
リソルグループは、運営するゴルフ場の駐車場に太陽光発電設備を設置し、施設の電力として自家消費する「ソーラーカーポート事業」を推進している。最新の事例として、「入間カントリー俱楽部」での設備稼働が開始された。
ソーラーカーポートでゴルフ場の脱炭素化を推進
リソルグループ(リソルホールディングス株式会社)は、埼玉県の「入間カントリー俱楽部」において、太陽光発電設備「ソーラーカーポート」の運用を2025年2月28日から開始した。これにより、駐車場のスペースを活用した再生可能エネルギーの導入が進み、ゴルフ場の電力需要の約30%を再生エネルギーで賄うことが可能となる。
このプロジェクトは、環境省の「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」の補助を受けて実施された。年間発電量は約159,108kWhに達し、これは一般家庭38世帯分の年間電力使用量に相当する。また、CO₂排出量の年間70トン削減が見込まれており、環境負荷の低減が期待される。
駐車場を活用した独自の再生可能エネルギー戦略
リソルグループは、ゴルフ場をはじめとする運営施設のエネルギー自給率を高めるため、ソーラーカーポートを全国的に展開している。従来の太陽光発電は広大な敷地を必要とするが、本事業では既存の駐車場を活用することで、新たな土地の確保が不要となる。
また、設計面でも独自性がある。カーポートは「後方支柱型」となっており、駐車時の利便性を確保しながら、雨除けや日除けの機能を備えている。これにより、環境負荷低減だけでなく、ゴルフ場利用者への快適性向上にも寄与している。さらに、将来的には電気自動車(EV)向けの充電設備の導入や、災害時の非常用電源としての活用も視野に入れている。
リソルグループのサステナビリティ理念
リソルグループは、「人にやさしい・社会にやさしい・地球にやさしい」という理念のもと、持続可能な事業モデルの構築を進めている。特に再生可能エネルギー事業は、その方針を体現する取り組みの一つであり、事業運営と環境保全を両立させることを目指している。
また、日本のゴルフ場産業では、エネルギー消費量の削減が喫緊の課題とされている。電力使用量の多いクラブハウスのエネルギー源を再生可能エネルギーに転換することは、経営の安定性向上にも貢献する。この点から、ソーラーカーポートの導入は、企業の競争力強化にもつながる施策といえる。
企業が学ぶべき脱炭素化の実践例
リソルグループの取り組みは、企業が持続可能な社会の実現に貢献しながら、事業の成長を図る一つのモデルケースである。再生エネルギーを活用しつつ、既存の設備やインフラを最大限に活用することで、コストを抑えながら脱炭素化を進める手法は、多くの企業にとって参考になるだろう。
また、環境への配慮だけでなく、顧客の利便性向上を同時に図る設計の工夫も注目すべき点だ。単なるエネルギー削減にとどまらず、サービス価値の向上を見据えた取り組みは、持続可能なビジネス戦略として今後の展開が期待される。