いが強い。
今後の展望と「手引き」の活用
自動運転移動サービスの普及には、安全性のみならず、地域社会の受容性や事業としての採算性が課題となる。国土交通省らが作成した「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き(第2版)」では、先行する福井県永平寺町や茨城県日立市(ひたちBRT)などの事例をもとに、事業目的の整理から実証実験、許認可申請までのプロセスが体系化されている。
柏市での今回の運行で得られる、公道交差を含む一般道での運行データやインフラ協調の知見は、同手引きに反映され、今後参入を目指す他の自治体や交通事業者にとって貴重な指針となるだろう。



