
鹿児島の海の恵みを未来につなぐ取り組みが始まった。かごしま深海魚研究会と海鮮料理店「目からうろこ」が協力し、深海魚の魅力を伝える特別メニュー『うんまか深海魚 食(たも)いやんせ!』の提供を開始した。地域資源を活かした新たな食文化の創出を目指す。
鹿児島の海を守る深海魚プロジェクトが始動
鹿児島県の広大な海域では、多種多様な魚が水揚げされるものの、県民の魚介類消費支出は全国ワースト4位と低迷している。こうした現状を受け、かごしま深海魚研究会は、地元で獲れる深海魚の認知度向上を目指し、2020年に設立された。
今回の取り組みでは、海鮮料理店「目からうろこ」と連携し、その日に入荷した深海魚を最適な料理で提供する特別メニュー『うんまか深海魚 食(たも)いやんせ!』を開始した。期間中、深海魚を活用した刺身や揚げ物、煮付けなど、多彩な料理が提供される。
かごしま深海魚研究会の独自性とは?
このプロジェクトの特徴は、深海魚という未利用資源を活用し、地域の食文化に新たな価値を生み出す点にある。「目からうろこ」では、熟成技術を駆使し、深海魚の旨味を最大限に引き出したメニューを開発している。一般的に市場に出回ることの少ない魚を、美味しく提供することで消費者の関心を引き、食の多様性を広げる狙いがある。
また、この取り組みは単なる食のイベントにとどまらない。地元漁業者の収入向上、後継者不足の解消、海の環境保全といった多角的な視点で持続可能な地域活性化を目指している。
「地元の魚を食べる」ことで守る海の未来
かごしま深海魚研究会は「地元の魚を食べることが、海を守り、漁業の未来を支える」という理念を掲げている。現在、全国的に水産資源の持続的な活用が求められており、未利用魚を市場に流通させることで新たな食文化を創出しようとしている。
一方、「目からうろこ」は、熟成魚の技術を活かし、食材の可能性を最大限に引き出すことを重視している。この両者の想いが一致し、今回の取り組みが実現した。
地域資源の再発見と有効活用の重要性
この取り組みからは、地域資源の再発見と活用の重要性が学べる。未利用の深海魚を新たな食材として提供することで、地域の食文化を豊かにし、持続可能な社会の実現に貢献している。
また、地元企業や研究機関が連携し、課題解決に向けた新たな価値を生み出すことの意義も大きい。今後、こうした取り組みが他の地域にも広がることで、食文化の多様性がさらに発展していく可能性がある。